熊本熊的日常

日常生活についての雑記

マーマイト

2016年11月01日 | Weblog

『月刊みんぱく』の10月号の「味の根っこ」というコーナーにマーマイトが紹介されていた。イギリス発祥のペーストである。少し長くなるが記事の一部を引用する。

「この黒くねっとりとしたペースト、独特の匂いと味をもつ。あえていえば、醤油や味噌の濃度を限界まで上げ、そこに少しビールを加えた匂いだ。舐めてみると、かなり塩辛い。知らずに多量に口にすると、むせこんでしまう。そのため、イギリス人のあいだでも好き嫌いがはっきり分かれる。」

なんとなく悪意のある紹介の仕方のような印象を受けるのは私だけだろうか。さらにこのような記述もある。

「わたしが初めてマーマイトを目にしたのも、あるゲストハウスの朝食の席であった。容器からジャムの一種かと思ったわたしは、ふたを開けて、そのあまりの「臭さ」に絶句した。」

なんと大袈裟な書き方だろう。これを書いているのは大阪物療大学助教の河西瑛里子氏。私はイギリスで通算4年ほど暮らしたが、このマーマイトの存在に全く気がつかなかった。さっそく普段の生活動線のなかで探してみると、職場近くの明治屋でマーマイトのオーストラリア版ともいえるベジマイトを発見、通勤途上の成城石井でマーマイトを発見した。

この「みんぱく」の記事を読んで身構えていた所為もあるかもしれないが、「絶句」するほどのものとは感じなかった。尤も、五感にかかわること、殊に味覚にかかわることは個人差が大きいので、絶句してしまう人もいればそうではない人もいるというだけのことだ。マーマイトとベジマイトはどちらもビールの酒粕のようなものだが、ベジマイトのほうが練りが硬く、香りも「強力わかもと」とか「エビオス」といったビール酵母薬のような雰囲気がある。マーマイトのほうはベジマイトよりは自然な感じで練りも緩い。香りは京都の大徳寺納豆を連想させるようなものだ。

トーストに塗って食べているが、レタスとアボカドも一緒に乗せていただいている。「みんぱく」記事にカレーの隠し味に使ったという記述もあったので、カレーにいれてみたが、入れた量が少なかったのか、それで味がどうこうとは思わなかった。妻があれこれ用途開拓を試みているが、野菜スープの味付けにしたものは美味しかった。

余談だが、マーマイトもベジマイトもガラス容器に入っている。近頃こういうものの容器は樹脂製が主流になりつつあるようだが、やはり食品はガラスの容器に収まっていて欲しいものだ。容器のデザインも良い。中身も嫌いではないが、容器が気に入った。