
あなたの小さい時の思い出をふり返ってみて!
小学校の頃のこと?
もっと昔は?
幼稚園の頃、クリスマスに父方の祖父が亡くなって、お葬式に家族みんなでカゴシマに行ったことかなあ?
何も憶えてないけど、帰りの汽車で、ボーッと汽笛を鳴らしてくれて、さあ、大阪に帰るんだ、なんて思ったはずで、あの一瞬は長く心に残ってたよ。
いや、それとも汽笛にびっくりして、親戚の人たちに笑われたんだったか、とにかく座席に座ったはずで、客車の隅っこ、暮れていく外を見ながら、何か考えてた、そういう記憶かなぁ。
なんで、そんなの記憶に残ったの?
蒸気機関車の発進する時って、特別だったんだろうな。さあ、出発というのが刻まれたんだと思うよ。それから、どれだけ汽笛を聞いただろう。あまりこれも記憶にないし、そういうのを聞くチャンスがなかったかもしれないな。

幼稚園には1年しか通わなかったけれど、写真をたくさん購入したせいか、実家に帰るとたくさんの写真があるよ。お遊戯会でハカマを着て踊ったり、芋掘り遠足で母に手を引かれて歩いてる姿とか、教室の中とか、どうしてこんなに写真が残ってるんだろう、というくらいに幼稚園の写真があるんだ。
そんなに思い出はないんだけど、ああ、こんな顔をして、こんな頼りない人生を歩いてたんだと、今さらながら思うんだ。今とあまり変わってない感じ。
記憶は何もないの?
泣かされたりもしたんだろうけど、いじめっ子がいたという記憶はないよ。みんな素朴に生きてた。そして、はっきり覚えている気がするのは、土団子づくり。
あれは、ムチャクチャ流行ったんだよ。水で園庭の土をこねてダンゴをつくって、だいたいは掌の中に入るくらいの大きさにして、コネコネしているうちに固くなっていくと、今度は乾いた土をかぶせたり、こっちの土をかけると強くなるという話を聞けばそちらへいくとか、小さな幼稚園のあっちこっちで男の子たちの泥ダンゴは花盛りだった。
そして、いくつか作ったら、それをかわりばんこに同じ高さから戦う相手のダンゴめがけて落としていくんだ。強かったら、相手のダンゴを一度につぶしてしまうし、弱かったら一撃でダンゴは真っ二つ。そんなんで一喜一憂、そういうブームがあったんだね。
そんなトーナメントをしていると、勝ち抜いていくチャンピオンが生まれて、その持ち主は鼻高々になれるんだ。
まあ、ボクには、そんな栄誉にあずかることはなかったんだけどさ。

そんなつまらないことしてたんだね。いや、それが遊びの中の学びというのか、試行錯誤の日々だったんだよ。
強いダンゴを作るために、秘術があって、幼稚園の建物の軒下に砂山を作って、その中に一晩寝かしておくと、強いダンゴができる、という話だったから、ボクも一度か試したはずなんだけど、次の日になったらもう忘れてるから、一晩で最強になったというのを実証できなかった気がする。
ダンゴ遊びって、小さい頃の不思議な遊びだったなあ。
タイトルはどうなってるの?
うん、つづきは明日にしよう。今日も酔っぱらって、ガーガーいうような気がするんだ。どうして静かに眠れないのかなあ。朝起きたら、心臓はドキドキしてるし、穏やかに朝を迎えるって、あんまりないんだけどね。
