甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

眠れない夜は、ひとり上手で、別れの予感 HSD-00

2014年01月15日 21時43分37秒 | High School Days

 高校再編活性化とかいうことで、中堅クラスの高校をいじくりまわして、学校の内外をボロボロにしておいて、「さあ、あとは自助努力しろ! OBを含めて、何とかしろ!」と、行政から見放され、冷たい偏差値社会に放り出されることはよくあります。

  そうなると、たいていの学校は見事に転げ落ちて、受験界からは冷たく見られ、それを挽回するのはなかなか大変です。よっぽどのことがないかぎり、挽回は難しく、たまにヒットすることはあっても、もうただの歴史の古い学校になってしまいます。百年の歴史の学校なんて、なんとい
うこともありません。そういうのはゴロゴロあるんです。

 行政は、建物は新築してくれたりするけれど、中身に関してはあまり助けてくれず、本来なら昔のようにじっくりと人づくりをやっていればよかったことが、改革と新しいもの好きの波に負けて、伝統校は姿を消していく、ということがあります。

 私の母校もそうなってしまいました。素敵な中庭も、古くさい廊下も、並んだ椰子の木もすべて取り去られ、全く違う学校になってしまいました。あの中庭がなくなってから、もう母校に自分たちの帰る場所はないと、半分あきらめ、遠い世界のこととして忘れようとしている自分がいます。そんなことではいかんと今さらながら思ってみるものの、やはり母校との縁は薄いものになってしまっています。

  同期で入学した生徒の中で、ものすごく有名になった人がいます。関西ではテレビで大活躍して、選挙やら何か政治的な話題やらがあると、解説したりしているようです。将来は、池上アキラさんみたいになって、自分の番組などを持ち、大学の教授にでもなって、チャンスがあれば政治家にもなれそうです。そして、十分なれる人だと思います。昔から物知りで、おもしろいギャグをかませるし、グループのリーダーになれる人でしたから、もう適材適所で、がんばっているなあと思っています。



 近ごろ、もう1人同期の人のことを思ったりします。彼は柔道部で、ちょっとオシャレで、ギターなんかも弾けたりして音楽活動はするカッコイイ人でした。ただの文武両道ではなくて、いろいろなこだわりのある人で、私も変なこだわりのある人間だから、彼と接点を探ろうとしても、ノリが違うというのか、やはり何でもできる人と、何もできない勉強もできない私なんかとは違うかなと思っていました。けれども、どういうわけか彼とは縁があって、いろんなところで出くわしました。予備校の講習会で一緒になったり、運動会の応援団が一緒だったりしたでしょうか。もちろん彼はメインストリームで、私はその他大勢でした。

  3年の文化祭だったでしようか、彼の旅のスライド会がありました。観客の1人として参加すると、夏に北海道の宗谷岬まで一人旅をして、あちらこちらを見聞きした話をおもしろおかしく語っていました。まさに青春そのものでした。

 今の感覚なら、「よくもまあ、高校3年の夏を北海道旅行に費やせるなあ」と突っ込むところですが、単純に私は、一人旅をしてきたという行動力とそれをみんなに披露できる真面目さに感動したものでした。もちろん自分の夏は、勉強もせずに図書館に入り浸りになって、吉川英治の「新平家物語」読んだだけでしたので、もう大違いでした。
 


 それがどういうわけか、翌年には同じ大学に通うことになりました。不思議な縁がありました。大学に入っても、彼はバイクを颯爽と乗りこなし、体育会のクラブでも活躍していた。自分はたいしたこともせず、お酒ばっかり飲んで、女の子を追いかけ回し、時々本を読むくらいの生活を送っていました。あっという間に四年間が終わって、私は自分の仕事のことで精一杯で、何も考えずに何年か経って、ある時、彼が物故者になっていることを知りました。それがどういうことなのか全く理解できず、ただぼーっとして、しかもそれを確かめることもできず、何十年も経過していきました。

 つい最近になって、小田和正さんの「空が高すぎる……」という曲をFMで耳にして、「あっ!」と思ったのです。そういえば、大学時代に一度だけ彼の下宿に行ったことがあって、そこで彼がだれかから借りたレコードからカセットテープに録音しようとしていた。折角高校の同窓生が下宿を訪ねてきたというのに、レコードの録音はないだろうと思いますが、当時はそれが彼の歓待だったのです。

  オフコースの「眠れない夜」だった! と突然思い出したのです。それからは車で移動中だったのですが、突然大学時代に、彼の部屋で聞いたオフコース、男臭い一室の雰囲気、大切にレコードを扱う彼、それが何度も針飛びをして、何度も何度も同じところを聞かされて、少しウンザリしつつ、オフコースとはこんなものか、彼はこういう音楽を聴くのかとか、そんなどうでもいいことの数々がよみがえりました。

 けれども、その彼はもうこの世にいないのだと思うと、それはそれは悲しくて、車の運転中にもかかわらず泣けてきたものでした。

 私が間の抜けた時節に、とんでもないところで泣いたって何にもならないのです。でも、彼を偲びたくなって、つい最近オフコースのベストを買いました。「眠れない夜と雨の日には、忘れかけてた愛がよみがえーる」と一緒に歌うことにしました。あまり意味のない、独りよがりの行為だと思いますが、何となくそんなことをしています。

 オフコースの「眠れない夜」の後は、中島みゆきの「ひとり上手」にしましよう。しめくくりはテレサ・テンの「別れの予感」がいいかな。カラオケの練習ですね。

 高校の時の同級生の話でした。


★ いくら嘆いても、いくら彼をしのんでも、彼はこの世にいないみたいです。なぜなんだろう。どうして私はここにいるのか。私たちはどこへ行くのか。何もわからないです。確かなことは何もない。だから、そばにいる誰かを大事にしなくては! 時々は実家の母親に電話しなくちゃ!(2019.12.2)


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