ごっとさんのブログ

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傷を治す人工タンパク質の販売を目指す

2024-07-06 10:38:54 | 健康・医療
最近は抗体を始めとする、タンパク質製剤が多数開発されています。この製造方法は抗体などのタンパク質の遺伝子を微生物に組み込み、過剰発現させて生成するという方法で作られています。

ここで問題なのは微生物の培養液中には、無数のタンパク質が含まれていますので、如何に目的とするタンパク質を精製するかという事です。

最近はこのタンパク質の分離法も進展してはいますが、まだまだコストが掛かり抗体薬などは1回の治療に数百万円もかかる高価な薬となっています。これからもタンパク質医薬は増えそうな気がしていますが、いかに安く精製するかの課題は解決は難しいのかもしれません。

京都大学などは糖尿病などが原因で治りにくい傷の治療に効果がある人工タンパク質のスポンジについて来年度中の販売を目指すと発表しました。薬事承認されれば、日本で初めての遺伝子組み換え技術を使った医療機器となります。

京都大学付属病院と三洋化成工業が共同開発し、治りにくい傷の治療に有効な医療機器として実用化を目指すのは、スポンジ型の人工タンパク質「シルクエラスチン」です。火傷やガンなどで皮膚を切除した際にできる難治性皮膚潰瘍は、糖尿病などが原因で治りにくくなっています。

近年糖尿病患者が増加していることや、高齢化とともにこの傷が治らない患者が増えていることが問題となっています。これまでの治療では傷の潤いを保ちながら、毎日傷を洗い軟膏を付けるなどしていましたが、細菌に感染しやすいことが課題でした。

そこで研究グループは、カイコが作る繭に含まれる絹(シルク)の原料タンパク質などから、遺伝子組み換え秘術を用いて人工タンパク質シルクエラスチンを開発しました。

スポンジ型に加工したシルクエラスチンを傷に貼りつけると、体液で溶けてゲル状になり細菌感染を抑えながら、傷を治す力を強くする効果があることが確認されました。2018年には医師指導の元行った治験で安全性を確認しました。

さらに2021年から去年まで行っていた治験では、患者の傷にシルクエラスチンを被せたところ、25人中23人で効果がみられ、高い有効性が確認できたようです。三洋化成は今年4月に、薬事承認申請を行っていて、来年度中の販売を目指すとしています。

ここでは価格については全く触れていませんが、服用するわけではないのでそれほどの純度は必要ないのかもしれませんが、やはりどの程度の価格帯に収まるかも問題となるような気がします。

やはり近年は遺伝子組み換え技術が一般的な手法になりつつあるようです。