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遺伝子組み換えが困難な細菌を改変

2024-07-20 10:34:18 | 自然
現在は遺伝仕組み換えによって、細菌に有用物質を作らせたりする研究が進んでいます。しかし私が勤務していた会社では、50年以上前から育種によって細菌を改変し物質生産に使っていました。

この遺伝子組み換えも難しい細菌がいるようですが、長浜バイオ大学と名古屋大学の研究グループが、この難しい細菌を組み替えやすく改変することに成功したと発表しました。

組み換えを困難にするハードルが、細菌が外来のDNAから身を守る防御機構にあることを裏付け成果を導きました。組織や細胞、遺伝子などの生物の部品を組み合わせて生命の機能を設計し、目的の機能を持つ細胞や生物を作り出す「合成生物学」の研究が近年活発となっています。

合成生物学を物質生産に利用するのがバイオモノづくりで、化石資源を使わない持続可能な物質生産として、各国で重要な分野と位置付けられています。バイオものづくりには微生物の基となる「基盤微生物」が必要で、遺伝子組み換えがやり易い大腸菌が多用されてきました。

例えば糖尿病患者の血糖値を下げるインスリン製剤の製造では、ヒトのインスリン遺伝子を大腸菌に組む込み発現させています。しかし自然界の細菌の多くは、人類が利用するための遺伝子組み換えが困難で、利用しにくくなっています。

大腸菌が生存できない環境でも増殖でき、より複雑な物質をつくれる基盤技術が求められてきました。研究グループは、有望な細菌としてアシネトバクター属細菌「Tol5」に注目しました。

Tol5はさまざまな炭化水素を栄養として利用でき、毒性が高い有機溶剤のトルエンを分解し、生成物を回収しやすいなどの利点があります。一方遺伝子組み換えが難しいとされてきました。実験では。Tol5の外来DNAに対する防御機構に着目しました。

これに関わる2つの遺伝子を欠損させた場合に、電気パルスを使い外来DNAを導入する効率が約5.7万倍も向上しました。Tol5の遺伝子組み換えが難しいのは、防御機構のためであることを実証しました。

この遺伝子欠損Tol5株では、DNAの断片を連結して組み換えDNAを作る作業を、高価な薬品が必要な試験館内だけでなく、細胞内でも行うことに成功しました。

さらに別のアシネトバクター属細菌を使って開発した遺伝子ツール(プラスミドDNA)を電気パルスで導入し、標的の遺伝子の塩基配列を書き換えることもできました。細菌ごとのオーダーメイドでなく、別の細菌で作ったツールを使えることを示しました。

こうした防御機構は多くの細菌が持っており、これを壊す今回の手法を応用できれば、バイオモノづくりの可能性が広がるとしています。


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