あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

イロアセル

2011-10-30 22:50:56 | 芝居に魅せられる
金曜の夜、新国立劇場の舞台「イロアセル」を観た。

シリーズ「美×劇」のうち、前作の「朱雀家の滅亡」は三島由紀夫の作品でその重厚さが魅力だった。また次作「天守物語」は泉鏡花の作品で、篠井英介さんが主演ということもあり妖艶な美しさを期待する。一方「イロアセル」は3作中1作のみの書き下ろし作品で、藤井隆さんが主演をされるという点でも興味深かった。

その島では人々が発する言葉に色が付いていて、その色によって誰が発言したのかがわかってしまう。だから、人々は本音を語らずに生きてきた。だが、ある日島の外れの丘に囚人と看守がやって来て、そこでは言葉は無色透明だった。そして…



「言葉に色が付く」という設定を最初は呑み込めないでいた。だが、「言いたいことが言えない」ということを表現するための設定だとわかると、その後は芝居にのめり込んでいった。もともと役者としての藤井隆さんが好きだったので、それだけでも楽しみであったが、真面目さと滑稽さが入り混じる彼のキャラクターが活きる役だった。

そう、発する言葉もそうだが、例えばメールを送る時など、綴る言葉を選ぶのに一苦労することがある。相手のことを思って選んだつもりが逆に相手の心を傷つけたり、また僕自身が傷ついたり… 面と向かって本音で話ができたらと思う時もあるが、そんな機会はありそうで、実はそんなにはない。そうした機会を作るために言葉を選ぼうとするが、近いはずの人なのになんでだろうと思うとその気持ちは萎えてしまう。



もしかしたら、僕は自分が作った殻に閉じこもっていることが理由なのかもしれない。相手には、僕が作る殻が見えるのだろうか。屈託のない笑顔でバカ話ができるような、そんな付き合いができたら…

芝居の話から逸れてしまったが、そんな気持ちにさせてくれるのも芝居の楽しみだと、改めて感じた。

そうそう、「温泉に行こう」で活躍した加藤貴子さんが芯の強い女性を熱演していた。確か僕よりちょっと年下だったと思うが、可愛らしさは相変わらずだったな。
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