甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

エリナ・リグビー 1966

2019年06月21日 21時45分25秒 | わがまま音楽

 確か、1975年の5月、親戚の新婚式で静岡に行き、弟と二人で式にも出ないで浜松をブラブラして、駅前のヤマハでシングル「イエロー・サブマリン」を買いました。ものすごく遅れていたけど、やっとビートルズに自分の力で手を出せた充実感がありました。旅している時の気前の良さになってたんでしょう。

 どうして普段住んでいる大阪じゃなくて、浜松で買うんだよ! という気もしますが、親戚の晴れ舞台ということで、私たちはお小遣いを余分にもらっていたのです。そして、人生初のビートルズ購入体験をしました。

 気に入ってたのは、「イエロー・サブマリン」の方で、B面のわけのわからない暗い曲は、イマイチ理解できないし、ストリングスが入ってたり、重厚な感じで、理解できなかった。何しろサブマリンのとぼけた味を求めていたので、全く拒否反応を示していたと記憶しています。

 それから、何十年も経過して、「エリナ・リグヒー」の味がやっとわかってきたというのか、今さらながらビートルズの人たちの才能に驚き、今さらながら何十年もずっと感心させられて、今もその驚きは消えません。たぶん、ずっと私は彼らの音楽を保持しながら、これからも生かせてもらうのだと思われます。

 取っ掛かりから、暗い始まりになります。悲痛な響きさえあります。

Ah, look at all the lonely people
Ah, look at all the lonely people

ああ、みんなこの孤独な人たちのことを見てください。
ねえ、みんな、こんな人たちがいたんですよ。 

Eleanor Rigby picks up the rice
in the church where a wedding has been
 Lives in a dream
Waits at the window, wearing the face
that she keeps in a jar by the door
 Who is it for

エリナー・リグビーは米を摘み上げる
結婚式が執り行われている教会の中で
夢の中で暮らしているんだ
窓際で待っている、顔を作りながら
ドアの傍の瓶にとってある
 だれのために?

彼女は、何かにつけてもったいぶっているというのか、
いろんなチャンスを逃しているというのか、
現実の生活の中では生きていなくて、
自分の夢の中で生きているようです。
それを淡々と歌っている。

All the lonely people
Where do they all come from?
All the lonely people
 Where do they all belong?

全ての孤独な人々は
みんなどこから来たの?
全ての孤独な人々は
 みんなどこに居所があるの?

みんな自分の居場所が見つからないのです。
本人は、小さな別天地を得たような顔をしているけれど、
何も手に入れていないし、誰にも働きかけをしていない。
自分の世界だけで自足している。

Father McKenzie, writing the words
of a sermon that no one will hear
 No one comes near
Look at him working, darning his socks
in the night when there’s nobody there
 What does he care

マッケンジー神父は言葉を書いている
誰も聞きはしない説教の
誰も近寄らないのさ
彼の働きを見てごらん、靴下を繕っているよ
夜の誰もいなくなったところで
彼は何を気にしているのかな

神父さんのことばが誰の心にも届かないなんて!
ビートルズの若者たちはそういう瞬間を切り取りました。
みんなに届けようと考えた言葉が、どんどんみんなを遠ざけるし、
深夜に地味な作業をしている神父さんまでイメージしてしまった。
大人の孤独もすぐにかぎ分けちゃうなんて!
ホントにすごい才能です。

All the lonely people
Where do they all come from?
All the lonely people
 Where do they all belong?

全ての孤独な人々は
みんなどこから来たの?
全ての孤独な人々は
 みんなどこに居所があるの?

みんなは一体どこに所属しているの?
あなたは誰と一緒にいてもらえるの?
その人はあなたと一緒でしあわせなの?
考えると少し怖くなるけれど、
とりあえず、誰かと一緒にいないと、私たちの心はパンクしてしまいます。

Ah, look at all the lonely people
 Ah, look at all the lonely people

ああ、見てごらんよ全ての孤独な人々を
 ああ、見てごらんよ全ての孤独な人々を

Eleanor Rigby, died in the church
and was buried along with her name
 Nobody came
Father McKenzie, wiping the dirt from his hands
as he walks from the grave
 No one was saved

エリナー・リグビー、教会の中で死んで
そして名前とともに葬られた
誰も来なかったよ
マッケンジー神父、手から土を掃いながら
墓から歩いて来る
誰も救われなかったよ

All the lonely people
Where do they all come from?
All the lonely people
 Where do they all belong?

全ての孤独な人々は
みんなどこから来たの?
全ての孤独な人々は
 みんなどこに居所があるの?

 さあ、歌が終わったら、私もその「ロンリーピープル」の1人になってしまいますし、どこにいったら誰かに出会えるのか、それとも、どこに行っても誰にも出会えないのか、暗澹たる気持ちにもなるでしょう。

 でも、みんながそういう気分を抱えているとわかってしまえば、今だれかと出会えたり、たまたまそばに誰かがいたとしたら、その瞬間がとても貴重になるし、その時間を大事にして、せいぜいその人のために何かをしてあげなくちゃ! そういう気分にもさせてくれる気がします。

 さびしい歌なんだけど、みんなを応援する歌としても聴けるのです。

 さびしい風が吹いたら、私もエリナ・リグビーだし、あの人はマッケンジー神父なのさ。だから、あの人のことばに耳を傾けてあげなきゃいけないし、エリナの悲しい顔に心を読み解き、話しかけてあげられるじゃないですか!

 そんなことを何十年も前の若い人たちにずっと教えられ続けています。なんとすごいことなんでしょう。

 しばらく遠ざかっていましたけど、クルマで聞かなくちゃいけないな!




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