世界で9割占めるラガ- 常温で発酵させるエ-ルは長い間、世界のビ-ルの主流でした。 しかし、冷蔵庫がない時代は、暑い時期はビ-ルに雑菌が入り、 醸造に失敗することも珍しくはありませんでして。15世紀ごろ、 冬に醸造したビ-ルを山や、地下に穴を掘って氷を詰めた室で 蔵すると高品質のビ-ルになることにドイツの醸造業者が気づき ました。これが、低温で発酵させ、低温で熟成させる「ラガ-(下 面発酵ビ-ル)」の始まりです。「ラガ-」は英語で「貯蔵」を意味し ます。ラガ-の特徴は、香りは控えめでスッキリした味わいです。 特に、1842年にチェコのブルゼニ(ドイツ語名ピルセン)市で生ま れた「ピルスナ-」は、美しい黄金色とさわやかなホップの香りと 苦み、なめらかな泡の口当たりで世界中の人々を魅了し、ラガ- が世界に広がるきっかけとなりました。現在、日本を含め世界で 飲まれているビ-ルの9割はラガ-です。地ビ-ルでよく飲むこと ができる「ヘレス」は「薄い、明るい」と言う意味のラガ-です。 色が濃いラガ-は「デュンケル(ドンケルとも)」と言います。どちら も麦芽の甘みを感じる、ピルスナ-よりも苦みの少ないドイツの ラガ-です。「ポック」はアルコ-ル度数が高いラガ-、「シュパ ルッピア(黒ビ-ル)」は大手ビ-ルメ-カ-もよく造る文字通り 黒いラガ-です。春から初夏にかけて、ドイツやベルギ-のピア レストランでは、ホワイトアスパラガスがよく出ますが、そのほろ苦 さはヘレスとよく合います。
野菜、果物、牛乳で新たな味 最近、東京の地ビ-ルのお店やイベントでは、お菓子の材料や フル-ツを使った「スイ-ツビ-ル」が話題になっています。黒糖、 バニラ、サツマイモ、チョコレ-ト、ハチミツ、夏ミカン、ゆず、 イチゴ・・・。「ビ-ルと会うの?」と驚かれるかもしれませんが、 もともと、ビ-ルには麦芽の甘みがありますので、いずれもおいし いビ-ルです。地域の特産物を使ったビ-ルなら北海道の 地ビ-ルも負けていません。北海道産米、ジャガイモ、 トウモロコシ、カボチャ、ヤ-コン、ニンジンなどの野菜から、リンゴ、 ブドウなどの果物、昆布、ホタテ貝などの海産物などさまざまです。 さすがに魚を使ったビ-ルはないだろうと思ったのですが、最近、 サケから抽出したコラ-ゲンを加えたビ-ルが発売されました。さら に、今年最も話題になったビ-ルが「ビルク」。牛乳の消費拡大の ため、中標津町の酒屋が企画し網走ビ-ルが醸造したビ-ルには 牛乳が使われています。イギリスには「乳糖(ラクト-ス)」という ビ-ルか゛ありますが、牛乳そのものを仕込み水の一部として使う ビ-ルは世界でも珍しく、このビルクのニュ-スは通信社の記事で、 世界にも配信されました。日本では法で定められた以外の副原料 を使うと「発泡酒」と表示する必要がありますが、地域の原料を使っ たビ-ル・発泡酒をぜひ試してくた゜さい。新しい味にはまるかもしれ ませんよ。