万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ワクチン開発メーカーがリスクを知らないという事実が怖い

2021年05月27日 12時33分55秒 | 日本政治

 先日、新型コロナウイルスの抗体依存性免疫増強を引き起こす’悪玉抗体(AED抗体)’が発見されたとするニュースが、日本国内を駆け巡ることとなりました。この発見は世界初の快挙なのですが、ここで、一つの重大な問題が人類に突き付けられているようにも思えます。それは、何故、ワクチン開発メーカーは、この事実を知らなかったのか、というものです。

 

 新型コロナウイルスのワクチン開発については、同感染症がパンデミック化した初期の段階から、それを危ぶむ声が支配的な状況にありました。その理由は、新型コロナウイルスが一本鎖プラス鎖RNAウイルスであり、同タイプのウイルスにあってワクチン開発に成功した事例が皆無であったからです。同じくコロナウイルス科に属するウイルスが引き起こすSARSもMARSに対するワクチンも、中長期的には深刻な抗体依存性免疫増強が発生し、承認・実用化するには至りませんでした。こうした前例がありましたので、誰もが、短期間で新型コロナウイルスワクチンが登場してくるとは思いもしなかったのです。ところが、新型コロナウイルスのパンデミック化から1年も経ずして、ファイザー社やモデルナ社、さらには、アストラゼネカ社など、アメリカ、イギリス、中国、ロシアといった軍事大国の大手製薬会社は相次いで新型コロナウイルスのワクチン開発に成功し、救世主の如く、華々しく表舞台に登場してくるのです。

 

抗体依存性免疫増強の現象は、自然感染の場合にも発生しますし、遺伝子ワクチンであれ、不活化ワクチンであれ、あらゆるタイプのワクチンにおいて発生するそうです。いわば、ウイルスから分解生成される抗原に対する人体の抗体生成反応において生じる問題のようです。おそらく、個々の体質によって善玉抗体(中和抗体)、悪玉抗体(AED抗体)、並びに、役なし抗体の出現比率が違っているのでしょうが、少なくとも、’抗体’とは、全てがウイルスの細胞への感染を妨害する善玉とは限らず、その構成比率に、あるいは、出現比率よってウイルスへの対抗能力に違いが生じるらしいのです(なお、この比率は、時間の経過によって変化するらしく、仮に変化するものであれば、長期的な治験は不可欠なはず…)。このため、感染であれ、ワクチン接種であれ、全員とは言わないまでも、一部の人々は、同ウイルスに接した際に3倍感染し易くなることが予測されるのです。

 

懸念されてきたADE抗体の存在が確認された時点で、何れのタイプであれ、新型コロナウイルスワクチンの抗体依存性免疫増強のリスクが確定的となったと言えましょう。そして、このADE抗体の存在こそ、ワクチン製薬会社が、当局から緊急承認を得る以前にあって、あるいは、同製品が一般の人々に使用される以前にあって、絶対に知らなければならなかった事実なはずです。上述したように、開発に先立って最も懸念されていたのは、まさしくこのADE抗体であったのですから。莫大な研究・開発費用を投じたからこそ、短期間で開発されたとされていますが、ADE抗体の存在を把握せずしてワクチンを製造・販売したとなりますと、たとえ、被害者への民事上の損害賠償については政府が肩代わりするという免責契約によって回避できたとしても、倫理的な責任、さらには、刑事責任をも問われることとなりましょう(あるいは、同事実を既に把握していたからこそ、免責を要求したのかもしれない…)。

 

一事が万事であり、ファイザー社の元副社長の方の警告が正しければ(同警告は、内部告発に近いので、同社が既にリスクを把握していた証左とも…)、抗体依存性免疫増強のリスクのみならず、シンシチン遺伝子などに関する他の諸リスクも、今後、世界各国の研究機関等において確認される可能性もありましょう。ワクチン開発メーカーがリスクを‘知らない’、あるいは、‘知らないということになっている’事実が怖いのです。

 

報道によりますと、日本国内でワクチン接種後に亡くなられた方は既に85名にも上っているそうですが、政府は、一向にワクチン接種推進の方針を見直す気配は見られません。ワクチンとの関連性も政府が認めるとは思えず、結局、政府も製薬会社も何らの責任を取ることもなく、煽られるままに摂取した国民の自己責任ということで片づけられてしまいそうです。自らの判断による任意の接種であればこそ、国民は、マイナス情報をも積極的に収集し、賢明なる判断に努めるべきではないかと思うのです。


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