万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ムバラク大統領の蓄財―財政の透明化が急務

2011年02月09日 15時24分25秒 | 中近東
ネットカリスマきっかけ?…カイロデモ最大級に(読売新聞) - goo ニュース
 エジプトでは、国民の4割が、一日2ドル以下の生活を送っているそうです。しかも、インフレにより、食料品の価格も上昇しており、一般の人々の生活は、日に日に苦しくなるばかりです。にもかかわらず、ムバラク大統領一家の資産は、400億から700億ドル(日本円で3から5兆円!)というのですから、国民の怒りも爆発するはずです。

 大統領職の給与だけでは、これ程の蓄財などできるはずはなく、この資産が、権力の濫用や利権漁り、あるいは、国庫からの不正流用などによって築かれたことは想像に難くありません。報じられるところによりますと、エジプトの国庫には、スエズ運河から上がる莫大な通行料や天然ガスの売却益が入るそうなのですが、それが、どのように使われているか、一般国民には分からないそうです。こうした不透明な状況は、早急に是正されるべきであり、エジプトは、民主化への改革の一環として、歳出と歳入の詳細を公表し、財政の透明化を急ぐべきと思うのです(会計検査院は機能しているのでしょうか…)。また、検察や第三者機関によって調査を行い、もし、大統領が不正に蓄財しているのであれば、犯罪として罪に問うべきです。氏の巨額の資産がエジプト国庫に返還されれば、エジプトの復興にも役立つはずです。

 新たな政権が誕生しても、この部分にメスを入れなければ、新たな独裁者、あるいは、富の独占者が誕生するだけです。独裁と不正を防止する制度をきちんと整えれば、貧しい国民を放置しながら、私服を肥やし、贅沢を尽くす大統領は二度と現れないのですから。


 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中東の民主化―アメリカはシェ... | トップ | エジプトの混乱―民主化なくし... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
権力は腐敗する (坂東平家)
2011-02-09 20:56:56
権力は必ず腐る、これは人間社会の宿命でもある。日本は村社会の延長みたいなもので比較的綺麗だが、それでも腐る。
日本でも政治家はその権力で秘書に金を集めさせる。どこの会社でも社員は勤続年数や地位が上になれば会社の金を多方面に使う。いや使える。社長になれば会社は赤字でも銀座で豪遊できる。誰も止められない。独裁と不正は切り離せないのである。
返信する
坂東平家さん (kuranishi masako)
2011-02-09 21:21:57
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 民間企業の経営者とは大きく違い、政治家の仕事は、国民の税金によって賄われております。公費の私的流用は、犯罪なのです。政治を腐敗を防止するシステムを考案しませんと、いつまでたっても、権力亡者や利権亡者しか政治家になろうとはしません。これでは、亡国への道です。エジプトにとりましては、今が、独裁者の出現と腐敗を防ぐ仕組みを導入する絶好の機会なのではないかと思うのです。
返信する

中近東」カテゴリの最新記事