「IMF(国際通貨基金)」のニュース
先日公表されたレポートによれば、IMFは、人民元のIMF主要通貨入りを認める方針のようです。マスコミなどでは、既に決定済み事項のように報じていますが、この方針を危惧する声は決して小さくはありません。
人民元をIMFのSDRの構成通貨に加えることは、中国の長年の悲願であったとも伝わります。人民元を米ドルに並ぶ”国際基軸通貨”に育てることができれば、政治・経済の両面において超大国の地位を固めることができますし、一路一帯構想に付随する”元通貨圏構想”の実現にも一歩近づくことができるからです。しかしながら、こうした壮大な”中国の夢”は、”正夢”となるのでしょうか。第二次世界大戦後、ブレトンウッズ体制の下で米ドルが”国際基軸通貨”の地位を確立し得たのは、米ドルと金との兌換性に基づく一種の金為替本位制が成立していたからです。今日、中国は、焦るかのように金保有を積み増しているものの、ドル・ショックを機に国際通貨制度がそのものが管理通貨制度に転換しているため、人民元がかつての米ドルの”国際基軸通貨化”と同じ道を歩むことは最早出来ません。今日の管理通貨制度では、金保有は通貨の信頼性を支える多様な要素の一つに過ぎませんし、そもそも人民元には金兌換が保障されてもいないのです。また、中国は、”調整可能な変動相場制”という名の通貨制度、即ち、実質的には固定相場制を採用しており(一定の変動幅の設定…)、人民元取引には規制がかけられています。人民元の主要通貨入りの背景には、IMFが、近年の中国当局による投資や為替取引に関する規制緩和策を評価したためとも、あるいは、中国が、将来的な完全自由化を各国に確約したため、とも指摘されていますが、今後、IMFや国際社会が望む方向に中国が向かう保証はどこにもありません。
中国経済の現状を見ますと、公共事業を柱とした財政拡大政策での躓きに加えて、上海市場のバブル崩壊や景気減速を受けて金融緩和政策を実施したことから、人民元相場も下落傾向にあります。本日も、中国が、為替市場において大規模な市場介入を実施したと報じられております。中国の自由化を評価して主要通貨入りを支持したIMFとしては、面目を潰さる形となりましたが、中国側は、IMFでのSDR通貨採用に向けた”為替相場安定化策”と嘯いています。WTOにおいても、固定相場制を残す形で中国の加盟を許したため、著しい貿易不均衡や中国への生産拠点の集中などが生じ、国際経済・国内経済の両レベルにおいて混乱要因となりましたが、IMFにおいても、時期尚早という同じ轍を踏んではないないと思うのです。
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人民元をIMFのSDRの構成通貨に加えることは、中国の長年の悲願であったとも伝わります。人民元を米ドルに並ぶ”国際基軸通貨”に育てることができれば、政治・経済の両面において超大国の地位を固めることができますし、一路一帯構想に付随する”元通貨圏構想”の実現にも一歩近づくことができるからです。しかしながら、こうした壮大な”中国の夢”は、”正夢”となるのでしょうか。第二次世界大戦後、ブレトンウッズ体制の下で米ドルが”国際基軸通貨”の地位を確立し得たのは、米ドルと金との兌換性に基づく一種の金為替本位制が成立していたからです。今日、中国は、焦るかのように金保有を積み増しているものの、ドル・ショックを機に国際通貨制度がそのものが管理通貨制度に転換しているため、人民元がかつての米ドルの”国際基軸通貨化”と同じ道を歩むことは最早出来ません。今日の管理通貨制度では、金保有は通貨の信頼性を支える多様な要素の一つに過ぎませんし、そもそも人民元には金兌換が保障されてもいないのです。また、中国は、”調整可能な変動相場制”という名の通貨制度、即ち、実質的には固定相場制を採用しており(一定の変動幅の設定…)、人民元取引には規制がかけられています。人民元の主要通貨入りの背景には、IMFが、近年の中国当局による投資や為替取引に関する規制緩和策を評価したためとも、あるいは、中国が、将来的な完全自由化を各国に確約したため、とも指摘されていますが、今後、IMFや国際社会が望む方向に中国が向かう保証はどこにもありません。
中国経済の現状を見ますと、公共事業を柱とした財政拡大政策での躓きに加えて、上海市場のバブル崩壊や景気減速を受けて金融緩和政策を実施したことから、人民元相場も下落傾向にあります。本日も、中国が、為替市場において大規模な市場介入を実施したと報じられております。中国の自由化を評価して主要通貨入りを支持したIMFとしては、面目を潰さる形となりましたが、中国側は、IMFでのSDR通貨採用に向けた”為替相場安定化策”と嘯いています。WTOにおいても、固定相場制を残す形で中国の加盟を許したため、著しい貿易不均衡や中国への生産拠点の集中などが生じ、国際経済・国内経済の両レベルにおいて混乱要因となりましたが、IMFにおいても、時期尚早という同じ轍を踏んではないないと思うのです。
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