万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

岸田政権の海外大盤振る舞いを推理する

2022年06月28日 13時24分01秒 | 国際政治
 不合理な出来事や誰もが納得できない事柄には、必ずや表にされていない何らかの目的があるものです。今般の岸田政権による途上国に対するインフラ支援もその一つに数えることができましょう。何故ならば、5年間で凡そ8.8兆円という額は極めて高額ですし、中国が推進してきた「一帯一路構想」への対応(対抗)としか述べておらず、その財源を含め、政府は、国民に対して説明らしい説明を怠っているからです。そこで、ウクライナ情勢を踏まえて、本日は、同問題について推理を試みてみたいと思います。迷探偵かもしれませんが…。

 あくまでも推理に過ぎないですが、本ブログでの見立ては、日本国による同支援策は、迂回ルートを経由したものであれ、ウクライナ、あるいは、ロ・ウ両国の背後に控える超国家勢力への資金提供となるのではないか、というものです(昨日述べた海外金融機関救済も含めて…)。先日、コロナ対策費にあって多額の使途不明金が存在していることが明るみとなりましたが、近年、日本国政府の’財政秘密主義’には拍車がかかっています。コロナ対策費の一部が秘密裏に軍事支援となる、あるいは、ワクチン購入を名目としながら、アメリカの製薬会社を経由して同勢力へと流れた可能性も否定はできません。因みに、本日も、岸田首相は、食糧危機対策として凡そ200億円の支援を表明しましたが、その対象国には、もちろん、大穀物生産国であったウクライナも含まれています。

 ウクライナ危機にはユダヤ系ネットワークの利権が深くかかわっていますので、超国家権力体でもある同勢力にとりまして、日本国政府には、’ATM’の役割が期待されていることは想像に難くありません。それでは、首相が示した8.8兆円は、一体、どのようにして調達されるのでしょうか。ここで注目すべきは、外国為替特別会計かもしれません。

 外国為替特別会計とは、日本国の外貨準備等の運用に関する会計です。日本国の外貨建て資産は今年の4月末で172兆円ほどあり、運用収入は令和2年度の統計によれば2兆4381億にも上ります。問題の8.8兆円が低利子融資の形態である場合には、外国為替特別会計における外貨貸付金ということになりましょう(なお、途上国の財政管理は杜撰なケースが多い…)。また、法律によれば、運用収益の余剰金の一部は一般会計に繰り入れることができます(平成30年度では余剰金凡そ3兆円のうち、1兆7千万円余りが一般会計に…)。令和以降については情報不足で不明なのですが、無償供与であるならば、一般会計から支出されるものと予測されるのです(政府の予備費としての支出となる可能性も…)。何れにしましても、政府は、自国の積み上げてきた外貨準備を当てにしているのでしょう。

 ところが、日本国は、目下、急激な円安に襲われています。しかも、戦後、一貫して黒字を計上してきた貿易収支も赤字に転じており、外貨準備のさらなる減少も予測されます。外国為替市場における政府の市場介入による円高誘導を求める声も聴かれるのですが、現時点では、日本国政府は為替介入を実施していません。そして、外国為替市場における政府介入こそ、ジョージ・ソロス氏が一夜にして10億ドルともされる巨万の富を築くチャンスであった点を思い起こしますと、幾つかの疑いが生じてきます。同氏は、ERM(欧州為替相場メカニズム)においてイギリス政府によるポンド買い介入を見越して売り圧力をかけ、政府の介入資金の底をつかせることでポンドの大暴落を起こすという事件を起こしています(1992年9月16日のブラックウェンズデー)。この一件によって「イングランド銀行を潰した男」とも称されるに至ったのですが、同氏は、ユダヤ系ということもあってウクライナ支援に極めて熱心です。

 それでは、ソロス氏が、ドル買い円売り攻勢を仕掛けるとしますと、どうなるのでしょうか。日本国の場合、172兆円もの外貨準備がありますが、既に貸し付けている資金もありますので、全ての外貨準備を外国為替市場への介入資金として投入することはできません。そして、8.8兆円のインフラ支援のみならず首相による他の海外への支援の約束は、外貨の日本からの流出を意味しますので、円安傾向にさらに拍車がかかることでしょう(リスクの高いインフラ投資であればなおさらに…)。

ソロス氏は、ブラックウェンズデーの時と同様に、水面下では、円売りを仕掛けるための準備を進めているかもしれず(各国の銀行に信用枠を設けるなど…)、日本国政府による海外支援の増額も、同氏の投資戦略の一環であるのかもしれません。そして、近い将来、日本国政府が円の買い支えのために市場介入に踏み切った時には同氏の思惑通り、もはや円を買い支えることはできず、暴落を起こすかもしれないのです(なお、当時のERM参加国のイギリスのように、日本国政府には、自国通貨買い支える介入義務はないので、ソロス氏による円売り攻勢があっても無視しても構わない…)。

もっとも、日本国の場合、外貨準備は比較的潤沢ですので、ブラックウェンズデー方式では売り負けると予測し、日本国から支援金を引き出すために、8.8兆円のインフラ支援という新たな手法を編み出したのかもしれません(ウクライナの戦後復興にも巨額の資金提供を要求されるのでは…)。日本国政府の海外への大盤振る舞いについては、国際会議にあって注目を集めるための岸田首相のスタンドプレーとの見方もありますが、金融が絡んでいるだけに巧妙なトリックが仕掛けられているようにも思えます。推理というよりも、’日本を潰した男’の登場への警戒論となってしまいましたが、何れにしましても、意図的に暴落させて安く買いたたくのは常套手段ですので、ソロス氏をはじめとした投資家の動向には最大限の注意を払うべきではないかと思うのです(国債売りにも警戒を…)。

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