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ガン化学療法の効果と進歩

2018-01-27 10:45:50 | 
強力な副作用のイメージから、抗ガン剤治療はつらい治療だと考えられていますが、この全身化学療法についての最新の解説が出ていました。

まず用いる薬の仕組みに違いがあり、いくつかのタイプに分かれます。「殺細胞性抗ガン剤」は、以前より用いられている抗ガン剤であり、髪の毛が抜けたり、疲労感や食欲不振により体力が落ちるなど、一般的に副作用がつらい薬として認識されています。

ガン細胞の分裂の過程を阻害することで、増殖を阻止することが狙いです。しかし細胞分裂が盛んな正常細胞も障害を受けるため、白血球減少や脱毛、吐き気などの副作用が出やすくなります。これが従来から使用されている抗がん剤で、現在でも最も多く使用されているタイプです。

次がイレッサやアバスチンに代表されるのが、ガン細胞が持つ特定の受容体や酵素などに特異的に結合することで効果を発揮する「分子標的薬」です。このタイプの薬は比較的最近になって実用化され、副作用も少ないのですが、やや切れが悪い(ガン細胞の縮小速度が遅い)という評価があるようです。

この分子標的薬の出現により、標準治療が大きく塗り替えられたということもあるようです。ただし今までの抗ガン剤では見られない特徴的な副作用があるため、その使用には専門知識が必要とされています。

現在最も注目されているのが、オプジーボなどに代表される「免疫チェックポイント阻害薬」です。ガン細胞が、免疫の攻撃から免れるためのチェックポイントを、この薬がブロックします。これにより体内の免疫システムがガンを敵と認識し、攻撃するように仕向ける薬です。

さらに乳ガン、子宮体ガン、前立腺ガンなどガンの増殖に性ホルモンが関与しているケースでは、「ホルモン剤」が用いられます。これは効果が高く、四種類の抗ガン剤の中で最も副作用が少ないことが特徴です。

毎年何らかの新薬が登場すると、全身化学療法は目覚ましく進歩しており、薬を適正に扱える専門家としての腫瘍内科医も増えています。化学療法といえば苦しい副作用ばかりが強調される一方、効果があまり期待できないとする時代は終わりつつあるようです。

ガンのステージと関連ですが、ステージ2から3は局所進行期とよばれます。検査上は全身に転移を認めませんが、一定の割合で微小な転移が隠れています。これを念頭に置きつつ、進行した局所病変に対し治療を行うわけです。これによって再発リスクを抑え、治癒もしくは延命につなげことになります。

ステージ4の患者では、化学療法はガンの鎮静化を図り、QOLを保ってガンと長く付き合うことが治療の主流となります。このように治療費の問題を別にすれば、化学療法は確実に進展しているようです。

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