万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

東京都の大成・鹿島指名停止は不法では?

2018年03月03日 13時27分58秒 | 日本政治
【リニア入札談合】ゼネコンに衝撃「これが談合ならリニアできない」
 リニア工事の入札をめぐる談合事件において、東京地検特捜部は、鹿島建設と大成建設の大手ゼネコン二社の幹部を独占禁止法違反容疑で逮捕したと報じられております。この逮捕を受けて、東京都は、同二社に対して早々に指名停止の処分を科すそうです。

 しかしながら、この都の決定、むしろ、不法、あるいは、権力濫用なのではないかと思うのです。何故ならば、同二社幹部の逮捕は未だ容疑の段階であり、正式に起訴されたわけでも、裁判所で有罪判決が下されたわけでも、ましてや、判決が確定したわけでもないからです。この件に関しては、両社とも徹底抗戦の構えを見せています。また、実際に、大成建設は名古屋駅工区の受注を逃していることから、“談合のシナリオ”通りには決定されておらず、談合が成立したとも言い難いのです。となりますと、裁判においては、必ずしも有罪が確定するとは限らず、東京都の行政処分には法的根拠かなく、推定無罪の原則からも外れているのです。(*本記事に寄せられましたコメントにより、公益財団法人東京都都市づくり公社の競争入札要綱では、逮捕段階でも指名停止ができるとされているそうです。しかしながら、推定無罪は憲法第31条、並びに、刑事訴訟法第336条に根拠を有するとされていますので、同要綱が違憲、あるいは、違法である可能性が濃いものと思われます。)

 しかも、指名停止処分を受けますと、鹿島建設では、調節池の集中豪雨対策工事2件の共同企業体として都と既に仮契約を結んでおりますので、この仮契約が撤回されますと実害が発生します。仮に、今後の裁判において無罪判決が確定しますと、東京都は、逆に鹿島建設から損害賠償訴訟を起こされるかもしれないのです。東京都の動きの素早さには、この一件の背後に政治的な思惑が潜んでいる気配を感じさせます。

 因みに、この件で思い起こされますのは、インドネシアでの高速鉄道プロジェクト道工事の日本受注失敗の顛末です。同プロジェクトでは、国際協力機構は、自らの費用負担で対象工区の地質や地形を調査しましたが、落札を中国にさらわれる結末となりました。その際、日本国側がインドネシア政府に提出した調査報告書がそのまま中国側に横流しされたため、この一件では、日本国民の多くが憤慨することとなったのです。日本国政府がかくも腐敗しているとは考えたくはありませんが、検察に押収された資料には、企業秘密となる技術情報もあるらしく、石井国土交通大臣が公明党出身者であることも踏まえますと、この疑いを払拭することができません。日本企業の談合を殊更に騒ぎ立てることで、中国や韓国等の企業をリニア建設に呼び込むための布石を打っている可能性も否定はできないのです。

 なお、この問題の本をただせば、インフラ建設入札の特殊性があります。事前調査を要するインフラ建設では、一般的な製品の政府調達とは違い、入札する側に受注を逃せば損失となる費用負担が生じます。こうした調査費用のみならず、技術面でも価格のみを決定要因とするには困難な面もないわけではありません。むしろ、この事件を切っ掛けとして、インフラ入札に関しては、一般の競争入札とは異なる仕組みを考案すべきなのではないでしょうか。

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コメント (13)
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