イギリスの議会選挙の結果、保守党が雪崩を打つように勝利したことで、EU離脱を問う国民投票の実施も現実味を帯びてきました。施政方針演説によれば、2017年末までに国民投票を実施する方針とも伝わりますが、仮に、イギリスがEUから脱退するとなりますと、成立以来拡大を続けてきたEUは、初めて縮小局面を迎えることになります。
元よりイギリスは、EUに対して一歩距離を置く姿勢が目立ってきましたが、今般の離脱問題に関連してイギリスは、EUに対して、”人の自由移動”に関する是正要求を提示しております。”人の自由移動”とは、発足以来、EUが掲げられてきた原則の一つですが、二つの面で、イギリスは、この原則に修正を求めているようなのです。第一に、域外からの移民については、現在の制度では、加盟国のうちの一国において合法的に移民資格を獲得すれば、他の加盟国にも自由に移動することができます。この結果、外国人に対して厚い社会保障政策を実施している国に移民が集まり、社会保障レベルと移民増加の間に比例関係が成立することとなりました。言い換えますと、”人の自由移動”は、特定の国への移民の集中が起きる要因となり、それは、受け入れ国の財政問題に直結しているのです。第二の是正要求は、加盟条件における域内移民に対する制限の強化です。EUでは、外国人に対する賃金差別を禁じておりますので、当然に、人が自由に移動できるとなりますと、賃金水準の低い新規加盟国から高い賃金水準にある諸国への移民の流れが発生します。こちらの方は、財政悪化の直接原因となりませんが、国内における雇用問題を引き起こします。また、どちらの問題にあっても、国家の崩壊や社会分裂のリスクは高まりますので(実際にテロが発生…)、原則の見直しを求めるイギリスの要求も理解に難くはありません。
実のところ、イギリスは、本気で離脱を望んでいるわけではないとも指摘されており、軌道修正の要求が実現すれば、国民投票の実施も見送られる可能性もあります(あるいは、実施しても否決…)。また、イギリス以外の他の諸国でも、EUの移民政策に見直しを求める声が決して小さくないことを考慮しますと、案外、イギリスは、”憎まれ役”を敢えて買って出ているのかもしれないとも思うのです。
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元よりイギリスは、EUに対して一歩距離を置く姿勢が目立ってきましたが、今般の離脱問題に関連してイギリスは、EUに対して、”人の自由移動”に関する是正要求を提示しております。”人の自由移動”とは、発足以来、EUが掲げられてきた原則の一つですが、二つの面で、イギリスは、この原則に修正を求めているようなのです。第一に、域外からの移民については、現在の制度では、加盟国のうちの一国において合法的に移民資格を獲得すれば、他の加盟国にも自由に移動することができます。この結果、外国人に対して厚い社会保障政策を実施している国に移民が集まり、社会保障レベルと移民増加の間に比例関係が成立することとなりました。言い換えますと、”人の自由移動”は、特定の国への移民の集中が起きる要因となり、それは、受け入れ国の財政問題に直結しているのです。第二の是正要求は、加盟条件における域内移民に対する制限の強化です。EUでは、外国人に対する賃金差別を禁じておりますので、当然に、人が自由に移動できるとなりますと、賃金水準の低い新規加盟国から高い賃金水準にある諸国への移民の流れが発生します。こちらの方は、財政悪化の直接原因となりませんが、国内における雇用問題を引き起こします。また、どちらの問題にあっても、国家の崩壊や社会分裂のリスクは高まりますので(実際にテロが発生…)、原則の見直しを求めるイギリスの要求も理解に難くはありません。
実のところ、イギリスは、本気で離脱を望んでいるわけではないとも指摘されており、軌道修正の要求が実現すれば、国民投票の実施も見送られる可能性もあります(あるいは、実施しても否決…)。また、イギリス以外の他の諸国でも、EUの移民政策に見直しを求める声が決して小さくないことを考慮しますと、案外、イギリスは、”憎まれ役”を敢えて買って出ているのかもしれないとも思うのです。
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英国がEU脱退を表立って言えない原因です。
移民よりも問題を引き起こしているのは難民問題で、まず上陸した国が引き受けなくてはならない・・・最大の被害国はイタリアです。
地中海を渡りたどり着く国がイタリアですので・・
また偽装難民も増えているようで、ブローカーが存在し船に詰め込めるだけの人間を詰め込み難民船として出発させる・・
船が沈んで救助されるのを待っている。
イタリアだけに負担を押し付けるわけにはいかないとドイツ軍も難民船の沈没に備え待機しているという話が伝わっています。
陸を通る難民はトルコが、わざと審査基準を甘くしている現実が有ります。
数万単位での移動になれば審査を厳密にやっている人員も予算も余裕も無いという事情もあります。
移民というよりも難民として入国して居座り移民となるケーすが多いのです。
国民も移民も賃金が同じならば、貧しい中東やアフリカから大挙して押し寄せてくるのは当然です。
将来的には社会保障の分野で国家を破綻に導きかねない危険な爆弾を自ら招き入れているとも言えるのです。
英国は労働党時代に社会保障を拡充させすぎ、真面目に働く者が馬鹿を見る社会となって経済が破綻の危機に追い込まれてしまった経験があるからこそ、移民には慎重な態度となるのでしょう。
移民や難民問題を考える前に、歴史を振り返ればローマ時代にも移民ではないけれど奴隷を使い都市機能の維持管理や都市基盤の整備など肉体労働をまかせ、都市の住人は享楽にふけり国家を顧みなくなり、ローマ帝国は滅亡の道を辿った事を思い起こさなくてはなりません。
この反省があるのならば、移民や難民受け入れに制限を掛けるとともに中東・アフリカ諸国に対して武器の輸出の制限を掛ける、テロの根絶を進めるとともに中東・アフリカ諸国の貧困対策について国際的な枠組みの中で考える事が大切ではないでしょうか。
肉体労働や汚れる仕事を嫌がり楽な仕事だけを望み、伝統産業や文化的側面を失えば平準化された何の特色も無い、ただ人がそこにいるだけの灰色の世界になるか、異民族に侵略され支配される社会が待っています。
ローマ帝国を滅ぼしたゲルマン民族の末裔である現在のヨーロッパが、今度は、自らがローマ帝国の立場となるとは、何と皮肉な歴史なのでしょうか。人類史を振り返りますと、人の移動を侮ってはならず、しばしば、世界的な規模の動乱や戦争の要因となってきました。人の移動とは、それ程慎重に扱わなければならないのですが、今日では、個人の移動する自由ばかりが尊重され、それが内包するリスクについては、すっかり看過されております。テロや難民問題を含めて、人の移動問題が関心を集めておりますので、この際、国際社会において議論しておくべきではないでしょうか。少なくとも、このままでは、多様性に満ちた国民国家体系が崩壊し、無秩序であり、かつ、単色な世界が出現しかねないのですから。