甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

九頭竜線に乗って

2023年01月08日 19時59分20秒 | きたぐにへの旅

 福井駅から越前大野をめざすことになりました。12:50福井駅発(これが2本目の下り)の九頭竜湖行きでした。おおよそ1時間ほど各駅停車に乗って山のかなたの越前大野へ入っていくことになりました(駅を管理する人はいましたが、保線員みたいな人たちで、この人たちは運行担当者ということではないようでした。いろんな事情があって半無人化されています)。

 九頭竜湖までは越前大野からあと40分ほど山の中へ入って行かねばなりません。そこにはダムと道の駅があって少し見たい気持ちもあったけれど、この雪では鉄道でもクルマでも、あまり身動きはとれない感じでした。冬のダム湖って、何だか寒そうです。

 私が降りる越前大野の町だって、どうなっているのか、イマイチわかっていませんでした(というか、私の調べ方がなってなかったみたいで、ただ旅している自分をイメージすることに追われていて、肝心の情報収集は怠っていたんですね)。

 線路は谷沿いに走っていたので、てっきりこれが九頭竜川だと思っていました。けれども、あとで調べてみたら、足羽川から日野川に流れ込むみたいで、最後は九頭竜川に合流して三国港で海に出て行くみたいでしたが、足羽川沿いに走る九頭竜線(正式には越美北線)は、越前大野あたりで九頭竜川に出会うようでした。確かに、ボンヤリしているうちに、わりと立派に見えていた川はどこかへ消えて行きました。分水嶺をどこかで越えたようでした。

 この山の向こうに盆地があるはずなんだけど、気配はないなあと少しだけ不安にもなりました。でも、絶対に開けたところには出るのです。そのきっかけを楽しみに待ちましたが、私が乗ってた時は福井から山の方へ入っていくと雪が降り積もっているので、果たしてどれくらいの雪深さなのか、不安ではありました。



 わりと福井に近いあたりで一乗谷駅がありました。信長さんがやってくる前の、越前の支配者であった朝倉氏の根拠地で、すべて焼き尽くされた後は地面の下に消えてしまっていたのが、近年になってようやく発掘され始めたそうで、その成果を集めた博物館もオープンしたばかりでした。少しだけクルマなども止まっていました。鉄道でこちらに来たお客さんもいるようですが、ほんの1人か2人です。

 一両編成の車両の座席は、お客さんで埋まっています。相当のお客さんがいるのに、誰も降りようとはしない。だったら、この人たちはどこへ行くのだろう。私は越前大野と決めているのだけれど、他の人たちは?

 そもそもこの路線は、下りが1日に8本、上りが7本だけ、最後の下りなどは一晩駅に泊まって、翌日の始発にならなくてはならず、あまり便利とは言えない状況です。

 私は、何か目的があって越前大野をめざしていたのですか?

 

 NHKのBSの「新風土記」という番組で、越前大野を取り上げていた回があって、そこで「亀山湯」という銭湯がとても魅力的で、雪の降る寒い夜に銭湯に入り、少し寒いけど旅館まで戻って、雪国の冬を感じ取ろう、そういうイメージができてしまったのでした。だから、雪と寒さと銭湯と薄暗い街と灯り、これはぜひ見つけたかった(イメージ先行の旅ではありました)。

 雪と寒さはすでにありました。車内はそれほどではないけど、雪はもうずっと見続けています。あとはできれば開店と同時にお風呂に入り、すばやく旅館に戻り、風邪ひかないようにする。そういう算段でした。

 13:45に越前大野駅に着いたら、一人だけ乗っていた女子高生はお母さんにお迎えに来てもらって帰って行きました。何しろ正月の四日でしたので、制服を着て学校へ出て行ったというのがすごいことでした(越前大野の始発は6:25、二番汽車は7:16、どっちにしろ数時間だけの学校滞在ですね!)。午前中に学校で何かをしてきて、昼過ぎには帰って来たようです。偉いじゃないですか。他にたくさんいたお客さんたちは? 何人かは降りたようですが、みんなさっさとどこかへ消えてしまい、あとに残ったのは私くらいでした。

 私は旅館に入るまでに、お城を見学して、亀山湯を見つけて、できればお風呂に入って、それから旅館に行けば、ちょうどいい時間になるんじゃないの? 

 という感じで、地図で何度かイメージトレーニングしておいた町に踏み込んで行きました。確かに、碁盤目状になっているようです。お城は西の端、駅は東の端でした。それにしても、ほとんどクルマも走っていない。お正月だから、みんな家にこもっているのかもしれません。雪国だから、空は薄暗いし、風も雪もないけれど、淋しいのは確かでした。

 私と一緒にやって来た人たちは? どこへ行ったのか、全く分からず、歩いている人もほとんどおらず、無人の町をお城に向かって行くのでした。

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