思惑

昼になっても晴れ間は現れない。念のためと思って持ってきたマフラーに辛うじて助けられながら昼食に向かった。

「今日はここ」と思っていた店も、その次に向かった店も、人の多さに諦めて退散した。

で、結局お弁当を買って公園のベンチで食べたのだが、仄かに暖かさが残る味噌汁とお茶がなかったら…
まあ、食事にありつけたのでそれでいいかな。

思惑が外れてばかりだが、雨だけは降らないでほしい。

今朝の空

家を出ると、何だかどんよりした感じに包まれた。恐る恐る見上げてみたら、思った通りの「どんよりと」した空がそこにはあった。
天気予報をうわの空で聞いていたので、この空が今日一日どのように変化していくかが判らず、傘を取りに引き返そうと立ち止まり、すぐに携帯で天気予報を調べた。その前に時刻を見て、まだ余裕があることを確認したので、焦ることはない。

結局、傘は持たずに出てきた。

朝の日課というのを持っていないためにこんなことになるのだと、その時は反省したりするのだが、すぐに忘れてしまう。こういうことは、子どもの頃から躾られないと身に付かないのかもしれない。そう思い、子どもに躾ようと思っても僕の子どもはいない。そのことが、今朝の空のように淋しい。

コンパス

帰り道、１時間ほど仲間と話をした後にデパートに寄った。

今日は節分。暦の上ではもう春を迎える。確かに、昼間ベンチに座っていたら、背中に日差しを受けて温かかった。

で、デパートに寄った目的は、恵方巻だった。すぐに買えるだろうと甘く見ていたが、他の店が品切れだったせいもあるだろうが、手に入れるまでに30分ほどかかってしまった。

関西地方の風習が東京でも根付いたと言えるだろうか。昔は北前船が関西の文化を日本中に伝えていたのだと、歴史の授業を思い出しながら、果たしてどうやって恵方を探すかを考えていた。方位磁石はしまってあったかな…

自覚

今朝、近所の私立校にたくさんの親子連れが集まってきていた。そうか、今日は受験日だったのか。子どもを持たない僕には縁遠い、いや、多分この先も縁のないことだと思いながら、彼らを見ていた。

「いい学校を出ていないと…」という人生設計の根拠は、やがて破綻するだろう。けれども、不安だらけの将来に向かっていく子どもたちに、せめて「学歴」という通行手形を持たせたいという親の気持ちもわからなくはない。もちろん、子どもたち自身が将来を考え、その道を選び、それを親がサポートするというケースも少なくない。いずれにしても世の中の価値観は大きく変わっていくだろう。その中で「学歴」の価値はどうなっていくのか。結局は、約束された未来など、ごく少数の人にしかないのだから。

ただ、親にも子にも、そして教育者にも、せめて自分たちの選択が格差を助長しているのだという自覚を持ってほしいと思う。それをどう思うかは、その人次第だとしても…

笑顔

昨日は結局、朝から晩まで渋谷にいた。
本当は早く帰って『銭ゲバ』を観たかったが、それとは比較にならない重要事項ができたからなので、自分では納得している。まあ、帰ってからビデオで観たので結局は問題なかったが…

さて、今日は一転静かな一日だった。洗濯をして、アイロンをかけて、そして買い物に出かけた。本当に穏やかな時を過ごしていたが、気持ちは全く落ち着いていなかった。昨日の「重要事項」が頭から離れない。何かをやろうとしてもまったく手につかず、いつものように気になったことから手を付けた。「こんなやり方をしていては…」と思うのだが、成長していない証拠だ。

帰り道、郵便局のポストの日だまりができていた。日を浴びたマンホールが、なんだかスマイルを提供しているように見えたので、ほんのつかの間視線を向けた。
彼はその陽ざしに目を細めていた。僕の心もほんの少し和らいだ。