明日、日本国の厚労省は、モデルナ製とアストラゼネカ社製のワクチンの承認の是非を決定するそうです。後者については、EUの欧州医薬品局は既に血栓症と同社ワクチンとの関連性を認めており、使用を停止する国も少なくありません。厚労省の判断が注目されるところですが、仮に、両社のワクチンともすんなりと承認されるとしますと、日本国政府は、国民の命や健康を軽視している証左ともなりましょう。
日本国内で使用されているワクチン、並びに、使用予定のワクチンは、何れも遺伝子ワクチン(核酸ワクチン)という従来にはない、全く新しいタイプのものです。遺伝子工学における最先端技術を実用化したものであり、人工的に造られたmRNAやDNAが用いられています。このため、短期的のみならず、中長期的なリスクについては全く分かっておらす、人類は、いわば、未知の世界に足を踏み入れたと言えましょう。
その一方で、遺伝子ワクチンには、短期間において安価、かつ、大量に生産が可能というメリットがあります。しかも、人工mRNAの塩基配列を組み替えれば、いかなるウイルスに対しても即応できますので、RNAウイルスのみならず、生物化学兵器による攻撃に対しても高い防御効果を有しています。新型コロナウイルス禍は有事に喩えられておりますので、遺伝子ワクチンは、まさにその強みを十二分に発揮したと言えましょう。
しかしながら、ここで一つの疑問があります。それは、何故、中国は、遺伝子ワクチンを開発し、それを使用しなかったのか、という疑問です。現在使用されている中国製のワクチンは、感染力を失わせたウイルス、あるいは、その一部を使う不活化ワクチンとされています。先日、WHOは、中国の製薬会社であるシノファーム社製のワクチンの緊急使用を承認しましたが、WHOの推定によれば、ファイザーやモデルナといったmRNAワクチンの有効性が90%程度であるのに対して、同社製のワクチンは79%に留まります(因みに、アストラゼネカ製は76%)。また、実際に中国製のワクチンを使用した諸国にあっては、住民の大半が接種したにも拘わらず感染拡大が止まらないとする報告もありますので、79%という数字も怪しい限りです。冷凍保存の必要性はないものの、効果については明らかに見劣りするのです。
遺伝子工学における中国のレベルは、決して低くはありません。新型コロナウイルス生物兵器説も、武漢に設置されているレベル4のウイルス研究所がハイレベルな研究を行ってきたからに他なりません。数年前に、中国では、HIVに感染しないように遺伝子操作された赤ちゃんを誕生させて全世界を驚愕させましたが、倫理・道徳、あるいは、良心という歯止めが存在しない中国では、自由主義国では不可能な非人道的な実験もあり得るのです。
中国の先端的な技術力を以ってすれば、遺伝子ワクチンの開発もお手の物であったはずです。13億ともされる人口規模からしますと、中国こそ、遺伝子ワクチンの開発を急ぐ動機があったはずです。しかしながら、中国が選択したのは、不活化ワクチンでした。不活化ワクチンは、その製造過程にあって鶏卵などでウイルスを増殖させる必要もありますので、開発から実用化まで相当の時間を要します。このため、中国が開発を開始した時期を逆算しますと、新型コロナウイルスが出現する以前に遡ってしまい、新型コロナウイルスの起源が武漢のウイルス研究所にあったとする説の信憑性を高めているのですが、何れにしましても、最先端の技術を誇るはずの中国は、敢えて’旧式’の方法を選んだこととなるのです。
この選択は、一体、何を意味するのでしょうか。最も単純な推理は、技術力においてアメリカの製薬会社に及ばず、遺伝子ワクチンの開発に乗り出しはしたものの、’失敗’したというものです。特に、mRNAは極めて脆弱であり、細胞内に壊れることなく浸透さるためにはカプセルとなる脂質ナノ粒子の開発、即ち、高度なナノテクが不可欠です。こうした周辺技術において劣るため、中国は、遺伝子ワクチンを開発できなかった、という推理は成り立ちます。
あるいは、中国は、ワクチンを戦略物資、あるいは、外交上の取引材料と見なしており、ワクチン開発を自力で行うことができない諸国を‘ワクチンの頸木’で自国に縛り付けておくためには、敢えて不活化ワクチンを選択したのかもしれません。不活化ワクチンは、冷凍保存の必要はなく、冷蔵保存で済みますし、その低い有効性や効果の短期性は、ワクチンの提供先国を自国に長期的、かつ、恒常的に依存、あるいは、従属させるためには好都合と考えたのかもしれません。
そして、もう一つの可能性があるとすれば、それは、中国は、実際に、遺伝子ワクチンの開発に成功したものの、人体実験を実施した結果、重大な健康被害が発生することを知ってしまっていた、というものです。中国では、倫理的な拘束がありませんので、既に、遺伝子ワクチンに関する中長期的、少なくとも、3年や5年といった中期的な人体実験が行われていた可能性は否定できません。さしもの非人道国家中国も、遺伝子ワクチンの人体実験の結果報告に血の気が失せてしまったのかもしれないのです(遺伝子ワクチンの失敗を確信し、ワクチン市場を自国製の不活化ワクチンで独占しようとした?)。
米中企業が結託して役割を分担し、何れの手法のワクチンが優れているのかを確かめるために、それぞれが市場分割的に実験を行った可能性も否定はできないのですが、最後の推測が事実であれば、遺伝子ワクチン接種には慎重にならざるを得なくなります。何れにしましても、何故、かの中国が遺伝子ワクチンを採用しなかったのか、というその理由の問題については、各国政府、並びに、専門家を含む各国民とも真剣に考えてみる必要があるように思えます。それは、多くの人命を護ることにもなるのですから。