甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

机上の空論 中歴73 その1

2019年09月22日 22時18分36秒 | 中国の歴史とことば

 82番の【刎頸(ふんけい)の交わり】のところで、廉頗(れんぱ)さんを取り上げました。生没年の詳しいところはわかってはいません。BC244年に趙の将軍の地位を更迭され、魏に移り、最後は楚で没したという将軍さんがいました。

 将軍の地位まで上り詰めたし、言葉にもなるくらいに国を支えた人だったのに、人生の最後は寂しくなってしまいました。いや、本人はそれなりに満足していたのか、私にはわかりません。ただ、自分の力を試せるところがあるなら、世界の果てまで行くというのは、男としては本望だったのかもしれません。

 輝いていたのは、秦の始皇帝が出てくる少し前の時代です。

 中国大陸の西の奥にある強国の秦という国がありました。

 秦の王様が王齕(おうこつ)という人に命じて、韓を攻めさせ、上党(じょうとう)の地を取ったそうです。上党の人々は、趙に逃げたそうです。どんなに善良な人たちであっても、侵略軍が来たら人々は逃げ出すようです。

 趙は長平に軍を出して上党の避難民を救済しようとしました。

 秦から派遣されている王齕さんはこれを理由に趙を攻めたそうです。どちらにも所属していない土地に進軍したら、そこの住民が逃げた。それを近隣の国の軍隊が助けようとした、ということになっています。

 秦も趙も、自国の領土拡大のために、係争地があれば力で解決する気持ちはあった。趙としては、なるべく秦に侵略してもらいたくないから、未然に防がなくてはならないのです。でも、相手はなかなか強い。

 この時、趙には、すでに趙奢(ちょうしゃ 将軍)は亡く、外国交渉で大活躍した藺相如(りんしょうじょ)さんも重い病の床にありました。絶対のピンチになりました。

 趙は大ベテランの廉頗(れんぱ)さんを将軍に選び、秦と戦うことにしました。秦はたびたび趙を破り、切れ味は鋭かったそうです。戦えば少しずつ自分たちが消耗するのが分かったし、正面から戦うと不利であると理解した。

 そこで、廉頗(れんぱ)さんは、守りを固めて防衛に徹することにしました。秦は遠征軍ですから、早く勝ちを収めてサッサと帰りたい気持ちがあった。何万という軍隊を旅先で維持するのはお金のかかる行動ですから、早く決めたいのです。

 秦はしばしば挑発をしかけますが、持久戦をして相手が疲れることを待つことにした廉頗さんは、さすが老練な将軍でした。戦えば負けるが、戦わずに孤塁を守ればいつか相手が転んでくれる、それを待つことにしたというのです。



 秦はしたたかな国ではあります。間諜(かんちょう スパイ)を送り込んで、相手の内部分裂をはかる作戦です。

 「秦は馬服君趙奢(ちょうしゃ)の息子・趙括(ちょうかつ)が将軍になることを最も恐れている」という言葉を趙王の耳に入れることに成功します。まあ、よくある話です。膠着状態にある時、動いた方が負けるって、本当に私たちは何度もどこででも聞かされています。自分が当事者になればどうなるかわからないけど、第三者であれば、動いたら負けだ、というのを知っていて、上手に判断できるんですけどね。

 趙王さんはこれを信じ、廉頗さんに代えて趙括さんを将軍にすることを決めます。これを知った藺相如さんが王に言います。

 「王様は名が知られていることで趙括をお使いになろうとしておられますが、これは琴柱(ことじ)を琴の胴に膠(にかわ)で貼り付けて弾くようなものです。 趙括は父の兵書を学んだに過ぎず、実戦で臨機応変に対応することはできません。」

 藺相如さんの言葉は聞いてもらえず、王様は趙括さんを将軍にします。将軍の交代です。前線のこともわからない後方が、前線の現場監督を突然更迭する、現代の社会でもありそうなことです。そして、選ばれた人はプリンスで、本人もやる気満々でした。

 趙括さんは幼いときから兵法を学び、兵術を語れば彼に勝てるものはなかったそうです。いろんな本を読んで暗記力と反応の良さで、お父さんも息子にはなかなかかなわないものだとは思っていた。

 けれども、現場で得た知識ではないので、戦場でその知識が生かされるかは未知数で、人間が戦うというのに、息子はその人間への理解に未熟な所があると父親は見ていたそうです。

 息子さんに言い負かされた夫から妻はこんな話を聞いたそうです。

 「戦とは命がけのものだ。だが、息子の括はこれを軽々しく語る。 趙が括を将軍としなければよいが、もし将軍とすれば、 括は必ず趙軍を破滅させるであろう。」と。

 ああ、こんな親子が歴史の舞台に立とうとしていました。ここまで来れば、おそらくこの息子さんは失敗するはずですが、それは次回に続けます。

 なるべく早く次回を書きます。そして、この稿も手直しは必要だとは思います。

 明日からお仕事だし、今日はこの辺で止めますね。すみませんでした。



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