ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

長寿ホルモン?のはなし

2015-11-04 10:36:40 | 健康・医療
先日テレビで長寿ホルモンというのをやっていました。長生きの3兄弟のこの長寿ホルモン量を測定すると、普通の人たちの平均値の2倍~3倍持っているというのです。この長寿ホルモンは何のことなのか、興味を持ってしばらく見ていました。

協力者100人のこのホルモン量を測定し、分類したりしていましたが、結局何を言いたいのかよくわからない集計結果でした。この番組では、なかなかこの長生きホルモンが何であるのかが出てこず、あたかもこのホルモン量によって、寿命が決まるようなイメージの進行でした。

ずっと見ていたわけではないのですが、どうもこのホルモンは脂肪細胞が作り出すようです。しかし肥満によって脂肪細胞が膨らむと、血液の流れが悪くなり、この長生きホルモンの分泌が減少するというようことを言っていました。そこで脂肪を減らし、長生きホルモンを増やす体操などというのが出てきましたが、やっとこの長生きホルモンがアディポネクチンであることが出てきました。

私からすれば、なんだアディポネクチンかという感じで、この物質が長生きに関係しているとはとても思えません。血中濃度も数μg/mlと非常に多く、いわゆるホルモンと言えるかどうかも怪しい感じがします。

そこでアディポネクチンのはなしですが、これは脂肪細胞が分泌するタンパク質である、アディポカインといわれる物質のひとつです。たぶん20年前ぐらいになると思いますが、世界中でこのタンパクに注目し、日本人も含む何グループかで発見されました。確かにこのアディポカインは、その後の研究によって、人間に有効な働きをすることがわかってきました。あまり確かではありませんが、例えばインスリン受容体を介さない糖取り込み促進作用、脂肪酸の燃焼、細胞内の脂肪酸を減少してインスリン受容体の感受性を上げる作用、動脈硬化抑制、抗炎症、心筋肥大抑制などいわゆる生活習慣病全体にかかわっています。

ですからアディポネクチンが多ければ、例えば糖尿病の予防になるとか、糖尿病が治る感じがしますが、この物質の作用はあくまで人間の恒常性の維持(ホメオスタシス)をしているだけで、インスリンの分泌が悪くなれば糖尿病となってしまうわけです。またこの血中濃度は、人によって異なり、いわばその人の必要量が存在していると考えるべきものです。

ここで番組批判をしてもしょうがないのですが、このような物質を長生きホルモンとして取り上げ、この量が多ければ長寿になるというような根拠のない放映をすることは、問題が多いような気がします。テレビで取り上げられると、納豆が店頭から消えるほど影響力は大きいので、慎重な姿勢を望みたいものです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿