万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

マッチポンプな自公政権―中国に対日攻撃の口実を与えた罪

2022年11月17日 11時19分43秒 | 日本政治
 先日、11月13日、岸田首相は、カンボジアの首都プノンペンで開催された東アジアサミットにおいて、「中国は日本の主権を侵害している」として名指しで批判したと報じられています。尖閣諸島並びに東シナ海のガス田問題を念頭に置いた発言であり、同首相は、頓に対中強攻策への転換姿勢を鮮明化しています。その背景として、近年の米中対立の先鋭化も指摘されるのですが、そもそも今日の脅威を造り出した責任は自公政権にあるのではないかと思うのです。

 故安部元首相の功績としてしばしば語られるのは、「自由で開かれたインド・太平洋構想」を提唱し、中国封じ込め政策の基本的な枠組みを構築したことです。このため、安倍政権については、国葬に際してもアピールされたように対中強硬派としてのイメージが強調されています。

しかしながら、その反面、連立政権を組む公明党が親中派であり、かつ、自民党内にも親中派の二階元幹事長や中国利権を有する政治家の影響力が伸張したこともあり、自公政権は、中国を利する政策を遂行してきたことも事実です。その最たる政策が中国に対する日本市場の開放であり、とりわけ、中国観光客の積極的な誘致のみならず、開放の対象は、製造業分野、情報通信分野、サービス分野に留まらず、農業分野にまで及んだのです。もちろん、金融市場並びに不動産市場も開放されており、中国資本による買収や買い取りにより、北海道の水源地買収問題など、遂に‘乗っ取り’問題まで発生する事態に至りました。中国では日本メディア閉め出されている一方で、本日も、当然のことのように新華社通信発のニュースがウェブに流されています。

しかも、中国からの移民増加問題は、安全保障にも直結します。第二次安倍政権にあって、日本国政府は、国民に是非を問うこともなく、移民政策への歴史的転換とも称された事実上の労働市場の開放政策を決断しましたが、それ以前から、中国系住民の数は増加傾向にありました。おそらく、中国残留孤児の帰還事業が転機となったのでしょう。この頃から、日本国内では在日中国人が増加の一途を辿り、今では80万人迫っています。日本国籍取得者も加えますと、さらに中国系人口の数は多いことでしょう。

かくして中国人コミュニティーが日本国内で形成されると共に、社会各層にも浸透しているのですが、移民増加が重大な問題であることは、第一に、今般のウクライナ紛争が住民の人口構成問題に起因しており、外国からの軍事介入を招いたことに明示されています。ロシアは、ロシア系住民の保護を口実として、内戦状態にあったウクライナに軍事介入しているからです。日本国内にありましても、ある一部の地域において中国人の人口比率が上昇したり、あるいは、中国人が日本人から‘迫害’を受けたと訴えて、本国に支援を求めるケースもあり得ることです。自民党の中には、対中強硬派も見られますが、中国に対して軍事介入の口実を与えるための扇動である可能性もあり、この点は、注意を要しましょう。

第二に、これも、しばしば指摘されることですが、中国は「国防動員法」を制定していますので、尖閣諸島問題等を発端として対日攻撃が行なわれた場合、日本国内において大量の中国人民兵が出現して蜂起する、あるいは、工作員が動き出す事態も想定されます。中国は、超限戦を公言しておりますので、日本国内の経済や社会を麻痺させることを目的に、テロを含む様々な攻撃や破壊活動を躊躇なく実行することでしょう。この側面は、台湾有事に際してもあり得るリスクであり、同法の発動によって米軍基地の無力化を狙うかもしれません。

 以上に述べたように、中国によって内外から脅かされるという日本国の現状は、自公政権が招いたといっても過言ではありません。中国の軍事並びに経済的覇権の確立を暗に助け、かつ、対日攻撃の口実を与える一方で、その脅威が国民の目に見える段階に至ると、勇ましく反中政策をアピールするのですから。これでは、はマッチポンプなのではないかと疑われても仕方がありません。世界権力の計画に基づく意図的なものであったのかどうかは分かりませんが、故安部元首相並びに自民党と世界平和統一家庭連合(元統一教会)との密接な関係も、同疑惑を深めています。

これまで自公政権を支持してきた保守派の人々は、この事態をどのように捉えているのでしょうか。また、保守政党を自認してきた自民党、並びに、連立相手である公明党は、国民に対して何と申し開きをするのでしょうか(少なくない国民が、‘偽旗作戦’に騙されたと感じている・・・)。少なくとも、保守政党といえども全幅の信頼を置くことはできないのですから、日本国は、煽られないように気をつけながら、民間を含めたより冷静な中国依存からの脱却、並びに、中国離れを試みるべきではないかと思うのです。

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