3冊とも、神戸元町にあった本屋さんの海文堂というところで一気に買いました。9月14日なんて、父が亡くなる少し前でした。のん気に神戸の街を歩いていたようです。
古本屋を歩いたり、海文堂の二階をのぞいたり、フラフラ歩いていました。それで、平積みされてた大杉栄さんの本を大人買いしたようです。海文堂は閉店間近ということで、何かの足しにでもならないかと思ったのだと思われます。
それにしても、全く縁のなかった大杉栄さん、どうして買おうと思ったのか、神戸にも特に縁がある人とは思えなかったけれど、出会いを大切に、というわけのわからない理由で買ったようです。
簡単に読めるだろうと思いつつ、少しずつ読んでみたものの、そのまま放置されてて、もう8年くらい経過しています。どうしてそういうのを今さら持ち出して来たのか?
その理由が、森まゆみさんの「明治快女伝」(1996)という本を突然読み始めたからです。すぐに飽きて挫折すると思うけど、とにかく最初のところはなかなかおもしろくて、その中で大杉栄さんに関係した女の人二人について書いておられて、「そういえば、うちに大杉さんの本はあったなあ」と取り出してみたんでした。
大杉さんは、1923年の9月、関東大震災の混乱の中で、憲兵たちによって虐殺された人でした。一緒に行動していた伊藤野枝さんも殺されてしまう。その愛人・野枝さんと恋人・神近市子(かみちかいちこ)さんの二人のことが書かれていました。
大杉さんは、このころ内縁の妻がいて、恋人の市子さんがいて、新しく離婚してきたばかりの野枝さんも愛人にして、とても忙しく活動していたみたいで、改めてすごい人だなあと、その活力に感心して、読み直してみようと思った次第です。
そんなつまらない動機では、また挫折するのがオチだけど、とにかく、明治・大正・昭和という日本の人々の気持ちの流れみたいなのを追いかけたい私としては、テーマとして見つけられたかなというところです。
今まで、つい男の方にばかり目が行って、その男と一緒にいた女性たちにあまり目を向けてこなかった私の、反省の一歩でしょうか?
海文堂はなくなりました。ドラックズトアになってしまって、情けない気持ちになります。あんなに頑張ってた本屋さんがなくなるのかって。
そんなものなんだなあ。残念なこと、世の中にはたくさんあります。せいぜいやれることをやって、いろんな人に関われたらなあと思うんです。