何年か前、弟が胃炎になったという話を聞いた。彼はオッサンになって初めて胃カメラをして、検査していくと、胃にピロリ菌がいるということが判明する。
「さてピロリ菌とは、どんなヨーグルト飲んだんだろう?」
「その菌はいいヤツ? わるいヤツ? 何だかかわいい名前だな」
という程度の知識しかなかった。実はピロリ菌は恐ろしい菌であることを後に知り、どんなものもやっつけてしまう胃酸にも負けぬ、胃がんの原因にもなり得るヤツなのだと、今更ながら知った。
自分は、もうかなり昔、今から30年以上前、家で仕事もせずにグダグダ引きこもりを1年間したことがあった。その時に精神的にまいったのか、胃がおかしくなって、その時に初めて胃カメラを経験した。その頃は、胃カメラというと、大変なものだったらしく、病院に勤める叔母に前泊して備えなさいと言われて、叔母の言う通りにその病院に泊まった。折角泊まったものの、そんなすごい検査を明日受けるのだと思うと、なかなか寝られず、不安な一夜を悶々と過ごした。
さて検査である。苦しいという先入観があったので、意外と平気でいられるなとは思った。意識もクリアーで、目の前の黒々とした太い電気のコードのようなものが目の前にあり、何だか自分が串刺しにされているような、少し残酷なイメージが広がった。もう第三者として自分の姿をイメージすることができる。そんな絵柄が浮かぶ。
診断は胃炎というだけで、わざわざ胃カメラをした意味があったのか、釈然としないものがあった。というよりも、念のために検査して、単なる胃炎で、薬を飲みながら様子を見ようとなるために苦しい思いをしたような気がする。
そのころは、自分がもっと大変な病いに冒されていて、もう命があぶないというような考えにとりつかれてもいたのである。だから、今、不幸のどん底の自分は、全く社会に受け入れられないまま死んでしまうかもしれないと、暗い(つまらない)考えにとりつかれていたので、そんな妄想にまみれた自分を解放するためには、苦しい検査も受けなければならなかったのだと思う。
そして、30年以上が過ぎてしまい、大嫌いなバリウム飲んでレントゲンで、胃に何か陰があると診断され、精密検査で胃カメラをしたのであった。技術は進歩して、入っているのかいないのかわからないくらい楽な感じであった。ただ、いつもの通り、お医者さんが目の前でコードを出し入れするので、しかもモニターを見ながらやってくれるので、自分の気管と食道の分かれ道も見ることができた。胃の入り口から十二指腸にいく入り口くらいまでの映像を楽しむこともできた。ビデオにとってじっくりみてみたいような「ミクロの決死圏」的な映像であった。
そして、お願いしていたピロリ菌の検査は、針金をコードに沿わせて送り込み、適当なところにたどりついたら、胃の組織をプチッと切り取って見せた。痛くはなかったが、映像を見ていてどこかが痛いような気がした。不思議な感覚であった。そして結果はやはり「ピロリ菌あり」ということで、一週間しっかり薬を飲んだ。それから、また1ヶ月後に来なさいということなので、先日風船を2つふくらませる検査を行う。果たして結果はどうなるのか……。
おそらく何十年も体内にいたヤツなので、それこそ半世紀以上かそこらなので、簡単に死滅するはずはないと思う。「わがピロリ菌は不滅だ」という気持ちと、「もう、いいかげんにして!」という気持ちと半々だが、私のオッサン的生活はこうして続いていくのであった。
春浅しピロリヘリコバクターいまいずこ
酒飲みてピロリのエサと母説教
チューリップ追悼の日々つづく
例によって、意味不明俳句でした!
追記 胃から組織を取ったのは、ピロリの検査ではないそうです。
妻から、そのように指摘を受けました。
「あなたは思い込みが強いから、そんな間違いを起こす」と言われました。
早合点してしまったんですね。
でも、てっきり取ったもので検査したと思ったんですけど、まちがってたか……。
お騒がせしました。
「さてピロリ菌とは、どんなヨーグルト飲んだんだろう?」
「その菌はいいヤツ? わるいヤツ? 何だかかわいい名前だな」
という程度の知識しかなかった。実はピロリ菌は恐ろしい菌であることを後に知り、どんなものもやっつけてしまう胃酸にも負けぬ、胃がんの原因にもなり得るヤツなのだと、今更ながら知った。
自分は、もうかなり昔、今から30年以上前、家で仕事もせずにグダグダ引きこもりを1年間したことがあった。その時に精神的にまいったのか、胃がおかしくなって、その時に初めて胃カメラを経験した。その頃は、胃カメラというと、大変なものだったらしく、病院に勤める叔母に前泊して備えなさいと言われて、叔母の言う通りにその病院に泊まった。折角泊まったものの、そんなすごい検査を明日受けるのだと思うと、なかなか寝られず、不安な一夜を悶々と過ごした。
さて検査である。苦しいという先入観があったので、意外と平気でいられるなとは思った。意識もクリアーで、目の前の黒々とした太い電気のコードのようなものが目の前にあり、何だか自分が串刺しにされているような、少し残酷なイメージが広がった。もう第三者として自分の姿をイメージすることができる。そんな絵柄が浮かぶ。
診断は胃炎というだけで、わざわざ胃カメラをした意味があったのか、釈然としないものがあった。というよりも、念のために検査して、単なる胃炎で、薬を飲みながら様子を見ようとなるために苦しい思いをしたような気がする。
そのころは、自分がもっと大変な病いに冒されていて、もう命があぶないというような考えにとりつかれてもいたのである。だから、今、不幸のどん底の自分は、全く社会に受け入れられないまま死んでしまうかもしれないと、暗い(つまらない)考えにとりつかれていたので、そんな妄想にまみれた自分を解放するためには、苦しい検査も受けなければならなかったのだと思う。
そして、30年以上が過ぎてしまい、大嫌いなバリウム飲んでレントゲンで、胃に何か陰があると診断され、精密検査で胃カメラをしたのであった。技術は進歩して、入っているのかいないのかわからないくらい楽な感じであった。ただ、いつもの通り、お医者さんが目の前でコードを出し入れするので、しかもモニターを見ながらやってくれるので、自分の気管と食道の分かれ道も見ることができた。胃の入り口から十二指腸にいく入り口くらいまでの映像を楽しむこともできた。ビデオにとってじっくりみてみたいような「ミクロの決死圏」的な映像であった。
そして、お願いしていたピロリ菌の検査は、針金をコードに沿わせて送り込み、適当なところにたどりついたら、胃の組織をプチッと切り取って見せた。痛くはなかったが、映像を見ていてどこかが痛いような気がした。不思議な感覚であった。そして結果はやはり「ピロリ菌あり」ということで、一週間しっかり薬を飲んだ。それから、また1ヶ月後に来なさいということなので、先日風船を2つふくらませる検査を行う。果たして結果はどうなるのか……。
おそらく何十年も体内にいたヤツなので、それこそ半世紀以上かそこらなので、簡単に死滅するはずはないと思う。「わがピロリ菌は不滅だ」という気持ちと、「もう、いいかげんにして!」という気持ちと半々だが、私のオッサン的生活はこうして続いていくのであった。
春浅しピロリヘリコバクターいまいずこ
酒飲みてピロリのエサと母説教
チューリップ追悼の日々つづく
例によって、意味不明俳句でした!
追記 胃から組織を取ったのは、ピロリの検査ではないそうです。
妻から、そのように指摘を受けました。
「あなたは思い込みが強いから、そんな間違いを起こす」と言われました。
早合点してしまったんですね。
でも、てっきり取ったもので検査したと思ったんですけど、まちがってたか……。
お騒がせしました。