「角巻き」
もう知らない人が多いと思う
「駒子が着ていた雪国のマント」
これも知らない人のほうが多いかもしれない
川端康成の雪国のヒロイン
駒子の登場は角巻きを着て駅に現れるところから始まる
「国境の長いトンネルを抜けると其処は雪国だったーーー」
この雪国は新潟の越後湯沢
豪雪地帯、スキー場のメッカだ
さてこの冬
この角巻きの出番が多い
つまり東京は芯が冷える
初めて冬の十日町に取材に行ったとき
そのあまりの雪の深さに仰天した
とにかく民家の軒下まで積もっている
チャコちゃん先生犬と一緒でただ面白く
きものに長靴を借りて走り回っていた
と其処へ
裸電球に照らされた雪の歩道から
カチャカチャと雪下駄に角巻き姿の女性が現れた
「おばんです」
と挨拶されてもその姿の美しさに見とれていて言葉を返せない
「フー」
雪国には雪国ならではの美しい衣装があった!
興奮したチャコちゃん先生定宿の「龍言」にもどるや
「ねえねえあのマントほしい、それに雪下駄も」
と女将さんにねだる
「マントとはいわないの角巻き」
「そうそれ」
雪下駄はすぐにでも龍言で手に入ったがーー今でも売っている
角巻きは次のシーズンまでお預けだった
ついでに雪国の長靴もゲット
これはどんな雪の道でも滑らない優れもの
暫く得意げに着ていて
竺仙の亡くなった社長が
「比佐子さんいい加減その赤ゲットは何とかならないの」
と顰蹙を浴びていた
そうそう色はボタン色でもともと衿には犬の毛皮が付いていたが
其れをホックスに変えたので余計目立つ
ここのところ暖冬で全く出番がなかったのだが
此処へきてこの赤ゲットなかなかよろしい
この角巻きを初めて見たセキドが
「これ新しく作って商品化しましょうよ」
と張り切っている
事ほど左様に
洋風の「マント」とは違って着物の肩の線を華奢に出す
ヤハリご当地で考えられ
しかも芸者が好んできた角巻きは
あくまでも色っぽく見せてくれる
川端康成もきっとこの角巻き姿の芸者に惚れて
あの名作が出来たのだろうと思う
チャコちゃん先生も若いときこの姿で闊歩していたら
小説の挿絵家故小林秀美画伯に
「スケッチさせて」
と色いろポーズをとらされたことがある
そのうちの一枚は事務所に戴いて飾っている
寒冷期に入ったと言われている今冬
ますますご当地角巻きの出番が増える
先日龍言の女将さんにまた探して欲しいと言ったら
あのソプラノの声で
「アーラもう作る人もいなくなったわよおー」
いとも簡単に却下された
今に作るぞ
もう知らない人が多いと思う
「駒子が着ていた雪国のマント」
これも知らない人のほうが多いかもしれない
川端康成の雪国のヒロイン
駒子の登場は角巻きを着て駅に現れるところから始まる
「国境の長いトンネルを抜けると其処は雪国だったーーー」
この雪国は新潟の越後湯沢
豪雪地帯、スキー場のメッカだ
さてこの冬
この角巻きの出番が多い
つまり東京は芯が冷える
初めて冬の十日町に取材に行ったとき
そのあまりの雪の深さに仰天した
とにかく民家の軒下まで積もっている
チャコちゃん先生犬と一緒でただ面白く
きものに長靴を借りて走り回っていた
と其処へ
裸電球に照らされた雪の歩道から
カチャカチャと雪下駄に角巻き姿の女性が現れた
「おばんです」
と挨拶されてもその姿の美しさに見とれていて言葉を返せない
「フー」
雪国には雪国ならではの美しい衣装があった!
興奮したチャコちゃん先生定宿の「龍言」にもどるや
「ねえねえあのマントほしい、それに雪下駄も」
と女将さんにねだる
「マントとはいわないの角巻き」
「そうそれ」
雪下駄はすぐにでも龍言で手に入ったがーー今でも売っている
角巻きは次のシーズンまでお預けだった
ついでに雪国の長靴もゲット
これはどんな雪の道でも滑らない優れもの
暫く得意げに着ていて
竺仙の亡くなった社長が
「比佐子さんいい加減その赤ゲットは何とかならないの」
と顰蹙を浴びていた
そうそう色はボタン色でもともと衿には犬の毛皮が付いていたが
其れをホックスに変えたので余計目立つ
ここのところ暖冬で全く出番がなかったのだが
此処へきてこの赤ゲットなかなかよろしい
この角巻きを初めて見たセキドが
「これ新しく作って商品化しましょうよ」
と張り切っている
事ほど左様に
洋風の「マント」とは違って着物の肩の線を華奢に出す
ヤハリご当地で考えられ
しかも芸者が好んできた角巻きは
あくまでも色っぽく見せてくれる
川端康成もきっとこの角巻き姿の芸者に惚れて
あの名作が出来たのだろうと思う
チャコちゃん先生も若いときこの姿で闊歩していたら
小説の挿絵家故小林秀美画伯に
「スケッチさせて」
と色いろポーズをとらされたことがある
そのうちの一枚は事務所に戴いて飾っている
寒冷期に入ったと言われている今冬
ますますご当地角巻きの出番が増える
先日龍言の女将さんにまた探して欲しいと言ったら
あのソプラノの声で
「アーラもう作る人もいなくなったわよおー」
いとも簡単に却下された
今に作るぞ