万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

立憲民主党:希望の党の失速は明日の我が身では?

2017年11月25日 16時10分23秒 | 日本政治
各紙の世論調査によりますと、現在、立憲民主党の支持率は自民党に次ぐ第二位を維持しており、野党陣営において筆頭の地位にあります。この勢いに乗じてか、北朝鮮情勢が緊迫する最中にあっても、集団的自衛権の行使を違憲とする立場を表明しております。

 立憲民主党という党名に既に安保法制違憲の主張が含意されており、この命名には、与党が合憲とする憲法解釈を真っ向から否定し、違憲とする自党の解釈こそ唯一絶対であるとする教条主義的な態度が透けて見えます。同党の違憲解釈は、数ある解釈の一つに過ぎないにも拘らず、憲法第9条の遵守=安保法制違憲の構図を国民に刷り込むべく、政党名を用いて印象操作を試みたのでしょう。

 その立憲民主党は、“希望の党から排除された政治家が自らの信条を貫いて新たな政党を結成した”というヒロイックな展開から、判官贔屓を好む国民性によって少なくない支持を集めることとなりました。この舞台においては、希望の党側が“悪役”に転じる一方で、立憲民主党は、枝野議員の巧妙な立ち回りにより“ヒーロー役”を掴んだのです。一瞬であれ、民主党政権時代の“悪役”のイメージを払拭したのですから、驚くべき政治手腕です。しかしながら、実のところ、配役は違っても、先の東京都知事選でも同様のストーリーが展開されております。この時は、今般、“悪役”となった小池東京都知事が健気な“ヒロイン”となり、“悪役”には舛添前知事とその継承勢力が据えられたのです。

 政界において繰り返される“悪役”と“ヒーロー”あるいは“ヒロイン”の交代劇は、如何に、支持率が当てにならないかを如実に表しています。必ずしも、有権者が政党の政治信条や政策に共鳴したわけではなく、政治劇における役回りを見て投票の判断をしているからです。このことは、立憲民主党の高い支持率も長くは続かないことを示唆しております。出発点が、民主党政権時代に演じた“悪役”なのですから、一時的な“ヒーロー効果”も、時が経つにつれて薄れてゆくことでしょう。

立憲民主党は、希望の党の失速に溜飲を下げるよりも、明日の我が身と心得た方がよいのではないでしょうか。そして、国民も、選挙戦を舞台とした政党や政治家の役回りに踊らされないよう、賢明な選択に努めるべきなのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする