昨日の晩、何を食べただろう? ほんの十何時間前のことなのに、思い出せません。
まさか、何かかけらだけでも憶えてないのか? お酒は缶チューハイ98円を飲んだけれど、何味だったかは忘れた。ただ、グッと飲んで、何を食べ、何味のものを飲んだのか、忘れてしまったみたい。
お鍋にカキやお肉が入っていたもの、それはおとといだった。カレーライスはその前だった。久しぶりに、といっても2日ぶり? 2日連続? お酒を飲んだから、昨日の晩ごはんは忘れたのか? まあ、基本は少し前のことは自然に頭から抜け落ちていくみたいです。まるで髪の毛のようです。いや、前髪・頭頂部の毛のようです(うんざりする自虐!)。
今、こうして打ち込んでても、何も戻って来るものがありません。何を食べていたんだろう? お肉でもなかった。サカナでもなかった。野菜は食べたはず。いったい何を食べたんだろう。
少し気になるから、奥さんに訊ねてみました。豚汁・ホタテのお刺身・おつまみ少々、それとお酒だったようです。ホタテは奥さんの顔を見たら思い出しました。「とんじる」は思い出せなかった。何を食べたのか忘れるままに生きているなんて、恐ろしいことです。
かけらもなかったみたい。野菜だって何か小皿に野菜然としてあるものを食べたイメージだったけれど、豚汁の中のニンジン、レンコン、ダイコンなどを食べたのだという記憶はありませんでした。
何もかも忘れて生きている私。これでいいわけはないし、このまま忘れることばかりではいけないから、あれやこれやと思い出しながら生きていこうと思うのですが、あまりに深くて広い忘却の淵。これが怖くて、そこから何かを取り出そうとのぞき込んだら、自分までそこに呑みこまれそうで、おそろしくなります。
こんな私ではいけないのに、私は日々に崩れていきます。紙粘土でもごはんつぶでもいいから、修復しつつ、繕いつつ、ごまかしつつ、生きていくしかないのでしょうか。ついでに声を出すこともしていきたいです。いつも何もしゃべらない。言葉も発さない。意味のあることを表に出さない。そんな外から見たら何だかわからないジジイになっている。
このくそジジイ! もっとしゃべろ! 意味のあることを言え! おまえは意味不明なんだよ!
どんなに叱咤激励しても、私はアホのままです。自虐に陥っても仕方ないから、またボチボチやっていきます。失礼しました。かけらも残らない頭、怖いんです。そういうのとみんなが向き合うんでしょうか。それが生きていくことなのか……。