万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

外国人・法人による農地取得は日本国の植民地化への道

2025年03月12日 11時46分24秒 | 日本政治
 日本国の農地法が、個人であれ、法人であれ、国籍に関係なく国内の農地が所有できる法律であることを知ったとき、驚くと共に、余りの無防備さに唖然ともさせられました。常識ではにわかには信じられないような現実を見せられたからです。日本国政府は、国土を広く世界に開放し、自国を植民地化したいのでしょうか?

 播種や収穫時といった人手の要る時期に限定して雇用される農園等の外国人季節労働者や雇用契約に基づく出稼ぎ的な外国人工場労働者等は、雇用契約が終了すれば、出身国に帰国します。また、ビジネス目的で来日した外国人も、事業が終了すれば日本国を離れることでしょう。その一方で、農地取得に際しては、その取得者の定住が想定されています。農業では、長期、否、凡そ生涯に亘る耕作地の耕作・維持・運営を要しますので、他の職業とは別の側面を持つのです。また、農地は国土の一部でもあり、食料の生産・供給という、国民の生命維持に必要な基盤を提供するという重要な役割をも担っています。防衛や安全保障政策、並びに、国民の生存権とも結びついていますので、これらの側面においても、他の産業とは区別されるのです。

 農業の重要性に鑑みて、各国とも、農業については保護的な政策を実施してきました。戦後の日本国にあって食管制度が敷かれてきたのも、農業が特別な産業であったからに他なりません。そして、それ故に、大半の諸国は、外国人の農地取得に対しては一定の制限を課してきたのです。例えば、他国から農業に従事する移民を受け入れる場合には、国家間で移民協定が締結されるケースもあります。日本国も、1960年代まで、開拓農民を必要としたボリビアやパラグアイなどの南米諸国との間に移住協定を締結しています(因みに、ブラジルなどでは、当初農園での労豪者として移民した日本人が、後に州議会での立法措置に基づいて国から土地を無償で譲渡され、日本人植民地を建設した事例も・・・)。何れにしましても、移住農民を必要とした南米でさえ、政府による厳格な管理が行なわれていたことが分かります。

 その一方で、農地法を見る限り、日本国には全く外国人や外国法人による農地所有に対する規制も管理もありません。法人に対する議決権の過半数を農業者や農業関連団体が占めるとする農地取得要件も、日本の法人にも課せられています。2023年の農地法規則改正により農業委員会への申請に際して国籍の記載が義務付けられたものの、外国籍の個人や法人の保有を禁止したり、制限するものではないのです。言い換えますと、日本国政府は、事実上、通常の国家が有する国境管理の権限や移住民に関する対外交渉権を失っているに等しいと言えましょう。

 こうした無制限なまでに外国の個人や法人に農地取得を許している日本国の現状は、大航海時代以来の新大陸や植民地の状況にますます似てきているように思えます。‘宗主国’から一方的に移民農民やプランテーション経営者が押し寄せ、現地に根付いてきた農業を根こそぎなぎ倒し、世界市場への輸出を目的とする農園経営を始めた過去の歴史が、近未来の日本国の農村の姿として蘇ってくるからです。そこで働く人々の大半も外国人や外国法人が優先的に雇用した外国人労働者であるか、あるいは、日本人は、現地農園労働者として低賃金で雇われるのかも知れません。‘植民地’には、自ら国境を管理する権限がないのです(なお、域内での人の自由移動を認めたEUでさえ、加盟国間でシェンゲン協定を締結している・・・)。近年の日本国内における中国人人口の激増ぶりを考慮しますと、グローバリストのコントロール下にある中国が、国策として日本国に自国民を‘入植’させようとしているとも推測されましょう。

 今般の米価高騰も、水面下で進めてきたグローバリストによる日本国の‘植民地化’、否、世界支配計画の一端が、価格として表面化したものなのかもしれません。植民地化の先兵となったのが東インド会社であったことを考慮しますと、非国家パワーとしてのグローバリストの計略は決して侮れません。農地法の由々しき現状につきましては、日本国政府も国民も、より強い危機感をもって対処すべきではないかと思うのです。

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