万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

友軍とはなり得ないことを証明した韓国

2019年01月15日 14時15分47秒 | 国際政治
韓国 電波情報交換受け入れず 日韓“レーダー照射”協議
 昨年末、日本海上空において韓国海軍艦艇が自衛隊機に火器管制レーダーを照射した事件は、泥沼化が指摘される中、先ずは、両国の防衛当局の実務者協議での決着が図られたようです。同協議の場において、日本国側が客観的な証拠となり得る双方の電波情報の開示を提案したところ、韓国側は、‘照射の事実はない’の一点張りで同提案を拒絶したと報じられています。この韓国側の態度、一体、何を意味するのでしょうか。

 日本国側が韓国側に対して‘相互’の情報開示を求めたのは、動かぬ証拠として自らが記録した電波情報を提示すれば、軍事機密が韓国側に一方的に漏れるリスクがあることを認識していたからなのでしょう。韓国側は、反論の動画において日本国側にさらなる証拠として電波情報の開示するよう挑発していましたので、迂闊にこの要求に応じれば、日本国は安全保障上の情報漏洩のリスクを抱えかねなかったのです。裏を返しますと、日本国は韓国を最早信頼しておらず、それ故に、最悪でも‘痛み分け’となるよう、韓国側の電波情報の開示を求めたのでしょう。

 これまでの日韓関係を振り返りますと、竹島問題然り、‘慰安婦問題’然り、‘徴用工問題’然り、日本国は、常に韓国から‘罪’を問われる立場にありました。今般のレーダー照射事件でも、韓国側は、自衛隊機の低空飛行を脅威を与える危険行為として断罪しています(特攻隊に擬えるケースも…)。その都度、日本国は、一般国民も含めて‘無実’を立証すべく客観的な証拠を集め、これらの史料の内外への提示に努めてきました。喩え、韓国が耳を塞ぎ、国際社会が無視しても、日本国は、客観的な証拠による無実の証明に全力を注いできたのです。

 少なくとも自衛隊機に対するレーダー照射については、韓国側が罪を問われる立場となったのですが、韓国が、自らの主張が‘事実’であることを証明したければ、電波情報の開示に躊躇する理由はないはずです。韓国の主張は、(1)レーダーを照射していない、(2)自衛隊機が危険な低空飛行を行っていた、という二つの内容から構成されていますので、日本国の防衛当局が開示を求めた情報とは、(1)「広開土大王」から発せられた各種レーダー・データ、並びに、(2)自衛隊機の低空飛行を証明するレーダー・データのはずです。何れであれ、韓国は、これらのデータ記録を開示すれば、自らの無実を証明できたはずなのです。

 ところが、韓国は、日本国のように積極的に証拠を提示しようとはせず、これらのデータを開示することを拒否しました。つまり、自らの無実を証明する機会をみすみす放棄したのですから、半ば、‘有罪’を認めたに等しくなるのです。この経緯を知れば、誰もが、日本国側の主張が正しいと確信することでしょう。もっとも、韓国側が、逆に日本国側に軍事機密が漏れるのを怖れたとする見解もありましょうが、当初、韓国側は反論動画において臆面もなく日本国側に電波情報の開示を求めたのですから、相手国にだけリスクを負わせようとする態度は、どこかアンフェアで卑怯にも映ります。

 昨今、留まるところを知らない中国の軍事的脅威を前にして、しばしば日米韓三国の緊密な協力関係の構築が声高に叫ばれてきましたが、今日、日韓の間では機密情報を最早共有できない状況にあることを、今般のレーダー照射事件は示唆しているのかもしれません。ある時突然、中国に向いていたはずの韓国軍の砲口が反転し、友軍であるはずの自衛隊に向けられるかもしれないのですから。戦時における‘寝返り’のリスクを考慮しますと、日米両政府とも、韓国は共に闘うことはできる国なのか、真剣に検討すべき時期に差し掛かっているように思えます。韓国は、自らの無実ではなく、友軍とはなり得ない現実を証明してしまったのではないでしょうか。

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2 コメント

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韓国、もはや敵国 (櫻井結奈(さくらい・ユ-ナ))
2019-01-16 13:28:11
韓国の、ふざけた態度には、どうしょうもない不快感を感じます。 
おっしゃるように、韓国(韓国軍)は、‘’友軍‘’にはなり得ません。
もはや、敵国です。!!!

まあ、年輩者のかたの、お話しでは、『大昔の昭和40年代』のころは、日本と韓国の間には、今よりは多少の意志疎通ができた時代もあったらしいです。
当時の韓国大統領は『朴正煕(パク・チョンヒ)』さんでした。(パク・クネさんの、お父さまですね)
周知のとおり、朴正煕大統領は、戦前戦中は、大日本帝国の軍隊の将校でした。その側近の高官も、大日本帝国の陸軍士官学校や警察学校、東大や京大の卒業生が多かったらしいです。
ですから、日本政府の閣僚や自衛隊幹部と、韓国側との会談も、さながら『戦友会』のような雰囲気だったそうです。?

ただし、これは『いにしえの古き良き時代????』のエピソードにすぎません。
今、日本の政治家、公務員で、その時代に郷愁を持つている人がいるとすれば、勘違いも甚だしいと思います。

少なくとも、私たちの世代は、韓国および韓国人に対して何の『愛惜の念』も『郷愁』もありません。
鬱陶しいだけです。
 もう、韓国朝鮮は、完全に突き放したほうがいいと思います。
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櫻井結奈さま (kuranishi masako)
2019-01-16 19:28:21
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 朝鮮半島の日本統治を経験した老齢の方々は、事実を知っておりますので、そこまで日本国を批判できな世代なのではないかと思います。政府の嘘が分かりますので。しかしながら、若い世代は、韓国政府が作成した偽りの歴史を反日教育を通して刷り込まれておりますので、虚実が見分けられず(内心では分かっているのも知れませんが…)、虚の歴史を信じて日本国に対して敵意を抱いているのでしょう。こうした韓国の状況を考慮しますと、対韓宥和策として日本国までもが事実を曲げて韓国に同調しますと効果は逆となりますので、日本統治の時代の実像を含め、韓国のみならっず、全世界に向けて客観的事実を正確に発信してゆくことこそ重要なのではないかと思います。
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