あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

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2011-08-17 21:13:09 | 旅する
八戸を行き先に選んだのは、先日横浜トリエンナーレで『八戸レビュウ』という展示を観たことがそのきっかけの一つとなった。展示で紹介されている一人ひとりが魅力的で、またその一人ひとりを紹介する文の温かさが





行きは新幹線の指定席を確保することができた。着いてからのことをあまり考えていなかったため、朝3の列車を選んだ。着いてからすぐに十和田湖に向かおうと思ったのは車中でだった。そうすれば、2日目にゆっくり市内を回ることができると考えてのことだった。

八戸駅に着いてすぐ、駅に隣接したホテルに手荷物を預けた後にバスに乗った。それほど混雑していなかったのは楽ではあるが、観光シーズンにしては寂しい気もした。ただ、バスは本数も少なく、また時間も制約が多い。

約2時間バスに乗り、奥入瀬渓流の途中、石ヶ戸というバス停で降りて少し散策することにした。
穏やかな流れはやがて険しくなり、さらに歩を進めるごとに様相を変えていく。その変化が楽しく、暑い中でも足が進んだ。







途中の橋の上から川面を眺めると、花を付けた藻が揺れていた。その涼やかな景色に救われ、さらに歩を進めた。



ただ、涼しさをじかに感じるには荒々しい流れの方がいい。岩にぶつかった水がしぶきとなり、辺りの空気を冷やしていく。そこにはマイナスイオンが漂っているのだろう。「気持ちいい」と心の中で叫んでみた。





再びバスに乗り、十和田湖畔の休屋という場所に向かった。



十和田湖は…いや、湖はなんとなく怖い。山に囲まれた空間に、広くそして深い水たまりがあるというイメージが恐怖心に結び付く。遊覧船に乗るのも気が引けた。だが、時間的に乗ることができなかったため、残念なのとほっとしたのとで複雑な気持ちを抱えながら、もうひとつの見どころである乙女の像に向かった。



あまりにも有名な像だが、高村光太郎作ということを失念していた。あまりにも有名な像でイメージばかり先行していたが、いざ実物を目の当たりにすると、その自然の中に溶け込んでいるようで、それでいて強烈な存在感に「美しい」という気持ちしか湧かなかった。紅葉の中で、また雪景色の中でもその美しさを鑑賞したい。

八戸に戻り、中心街へと向かった。八戸駅は中心街から離れていることは知ってはいたものの、それほどではないだろうと高をくくっていたのだが、バスで20分強もかかった。

店を選ぶのも難しいと思っていたところ、ピンク色の提灯に照らされた着物姿の女の子に誘われて居酒屋に入った。中には先客が数名、静かに酒を楽しんでいた。せっかくだからといろいろ尋ねてみると、そこから先客を交え会話が弾んだ。後から来たお客さんは甲子園に出場している光星学園のOBだということで、プチエピソードを伺った。お客さんも店の女の子も、地元のみなさんはお墓参りを気にされていた。お盆休みはそのためにあるのだなあと再確認した。



その後、みろく横町という屋台街にあるこの店の姉妹店に行った話は既に書いた通りだ。


翌朝は列車に乗って数駅先の陸奥湊というところに向かった。



車窓から見える空がきれいで、窓を開けてディーゼルエンジンの音をBGMにぼんやり眺めているうちに駅に着いた。古めかしい建物の中も古めかしかったが、中には活気があった。最近テレビで紹介されたのも理由だというが、僕はそのテレビを知らない。



道沿いには自家用車が何台も止まっていたが、僕は移動手段が列車とバスだったので朝食にビールをプラスした。一人だと食べきれない量なのであれこれ買い求めることはしなかったが、家族連れで何種類も買って分け合うのが楽しそうだ。



食事を終え、近くにある館鼻公園に向かった。坂道を登る間、こんな店(?)を見て楽しんだりしたが、ビールを飲んだ時にもう一つの移動手段である「徒歩」を忘れていた… まあ、楽しめたんだからいいじゃないか。

で、館鼻公園に着いた。ここに来た理由が、八戸に来た理由の一つでもある。





以前ハマったドラマ『青い鳥』にこの公園が登場した。八戸が登場する回は温かく、またスリリングな展開が印象的だった。その後、特に印象に残っている階段まで行き、そしてアパートを探したが見つからなかった。



いい年して何しているんだろうと自分でも思うが、だいぶ時間は経ってしまったものの一度は来てみたかった。ついさっきDVDを見てみたが、行く前に見ておけばよかった…

さて、八戸で有名な場所といえば、ウミネコの飛来地「蕪島」だろう。すぐ近くの鮫駅まで歩き、さらに島を目指して歩いた。ここらで一服したいというところでたどり着いたのだが、とりあえず階段を上った。「注意!うみねこバクダン」という標識に首を竦めながら歩いたものの肝心のウミネコは留守のようで、物足りなさを抱えて次へと向かった。



そのまま海岸沿いにバスに乗った。路線図を見ながら「ここからなら歩いて行ける」と思いバスを降り、海水浴場の脇を歩いた。ところが、頭で描いた以上に距離がある上に、湿気を帯びた熱い空気が地面から上がって来て僕を包み込む。「もう歩きたくない」と何度か思ったが、その時点でもう後に戻る選択肢はなかった。



そうしているうちに目の前が開けてきた。ようやく目的地の種差海岸に到着した。歩いてきた間の不快感が一気に吹き飛んだ。さて、遅い食事を取ろうと思い、その前にバスの時刻を確認すると、食事を取っている場合ではなかった。中途半端な時間をバス停で費やしたのち、再びバスに乗った。

車中、前日に行けなかった十和田市現代美術館のことを思い出した。「もしかしたらこれから行けるかな」と調べてみると、行って帰ってくることが可能だった。で、中心街でバスを乗り継ぎ、駅に向かった。


前日の車中から外観の魅力は伝わってきた。だが、現物を観ることに勝るものはない。バスを降りて目の前にあるトイレに入ると、誰かに覗かれているようだった。



屋外にも作品が飾られ、鑑賞に来られた方々だけでなく、近所に住む人たちにも愛されているようだ。





往復にかかる時間の半分しか鑑賞に充てられなかったが、なかなか見ごたえのある美術館だ。メインストリートの広さにゆとりが感じられる、魅力的な町だった。

再び中心街に戻り、きっかけとなった『八戸レビュウ』に繋がる施設「はっち」に向かった。中心市街地は他の街と同じように空洞化が進んでいる。店には活気があるものの空き地や空き店舗が目立つ。




そんな中で、中心市街地に人々の活気を取り戻そうといった目的で作られたのが「はっち」だそうだ。施設内のカフェや事務所などでいろいろお話を伺った。みなさんこの事業を成功させ、中心市街地が人で溢れるようにと願っている。その言葉には郷土愛がちりばめられていた。





展示されたものだけでなく、そこで働く人たちが魅力的で、また来たくなる。そう、4階にはチャレンジ起業を応援するブース式の店舗が用意されていた。こういうのも大事だし、それを育てていこうという八戸市の取り組みは面白い。




3日目となる昨日はひたすら移動をしていた。ただ、途中の平泉で観光をしていこうと思っていたのだが、雲行きが悪くそのまま一ノ関に向かった。ところが、一ノ関に着くとすぐに仙台行きに乗る気分になれず、途中下車した。観光案内の窓口で1~2時間で回れるところはないかと尋ねたところ、ちょうどそんな内容のチラシをくれた。そして、有名なジャズ喫茶を薦められた。

はじめに寄った武家屋敷で案内をしていた方に、この街の現状について少し話を伺った。確かに、新幹線が止まる駅にしては寂しい感じがする。そんな話を聞いた後に、薦められたジャズ喫茶に向かった。



店内は薄暗く、狭い通路を荷物を抱えて席に着いた。暑かったのでアイスコーヒーを注文すると、おつまみやらスナックやらが付いてきた。で、付いてきた伝票を見て納得した。
店の名は「ベイジー」といい、渡辺貞夫さんや日野皓正さんも演奏に来られるそうだ。後で調べてみると、全国のジャズファンが訪れる「聖地」のようなところらしい。



遅くなった昼食を駅前の食堂でいただいた。このソースかつ丼が名物だそうで、確かにうまかった。店内には芸能人らのサインが並べられていた。中でも気になったのが、詩人の谷川俊太郎さんのサインだった。


慌ただしい旅も終り、帰りの電車でぼんやりと考えていた。同じ東北に行くならボランティア活動でもしに行けば良かったのだろうが、行った意味はあったと思う。確かにまだ復旧作業が必要な場面もあるが、復興に向けて元気を取り戻すことも必要だ。次こそは現地に行くだけでなく、何か動くことができたらと思い、それを次のテーマに掲げよう。
コメント (2)
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8月16日(火)のつぶやき

2011-08-17 01:28:04 | つぶやき
11:40 from Twitter for Android
当初は朝一番の新幹線で八戸を立つ予定を考えていたが、城跡を見ておこうと思い、チェックアウト前に散歩に出掛けた。だが、電車の時間が気になったのと、途中から雨が振りだしたことから、ゆっくりとは楽しめなかったな… http://t.co/lPOMrZz
17:40 from Twitter for Android
仙台へと向かっている。曇り空の先に光がさしている。あしたはきっといい日だと思う。 http://t.co/DxuiiHV
22:30 from Twitter for Android
家に着き、シャワーを浴びてから横になった。今夜はこのまま眠らせてもらう。
by Kozy2inMarchen on Twitter
コメント
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