塾では4日から新しい学年がスタートしました。
3月から新しく入塾された生徒さんも加わり、新しい学年のスタートを実感します。今年はどんな1年間になるのか、今からとても楽しみです。
教室の中も新学年のスタートを実感するような風景があちこちに点在していました。その1つが新学年で使う教材の山。今年は例年にも増して山の高さが高く、生徒さん別に分ける仕分けの作業も大変かと思いきや事務担当の岡田さんがあっという間に片付けてしまったのには、こちらもびっくりでした。
そんな教材の山も、ただ皆さんに渡せばいいというのではなく、選ぶときも一人ひとりの学習状況などを思い浮かべながら選んだつもりです。結果的に同じ教材であっても、個別の塾なので活用の仕方はいろいろになります。皆さんの学習状況などを勘案して決めたつもりですので、まずは渡された教材に真剣に向き合って取り組んでほしいと思っています。
そして、新年度の風景としてもう一つ見られたのが「習熟ガイドツアー」です。
これは新しく入塾される生徒さんに、習熟の仕組みを知ってもらためのものです。今までは、その場その場で皆さんに説明していましたが、今回からこれを一人のキャスト(ガイド)が新しく入ってくる皆さんを引率しながら一通りの流れや注意点を説明していく教えていく方式に変更しました。
また、習熟が初日の生徒さんにはキャスト役がはじめから終わりまで付き添い、習熟の一連の流れを説明することで、ばらばらに説明していた内容が一貫し、また同じ一人のキャスト役から教われることで、初めての生徒さんでも誰に聞いたいいか分かりやすくなると思い、今回初めて実施をしてみました。
これは私がディズニーシーへ行ったときに、新しく働くキャストの人が、先輩のキャストについて見て回るガイドツアーを実際に見て思いついたものです。当塾ではこの形式のツアーは今回が初めてだったため、全てがうまくいったわけではありませんが、今までよりは混乱も少なく、新しく入ってきた生徒さんたちを導けたのではないかなと思います。
今回のキャスト役には講師やチューターが交代で当たりましたが、3/6には現況のスタッフでは人手が確保できなかったため、当塾を卒業したばかりの3年生の方に特別にお越しいただき、キャスト役をやっていただきました。
キャスト役の3年生と教わる側の1・2年生が、同じ部活の先輩と後輩だったり、顔見知りだったりすると、教わる側の1・2年生も学校で見ている先輩とはちょっと違った一面が見れたのではないかと思います。
この「習熟ガイドツアー」はもう一つの目的があります。前出のディズニーのキャスト教育の一環として行なわれる「ガイドツアー」には、マニュアルでは分からない「何か」が伝わることを意図して、先輩キャストが新人キャストを引率して一緒に現場を回ると聞いたことがあります。説明の場以外では、新人キャストの緊張を解くために他愛もないおしゃべりをしたりすることもあると思います。その中で、新人は先輩の情熱や仕事へのこだわりなどの「何か」をつかみ、成長していくということがあるそうです。
今回の「習熟ガイドツアー」も実は同じコンセプトで行っていました。卒業していく生徒さんから、新しく入ってくる生徒さんへ、この塾で学んだ先輩から「何か」が伝われば、そんな意図があったのも事実です。もちろん今回は初めてだったので、そこまでは行かなかったかもしれませんが、キャスト役の卒業生は立派にその役を果たしたと思います。そして、私はこのツアーをさらに充実させたものにして、他の場面でも塾内で「世代間の教えあい」ができればいいなと思っています。
私の教育の理想の1つに「世代間の教えあい」というのがあります。日本では古来、これが近所のつながりや大家族という中で、先に生きたものがこれから生きていくものにいろいろな知恵を渡していく、そんな世界が広がっていたように思います。
しかし、核家族化の進行と地域関係の希薄化で、「世代間の教えあい」がだいぶ薄れてきている、最近はそのように思っています。そのような中で、先輩は後輩へ「伝えていくもの、伝えたいもの」を自覚してしっかりと渡してけば、私はそれが「伝統」になるのだと思います。
今回の習熟ガイドツアーは、一種の「世代間の教えあい」であり、塾の中の一部のこととはいえ、先輩から後輩に伝えていく「何か」があればいいなと思って企画してみたのものでもあります。この塾はまだできて7年、でももう7年が過ぎました。これからの塾の方向性を決める重要な時期であるともいえます。そのような中で先輩から後輩へよき「伝統」が受け継がれていけば、私はとても素晴らしいことだと思います。