甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

春風馬堤曲 その1 口上から

2020年02月17日 21時14分11秒 | 蕪村さんの旅と放浪

 そろそろ、やろうと思ってたことに取りかかろうと思うんです。そのタイトルは「春風馬堤曲」というものでした。漢詩と俳句をミックスさせた、少し見た目はめんどくさい感じのものでした。私も、何十年も敬遠しておりました。そして、唐突な感じだけど、いよいよ読もうと思います。よろしくお願いします!

  春風馬堤曲(しゅんぷうばていきょく)   
                謝  蕪  邨(しゃ ぶそん)
 
 春風の中を故郷への道である毛馬(けま)の堤を行く情緒を歌った歌曲です。毛馬の堤は今の大阪市都島区毛馬町の長柄川(ながらがわ)に沿う堤です。そこは蕪村さんの故郷でした。「謝蕪邨」というのは中国風の書き方になっています。漢詩にふさわしい感じの演出をしたんですね!



 余一日問耆老於故園。 
   余一日(ひとひ)耆老(きろう)を故園(こえん)に問う。
    
私はある日、あるお年寄りを訪ねて故郷を訪ねることにしました。

 渡澱水過馬堤。
   澱水(でんすい)を渡り馬堤(ばてい)を過ぐ。

澱水(淀川)を渡り、川の堤防、毛馬の堤あたりを過ぎることになりました。
    
 偶逢女帰省郷者。
   たまたま女の郷(ごう)に帰省する者に逢う。

たまたまではありますが、故郷に帰省しようという女の人に出会いました。

 先後行数里。相顧語。
   先後(せんご)して行くこと数里。相(あい)顧みて語る。

先になったり後になったりして数里(二十キロ?)ほど歩いていました。そのうちにお互いが振り返り、ことばを交わすようになりました。
    
 容姿嬋娟。癡情可憐。
   容姿(ようし)嬋娟(せんけん)として。癡情(ちじょう)憐(あわれ)むべし。

女の人は顔も姿もあでやかな感じでした。何となく色っぽさもあって、愛すべき女性という感じがありました。私のひいき目かもしれないけど。

 因製歌曲十八首。代女述意。
   よって歌曲十八首を製し、女に代わりて意を述ぶ。

彼女との出会いによって私は刺激されて、十八首の作品を作ったのです。彼女の代わりに彼女の気持ちを述べてみようという趣向です。
    
 題曰春風馬堤曲。
   題して春風馬堤曲という。

タイトルは「春風馬堤曲」というふうにさせてもらいました!




★ 書簡においては、
 「余幼童(ようどう)の時、春色清和の日には、必ず友どちとこの堤上にのぼりて遊び候(そうろう)。……浪花を出てより親里までの道行きにて、引き道具の狂言座元夜半亭(やはんてい)と御笑(おんわら)ひくださるべきに候。実は愚老(ぐろう)懐旧(かいきゅう)のやるかたなきよりうめき出(いで)たる実情にて候」
と語っていたそうです。

 小さいころから、淀川の堤には何度も遊びに行きました。そのころ、一緒に遊ぶ友だちもいました。故郷を離れ、オッチョコチョイの私のお笑い物語として見てもらったらいいです。でも、年を取った私の、どうしても故郷のことを書きたい真情から生まれた物語ではあるのです、という風に語っておられたそうです。

 口上はいいから、早く本文を読ませてよ! ハイ、また明日以降に! (チッ!)

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