わたしが小さな鳥ならば……

　先日、名松線の比津という駅から、途中の撮影スポットまで、せっかくだから歩いてみようとしてたんです。クルマを止めるところがあるような気もしたけれど、せっかくの渓谷沿いの道だし、たまには歩いてみようと思ったんです。

　お昼前だったけれど、そんなにお腹も空いていなかった。わりと元気で、川を見たり、木を見ながら歩いたりしていました。これという花は見つからなかったし、小さな鳥にも出会わなかったけれど、わけのわからない木の実をいくつか見つけました。自分が鳥さんなら、どれを食べよう。おいしくないのはイヤだぜ、おいしいのだけを食べ尽くしたいと、変な食欲にとりつかれたんでした。


わたしが小さな鳥ならば、
どんな実食べて過ごしましょう。
赤いの、青いの、黄色いの、
秋のぜいたくしてみましょう。


わたしが小さな鳥ならば、
何を探して飛びますか。
ともだち、恋人、おかあさん、
みんなでお話しできたらなあ。


わたしが小さな鳥ならば、
遠くに渡っていくのかなあ。
南の国と、雨の国、
木のあるところで休みましょう。


わたしが小さな鳥ならば、
ときどき人んちのぞきましょう。
やさしいおうちに小さな子、
わたしを見つけてくれるかなあ。


わたしが小さな鳥ならば、
空を小さく飛びましょう。
そんなに無理せず木の間、
隠れ隠れて生きてこう。

　結局、鳥になっても、わたしはわたしで、あいかわらずですなあ。なあんだ、おもしろくないなあ。