チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 43

2018年11月05日 16時09分20秒 | 日記
風がひんやりすると結城紬に手を通したくなる
母の懐の暖かさという感覚が結城紬にある

チャコちゃん先生の母は一年をほとんど着物で通していた
幼い頃座っている母の膝に登る
そのときつるつる滑る着物が大島紬
おしりが暖かくなるのが結城紬だった
ということは後に姉が教えてくれた

お尻感覚というのが面白い
大島紬を着ている母の膝には長時間駐在できないので父のところに行く
父は茶の間にいる時間はあまりないが父が座るとめがけていく
父の家庭着に大島紬も平織りの紬もなく
だいたい結城紬のような真綿紬が多いので父の膝は滑らない
時々あぐらを組むと座ってるこちらが落っこちるので不安定になって膝から去る

姉の膝にも乗っていた
お稽古から帰ったあとちょっと座ってお茶を飲んだりしているとき
つつつと膝に乗る
先日姉の遺品の中からその時の写真が出てきてびっくり
姉が着ていたのはお召であまり滑らないけど長居はさせてもらえなかった

その時の遺品の中から姉がお点前をしている写真もあり
それがなんと大島紬の振り袖を着ていた
飛び柄で華やかな感じが白黒写真でも伺える

前に「大島紬で振り袖を作りましょう」と提案したけど即却下
姉のこの写真を見たら当時反対した人の考えも変わったかもしれない

昭和40年後半から着物についてのあれこれを論じる人が増え
いろんな決まりをつけていったのは残念だ
こういう自由な感覚の写真はそれぞれのご家庭にあるはず
みんなでおおらかに着物を楽しみたい

さて
末っ子は誰の膝にも乗る
しかし父や姉たちが洋服を着ているときは膝にのらなかったそうだと姉は言っていた

着物には安定感があったのだろう
そして尻感覚の最高の着物が結城紬であった
皮膚感覚は疎かにはできないとつくづく思うものである

今頃の季節になるとその当時の我が家の風景を思い出す
おしりが着物に馴染んでいたにもかかわらず
着物を全く着ない青春であった
しかも一生着ないだろうと思っていた

みいつ語の魂100までというが
案外この尻感覚が着物の素材の本質を覚えていて
チャコちゃん先生を潜在意識の奥の奥の方から突き動かしているのかもしれない

そう考えると赤ちゃんのときの経験はどんな年代になっても生きているということだ
幼児体験をもっと思い起こすと本当の自分の使命が簡単に理解できるかもしれない

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コメント
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