万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

AIIBと韓国の対日スワップ再開打診は関連している?

2015年05月19日 16時58分32秒 | 国際経済
 中国が主導するAIIBについては未だに不透明な状況が続いており、漏れ伝えられる情報も先行きに不安を覚えさせられるものばかりです。こうした中、真偽は不明なのですが、日本国に対して、韓国が、先日打ち切られたはずのスワップ協定の再開を打診してきているとの噂が流れております。

 AIIBの設立の背景には、潤沢な外貨準備の運用の多様化を目指す中国の意図があると説明されてきました。自国通貨安の方向に為替操作を行うと、自動的に外貨準備が増加しますのです、中国の巨額の外貨準備は、貿易黒字のみならず、元安政策の結果でもあります。そして韓国も、近年、ウォン安操作を積極的に繰り返した結果として、中国と同様に外貨準備を積み上げております。スワップ打ち切りに際しても、理由として、もはや韓国には外貨準備面での不安がなくなったことが挙げられていました。しかしながら、ここにきて、スワップ協定の再開を求めているとしますと、外貨準備に、何らかの不安が生じている可能性があります。AIIB参加国の出資比率の順位は、中国、ロシア、韓国と続くそうですが、韓国もまた、AIIBに相当額の外貨準備を出資することでしょう。そして、韓国が、その出資に不安を感じているとしますと、スワップは、いざと言うときの”保険”として日本国とのスワップ協定を利用しようとしている可能性も否定できないのです。つまり、仮にAIIBにおいて損失が生じた場合、日本国に対して、スワップ協定の履行を要求するかもしれないのです。

 AIIBについては、米国籍ながら韓国人であるキム総裁が北京を訪問し、世銀との協力について協議したとも報じられておりますが、AIIBをめぐる韓国の動きも注意深く観察する必要がありそうです。少なくとも、日本国は、AIIBの損失を肩代わりさせられるような事態は回避すべきと思うのです。

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コメント (2)
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