チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 46

2018年11月09日 17時28分22秒 | 日記
着物の何を繋いでいくのか
深く考えてしまう

養蚕農家の減少
日本の絹の生産は風前の灯
いま現状にある着物の殆どの絹は中国やブラジルのもの

最近は育てたところではなく
糸の加工すれば「日本産」という名前がつくらしい

それと別に純然たる日本の絹を「日本の絹」としてラベルがはられている
日本の絹よその絹に比べて数段良いものだと胸を張ることができるのだろうか?

日本は昭和40年代を境に世界一の生産を誇った地位から落ちた
今は全世界の生産国の下の方になっているというより国名が上がって来ない
がしかし絹の消費国としては世界ランキングは上位にいる

先日養蚕農家の研究者と懇談をしたが
思いがけず「ナカタニさん驚いてはいけません全世界で生糸の生産量は中国の次が北朝鮮ですよ」
さもありなんとチャコちゃん先生は驚かなかった

北朝鮮に養蠶の技術をしっかり教え込んだ企業があり
おそらく北朝鮮はその優秀な技術をきちんと守っているのだと思っていた
桑はいろんな気候に合う種類がありその桑を日本から持っていっている
北朝鮮の絹はきっと日本の絹のように美しいのだろう
「見に行きたいでうね」

ブラジルの生糸もそう日本の技術者が精魂込めて伝授した
そのため白生地を専門にする方は
「今はブラジルの糸が世界で一番いい」
とまで言う

日本では繊維会社ではない別の企業が養蠶を始めている
「無菌養蠶」
蚕を無菌状態の部屋で一年中飼育する
桑は粉末にして人工飼料
こちらも何社か取材した
「良い糸を作る」というよりサプリメントや化粧品の材料としてのかいこの姿がある

しかし蚕は蛹になるとき糸を吐くので当然繭は残り糸にすることはできる
その糸を触ると風合いが少し違う
でもシルクの光沢は残る
糸の量産はできるだって一年中蚕に糸をはかせることができるから

こういう現状の中蚕の運命はどうなっていくのだろうと思う
もともとは蚕は桑の害虫として存在していた
繭を作り底の中に入って命を保ち蛾になって交尾し卵を生み命をつなぐ
その繭から糸を取り衣類にしたのは人間

その人間は次なることを考えて行動をしている
これを宇宙が許しているとしたらそうなっていくのだろう
最近こんなことをあれこれ考えていると
人智で残すものって無いのかもしれないと思ってしまう

悩みの中にいるチャコちゃん先生

#北朝鮮 #繭 #蚕 #無菌飼育 #養蠶 #ブラジル #中国 #蛹 #桑


コメント
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