ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

フィブリン血栓の脳梗塞のリスクはO型が低い

2022-08-26 10:28:11 | 健康・医療
突然死を招く病気で最も多いのが脳梗塞と心筋梗塞です。私の歳になるとこういった病気が発症する可能性はだんだん高くなっていくような気がします。

私の友人も2名が脳梗塞を発症しましたが、ともにリハビリの結果後遺症もなく治っています。ただそのうちの1人はその後心筋梗塞にもなっていますので、血栓ができやすい体質なのかもしれません。

この血栓の主なものに「フィブリン血栓」と「血小板血栓」があります。フィブリンは血液凝固に関連するタンパク質のフィブリノーゲンが分解されて活性化したものです。

このフィブリン血栓は流れが遅い血管にできやすいことが知られており、とくに足の付け根から骨盤内を通っている太い静脈や、ふくらはぎの深いところを通っている静脈が好発部位となっています。

また脳梗塞を起こすフィブリン血栓は、心臓の左心室で生じ、左心房の不整脈があると血流がとどこうって心房の内壁にフィブリン血栓ができやすくなります。それがちぎれて左心室に移動し、大動脈を経て一気に全身に送り出されます。

血栓が運悪く脳内の血管をふさいでしまうと脳梗塞の一種である「脳塞栓症」を引き起こします。

心臓由来のフィブリン血栓は大きいことが多く、脳の太い動脈をふさいでしまうため、今まで元気だった人がいきなり意識を失って倒れるなどの急激な症状が出ることがあり、致死率も高くなっています。

血小板血栓は動脈硬化が原因で生じ、動脈の内壁にできたプラークが何かの拍子に剥がれると、たちまち血小板が集まって凝集し血栓を作ります。血小板だけの血栓は脆く崩れやすいため、大きな血栓はできにくいといわれています。

ただし血小板が凝集すると、それにつられて周辺のフィブリン分子が線維を作って血栓を補強するため、ある程度は大きさが保たれます。急性心筋梗塞については、冠動脈の動脈硬化つまり血小板血栓が主な原因です。

心臓の構造上心房細動でできたフィブリン血栓は、冠動脈に紛れ込みにくなっていますので、フィブリン血栓による急性心筋梗塞は少なくなっています。

血液型は赤血球の糖鎖により決定されますので、フィブリン血栓による脳梗塞はO型以外に生じやすいと考えられています。また血小板血栓についても、フィブリンによる補強という点ではやはり非O型の方が不利であるようです。

最近の研究ではフィブリン血栓の脳梗塞は、非O型のリスクがO型の1.5〜2倍、血小板血栓の脳梗塞については1.1〜1.2倍、急性心筋梗塞は1.2倍ほどリスクが高いとされています。

私の血液型はO型ですので、こういったリスクは少し低いのかもしれませんが、こういった血栓症がいつ起こってもおかしくない歳ですので、それなりに注意すべきかもしれません。

他人の痛みを正確に知る方法はあるのか

2022-08-25 10:32:22 | 健康・医療
かみさんはよくわき腹が痛いとか、胸の横が痛いなどといっていますが、どの程度の痛みなのかまた危険性はあるかを知りたいのですが、所詮他人の痛みを知ることは難しいようです。

ズキズキ痛いとかピリピリというような形容詞を使うことで、少しは説明できますが結局どの程度の痛みなのかを判断することはできません。結局本人がこれは医師に診てもらった方が良いとか、痛み止めを飲んでみようとか決めるしか方法はないのが実情です。

現在は非常に多くの「痛み止め」があり、最近品不足で話題になった「カロナール」のような鎮痛剤から、「モルヒネ」のような医療用麻薬までそろっています。

これまでの医学史上数々の痛み止めが開発され、痛みの強さや種類に合わせて使用できるようになり、現在は恵まれた環境で生きているといえます。しかし「どのような痛み」かを本人以外が正確に知る方法は未だにありません。

前述の「痛みの強さや種類に合わせて」と書きましたが、その強さや種類は本人しかわからないのが実情です。痛み止めを処方するのは医師ですが、どれほど腕を磨いても他人の痛みを感じることはできません。手掛かりは患者の主観的訴えからしか得られないのです。

「痛み」のような自覚症状を基に薬を処方する時、血圧やコレステロール値のような客観的な指標はありません。痛みを何とか客観的に把握するための使うツールがいくつか考案されており、そのひとつがVAS(視覚的アナログスケール)です。

10センチの物差しを用い、左端の「0」は痛みがない状態、右端の「100」は想像できる最大の痛みとした時に、今の痛みがどのあたりあるかを指し示すものです。こういった数値で表現するものの他にFRSという方法もあります。

さまざまな表情の顔が描かれていて、今の痛みに近い状態の顔を選ぶというものです。左端は痛みを感じていない楽な表情、右端は痛みで涙を流してつらそうな表情で、数字で表現できづらくてもイラストなら感覚的に選ぶことができるというものです。

また痛みの強さだけでなく、痛みの性質や日常生活の障害度、生活の質(QOL)などを問う評価方法もあるようです。こういった痛みを客観的にとらえる工夫はされているようですが、残念ながらあまり科学的な方法とは言えないような気がします。

将来さらに技術が進歩し、痛みがより正確に数値化できるようになればもっと良い薬の使い方ができるようになることを期待していますが、まだまだ患者の主観的な訴えをいかに医師が判断するかにかかっているような気がします。

治療薬の選択肢が広がる片頭痛

2022-08-24 10:29:47 | 
幸い私はいわゆる頭痛もちではなく、この歳になるまでほとんど頭痛で苦しんだ記憶がありません。

周りにもそういったヒトがいませんので、片頭痛と聞いても実感がないのですが、CMなどでは頭痛薬が大々的に宣伝されていますのでかなり苦しんでいる人は多そうです。

頭が痛くて寝込んだり吐いたりすることもある片頭痛ですが、日常生活に支障があっても「たかが頭痛」と周囲も本人も軽視しがちで、医療機関の受診率は低いようです。

頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛があり、くも膜下出血や脳腫瘍などの他の病気により引き起こされる二次性頭痛に対して、原因となる病気が無くても起こるのが一次性頭痛(慢性頭痛)です。

片頭痛は緊張型頭痛、群発頭痛と並ぶ三大頭痛のひとつで、国内の患者数は840万人と推計されています。心臓の拍動に合わせて痛みを感じ、吐き気や嘔吐を伴ったり光や音に過敏になったりするのが片頭痛の特徴とされています。

片頭痛の診断も難しく、血液検査や脳波の検査でも異常がなく、コンピュータ断層撮影(CT)と核磁気共鳴画像装置(MRI)による検査で脳に異常がないことがはっきりしてから診断されることが多いようです。

治療薬としては、頭痛のメカニズムに直接働きかける「トリプタン」が開発され、2000年から日本でも使えるようになっています。片頭痛の発症メカニズムは完全には分かっていませんが、頭蓋内の血管が拡張し炎症が発生することで痛みを引き起こすと考えられています。

トリプタンは神経伝達物質のひとつで血管の拡張と収縮に関わるセロトニンの作用に働きかけて、血管の拡張と炎症を鎮めます。2022年6月に発売された「レイボー」は、頭痛発作が起きたときに服用する急性期治療薬としては20年ぶりの新薬です。

片頭痛発作を起こす神経伝達物質の放出を抑えて症状を和らげますが、血管収縮作用がないので血管疾患のリスクがある人も服用できます。

また2021年には血管を拡張させたり炎症を起こしたりする物質(CGRP)をブロックすることで、痛みの発作が出ることを抑える片頭痛予防薬も複数の製薬会社から相次いで発売されています。当然こういった新薬は処方箋が必要ですが、問題は受診率の低さです。

「頭痛の診療ガイドライン2021」によると、片頭痛患者の約7は医療機関を受診したことがなく、約5割は市販薬のみを服用しているようです。

ただ多くの患者は痛みが去ったから受診しないだけでなく、どこに受診したらよいかが分からないという状況で、啓発の必要性があるとしています。

この様に片頭痛の新薬も登場していますが、普通のクリニックの医師などがどこまでこういった最新情報を把握しているのかも問題のような気がします。

新型コロナの「全数把握」から「定点把握」に移行するか

2022-08-23 10:28:08 | 時事
新型コロナの感染者数は拡大傾向は治まったものの、減少せず高止まりの傾向が続いています。

最近岸田首相も感染したという報道がありますが、万全な感染対策をしていてもかかることは防げないというのがこの感染症かもしれません。

新型コロナの分類を2類相当からインフルエンザなどと同じ5類にするという議論はどうも消えてしまったようですが、ここにきて感染者数の「全数把握」をやめることを検討するという動きが出てきました。

これには医療従事者の負担を軽減して、医療行為に専念するという大義名分を出しています。このまま進むと「定点把握」になりそうですが、これは実質的に分類が5類になったのとほぼ同じことになりそうです。

まあ筋論から行くと、3年間も実施してきた全数把握がここにきて医療関係者の負担が多いなどといいだすのは、おかしな理論ですが専門家も反対しにくいのかもしれません。

現在医師は診断した新型コロナの患者情報を届け出る必要があり、政府の情報共有システム「ハーシス」に入力する運用ですが、印刷して手書きで書いたものを保健所にFAXで送っている医療機関も多いようです。

一方軽症患者が多い感染症では、全数を数えるというのは非常に効率が悪くなります。5類感染症のうち季節性インフルエンザや流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などは「定点把握対象疾患」となっています。

これは医療機関の中から協力してもらえる定点医療機関を設定し、その施設のみの報告に留めるという方法です。個人情報は含めず人数のみを報告するため、発生動向の把握が必要な感染症のうち、患者数が多くて全数を把握する必要がないか、把握できないものがこの対症となります。

あるいはこの定点把握ではなく、一定のリスクや重症度を有する人だけを拾い上げて報告していく「リスク別把握」という方法もあるようです。実際に5類感染症の水痘は、入院例を全数把握する仕組みになっているようです。

私の麻雀仲間は高齢者ということもあるのですが、この7波の感染者数が多いので麻雀を中止しています。

私は6波の前からコロナはすでに軽い風邪になっているので、感染者数など気にする必要はないという意見ですので、全数把握をやめることには賛成です。また海外の動向に合わせて、日本もウイズコロナの時代に入ったとするのと同じ政府の方針は大いに歓迎するところです。

このまま来月くらいに「定点把握」に移行するのかはまだはっきりしていませんが、この流れではこのまま進みそうです。ただ不謹慎ですが、毎日の感染者数の動向に一喜一憂していることがなくなるのは、少し寂しいような気もします。

健康に良いウォーキングは1日1万歩?

2022-08-22 10:30:01 | 健康・医療
現役のころは健康保険組合などから万歩計が支給され、歩数を測ったりしていました。

私のように有機化学の実験をしていると、単に実験室をうろうろしているだけですが、それだけで1万歩ぐらいになることが多く思った以上に歩いているものです。

ただ私は昔から歩くことが嫌いで、何とか歩かずに済む方法を考えていました。ですからいくら健康に良いといわれても、散歩などをやる気は全くありません。

1日1万歩を歩く人は、3500歩しか歩かない人より体重を減らしやすいことを示すエビデンスは複数あるようですが、最近の研究結果では違った結果が示唆されているようです。

進化生物学者の調査研究では、1日に何マイルも歩く伝統的な狩猟民族は、デスクワークのみのアメリカ人と同じぐらいのカロリーしか消費しないことを示すデータが得られています。

この説明としてヒトの身体は運動によって消費されたエネルギーをその他の消費カロリーを節約したり、空腹のシグナルを増やしてより多く食べるように促したりして補っているためとしています。

この説は議論の余地がありさらなる研究を必要としますが、ウォーキングと減量は単純な関係ではないことを示唆しています。1日1万歩が目安というのは、単に歩数計(万歩計)の名称から生まれたもので、研究者によると健康のためには7000歩から8000歩が効果的といわれています。

ただハーバード大学の研究者によると、「1日1万歩」を目標にするにはいくつか良い点があるとしています。まず覚えやすい数字であること、これだけ歩く(1日に約5マイル)と健康上のメリットを得られること、歩くことは多くの人にとって取り組みやすい運動であることなどです。

また2019年の高齢女性を対象とした調査で、1日4400歩を歩く人は、あまり歩かない人(1日2700歩以下)の人に比べて、その後4年間の死亡率が低いという結果も出ています。

リスクの低下は1日7500歩で最大になるようで、1日1万歩やそれ以上のウォーキングでは更なるメリットは得られないことも明らかになっています。同様の2020年の調査では、1日8000歩から1万2000歩を歩く人は、1日4000歩の人と比べてあらゆる原因での死亡リスクが低くなることが分かりました。

こういったことを合わせると、1万歩に達しても達していなくても、多く歩くことは健康に良いことは確かなようです。ただしウォーキングで減量を考えている人は、これだけではダイエットに繋がらないことも確かなようです。

昔「みかん」というネコがいたのですが、このネコが私と一緒に散歩するのが好きで、リードなどつけなくてもそばをちょろちょろしていました。

こういった面白い散歩はする気になりますが、いくら健康に良いといっても歩くのが嫌いなことは変わりませんので、私にはウォーキングは無理なようです。