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線虫でガン検査 尿1滴で判定

2017-04-24 10:29:08 | 健康・医療
線虫がガン患者の尿に誘引される性質を利用したガン検査の実用化に向け、九州大学のベンチャー企業と日立製作所は、共同研究を行うと発表しました。

日立が自動解析装置を開発し、2019年末から20年初めに保険が適用されない自由診療での実用化を目指すようです。

数年前九州大学が、線虫を用いてガンの診断ができると発表し、少し話題になりました。線虫というのは非常に多くの種類を含む細い糸状の生物の総称で、深海から高山まで様々な場所に生育しているようです。例えば人間にも寄生する回虫も線虫の一種です。

あまりなじみがない生物ですが、研究の世界ではマウスやハエと同様に生物研究や遺伝子研究ではメジャーな生物のようです。今回の実験にはCエレガンスという1ミリほどの小さな線虫が使用されました。

この線虫は嗅覚受容体が非常に優れており、受容体がイヌの1.5倍程度あるとされています。ガン患者には特有のにおいがあるとされており、血液や体液、尿などを調べたようです。その内採取が最も簡単な尿にも微量ながらがん患者特有のにおいを持つ成分が含まれており、これを用いた検査方法を開発しました。

初期の方法としてはシャーレの中央に50~100匹の線虫を置き、シャーレの端に健常者とガン患者の尿を置き、線虫の動きを観察しました。その結果健常者の尿からは逃げていき、ガン患者の尿に集まる性質が分かったようです。

さらに250のサンプルで調べたところ、ガン患者をガンと診断する確率、および健常者を健常者と認識する確率は共に、95%と非常に高いものでした。中には採尿時にガンと診断されていなかった人の、早期ガンを発見したケースまであったようです。

ただ現在では、どこかにガンがあるということが分かるだけで、どの部位かの特定まではできないようです。ガンの種類によって微妙に臭いが違うことはわかっているようで、この臭いを受ける受容体が特定できれば、遺伝子技術を用いて特定のガンにだけ反応するように改変することも可能としています。

またこういった生物を使って診断する場合、個体差が出てはまずいのですが、この使用している線虫は雌雄同体で、同一個体が卵子と精子を持ち自分だけで子供を作ることができるようです。つまり遺伝的にはクローンとなり、個体差は全くでないようです。

この診断法はやはり生物を用いているということで、実用化は難しいのではと漠然と考えていましたが、日立のような機器メーカーが装置を開発するというのであれば、実用化可能のような気がしています。

日立ではこの検査費用を1回数千円を想定しているということですので、どの程度の精度があるかは別にして、早く実用化してほしいものです。

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