甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

Ombra mai fù

2019年03月13日 17時38分33秒 | わがまま音楽

 キャスリーン・バトルさんに出会ったのは、30年以上前のことなんだそうです。

 1986年のニッカ・ウイスキーのCMで、突然、この歌手に出会いました。

 この映像を撮ったのは、凝った映像でおなじみ、そして、私たちの世代にはウルトラマンでおなじみの、実相寺昭雄さんだったそうです。

 バトルさんは現在70歳だそうで、コマーシャルの時には、40手前だったんですね。その後、どんなふうに活動しておられるのか、知るチャンスがなくて、とりあえず私は、80年代末、バトルさんのレーザーディスクを買い、LDプレヤーはしばらくしたら使えなくなり、DVDに変わりましたが、もうバトルさんのことは忘れておりました。

 それでも、この30年の間に、バトルさんのCDを古本市などで見つけて2枚ほど買いました。

 買ったものの、当時の情熱は湧いてこなくて、そのまま聞かなくなっていました。



 今朝、朝の通勤、ヘンデルのオペラ「クセルクセス」の冒頭の「何という木陰」とかいう曲がかかるということで、必死にカーブを切ろうとして耳だけ澄ませていました。

 「あれ、どこかで聞いたメロディ」

 なかなかボーカルが出ないけど、たぶん、オンブラマイフだ。キャスリーンさんの曲よりも、かなりオーケストラがぶ厚くて、ゴージャスな感じでした。

 そして、やっと歌が聞こえてきました。まさしく、バトルさんが歌ってたあの曲でした。久しぶりに出会いなおしをした感じです。なかなかいい。でも、どれくらい聞かせてもらったんだろう。十数分だったのか、数分だったのか。

 ウィキペディアによると、

 「オンブラ・マイ・フ」(Ombra mai fù)は、ヘンデルの作曲したオペラ『セルセ』(Serse, Xerxes)第1幕冒頭のアリア。ペルシャ王セルセ(クセルクセス1世)によって歌われる。調性はヘ長調。詩はプラタナスの木陰への愛を歌ったもの。

 そうなんですね。そこから冒頭のアリアをバトルさんは歌ったみたい。

 オペラは上演されなくなり、「オンブラマイフ」だけが、ヘンデルのラルゴの名を与えられて愛唱されるようになった、ということでした。単独で歌われるアリアで、意味は以下の通り。


  Ombra mai fù
 di vegetabile,
 cara ed amabile,
 soave più


  かつて、これほどまでに
  愛しく、優しく、
  心地の良い木々の陰はなかった


 こんな何でもないことを、王様は歌ったそうです。他愛ないといえばそうです。

 でも、王様がこんなことに気づいてくれるなんて、人民としてはありがたいですよね。

 王様が、戦いの馬とか、美しい剣とか、広大な支配する土地とか、そういう権力欲を満足させるものばかり見ていたら、人々としてはやりきれません。

 また、戦いを始めるの?  それとも、国と国との連合から離脱じゃ! とか、落ち着きないのはイヤですね。

 「ああ、いい木陰。のんびりしていたいなあ。なあ、みんな。」

 そんなことを言っている王様なら、ハダカンボで歩いてても、頭刈り上げのおデブ坊やでも、ホッとするんだけど、現代ではそんなの無理なんだろうな。

 そんなこと言っているオペラだから、ヘンデルのオペラそのものは忘れ去られたのかもしれない。

 でも、この一曲と「水上の音楽」と、他にもいろいろ残っていますから、そりゃ、たいしたもんだ。


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