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三重県でも海が見えるけれど、お盆に大阪の実家に帰ったとき、そこから行ける海の見えるところに電車で行きたかった。
ついこの間、姫路の網干まで行き、駅から海まで歩き、海岸の公園とか、漁港とか、工場地帯とか、そういうのを見てきたんでした。確か暑かったから、去年の夏だったのか、調べたらわかるんですけど、調べないとわからないくらい、時間そのものはあやふやになっている。
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でも、記憶そのものはわりと鮮明で、休憩した場所。海の風景、そこで研修していた若者たち、網干のひなびた街並みなど、あれやこれやと思い出せます。だから、もう一度行ってみるかと言われたら、冬か春なら、また行ってもいいかなとは思いますが、夏には行けない。
となると、相生か、赤穂かにしようと決めました。高校時代、室津に行きたい気持ちをもってましたけど、室津って、赤穂に近いんだろうか、相生だろうか、それさえあやふやです。あんなにあこがれていたのに……。駅のポスターだったのか、歴史の授業で出てきたのか、それとも司馬遼太郎さんの小説だろうか。わからないなあ。
それで、実家を出るとき、母に「赤穂に行ってくるわ」と宣言しました。
いつもなら「私も行こうかな」というところなんですが、お盆だし、暑いし、あまり魅力的ではないし、行きたい気持ちにはならなかったみたいです。私は、電車に乗っていたら、それなりに楽しいんだけどな。
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駅前通りをひたすら南に歩いて20分くらい。やっとお城の跡にたどりつきました。でも、お城とはいうものの、何を見に来たのだろう。それさえ調べずに来ました。とにかく城跡に何かあるんじゃないの、といういい加減な思い入れです。
お城の敷地はわりと広いみたいで、三の丸、二の丸とあるようで、お城の中に家老の屋敷やら、山鹿素行という人のおられたところとか、場内にも街があるようでした。そして、予想されたように、お城のそばに海もあったようでした。
今は、海はもっと向こうの方に追いやられて、水路やら、ホテルやら、野球場などができてしまっている。水際に映えるお城というのも見てみたかったけれど、それはイメージの中にしか生まれないし、お城そのものも、建物はほとんどなくて、お堀だけが当時をしのばせてくれているようでした。
赤穂のお城は、浅野家がほんの三代ほどいたところで、お家断絶になってから、他の大名が入りました。そちらの時代が長いのに、赤穂のお城は、現代では義士討ち入りから時代が止まったままになっていたのでした。
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大石内蔵助の屋敷はお堀の内側にありました。その門も残されていた。屋敷跡は大石神社となって、明治以降忠君愛国の風潮によって持ち上げられて、現在に至っている様子でした。
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神社の入り口には大石内蔵助の石像があります。
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神社の入り口は、東郷平八郎さんの揮毫による石の門までしつらえてありました。なかなか上手な字じゃないですか。さすが明治の人々です。江戸時代に書道の稽古とかしたんでしょうね。今の政治家たちとはえらい違いです。
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四十七士の石像が並んでいて、演劇ファンの人ならごひいきの義士さんがいるのかもしれないけど、私はそれほど忠臣蔵好きではないので(大学の卒論はそれに近いものでしたけど)、「石像はみんな中国から来たんだなあ」と、そちらに気を取られてしまうのでした。
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お城から歩いてすぐのところに、昭和のおもちゃ博物館という、街角博物館があって、外観は魅力的で何枚か写真を撮りましたが、中に入るのは入場料が必要みたいで、お金のない私は遠慮してしまった。ああ、なんたることか。
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