写真では見たことがありましたが、まさか自分がそこを歩くとは思わなかった。
この暑い日に、1時間ほど歩いてヘロヘロになりました。ここにたどりつくまでに近辺の大木というのをいくつか見てきて、ある程度歩いていたのです。それほど汗はかきませんでした。歩いたといっても、たいして歩いたわけではなかったのかもしれません。
峠の看板はあまり由来を説明してくれていないです。
「珍布」と書いて「めずらし」と読むとは、それさえわからないですね。
とにかく、大和の春日の神様と伊勢の国の天照大御神さまが出会って、「あら、めずらしいわね」とお互いに声を掛け合ったそうです。……だから、めずらし峠というらしい。それを「珍布」と表記するのはわからない。
そのころは大和と伊勢の境目がはっきりしなかったそうです。アマテラスさまがポンと大きな石を川に投げて、水しぶきが届いたところまでを境目にしようと2人の神様が取り決めをしました。
そして、ポンと投げたら、上流およそ30キロくらいの高見山までしぶきが飛んだので、高見山が両国の境目になったというのです。その投げ込まれた石が今でもありますし、この櫛田川沿いに水に関連する地名があるのはみんなこの伝説に由来するということでした。いつごろできたお話なんでしょうね。
切り通しの道があります。もっと平坦なところに道をつくればいいのに、当時としてはこの山を突っ切る方がまだ安全だったのでしょうね。それが少し不思議です。とにかく無理して切り開いたような切り通しが突然現れ、自分は今どこにいるのだろうとわからなくなる感じです。
岩肌はこんな感じで削られています。足の長い不気味な植物のようなクモもいました。水滴も岩をつたって落ちてきます。
見上げると、こんな感じで、歩く人はだれもおらず、あとで考えればこわかったんですが、写真を撮っているときはアドレナリンが出ていたのか、こわくなくて、ただひたすら感心していました。
たいしたもんだ。よくぞ、こんな切り通しをつくったもんだと、紀州の殿様に感謝したいくらいです。しかもだれも通らない、不思議な雰囲気が今も続いている。もっと季節的にいいころなら、ハイキングをする人がいるだろうけれど、真夏の真昼にはだれも歩いていませんでした。
ああ、奥さんを連れてこなくてよかった。彼女は、こんなところなら怖くていけなかったでしょう。
私も最後の方で、突然「クマに襲われるんじゃないか」という変な気持ちになって、あわてて道を急いだら、ふつうの集落に出て、ホッとしたんでした。そこからはまたものすごい日差しで、体がヘロヘロになったんでした。
1 めずらしや 夏の日差しの切り通し
2 岩壁とクモと滴の峠かな
3 ただひとり街道歩きの汗まみれ
★ 1人でここには行かない方がいいかもしれません。本来なら夕方とか、涼しい時間に行くともっとキレイなんだろうけど、そういう時間は自然に帰ってしまいそうで、人間たちの世界ではないような気がします。
もちろん、夜は足をふみ入れてはダメですね。
この暑い日に、1時間ほど歩いてヘロヘロになりました。ここにたどりつくまでに近辺の大木というのをいくつか見てきて、ある程度歩いていたのです。それほど汗はかきませんでした。歩いたといっても、たいして歩いたわけではなかったのかもしれません。
峠の看板はあまり由来を説明してくれていないです。
「珍布」と書いて「めずらし」と読むとは、それさえわからないですね。
とにかく、大和の春日の神様と伊勢の国の天照大御神さまが出会って、「あら、めずらしいわね」とお互いに声を掛け合ったそうです。……だから、めずらし峠というらしい。それを「珍布」と表記するのはわからない。
そのころは大和と伊勢の境目がはっきりしなかったそうです。アマテラスさまがポンと大きな石を川に投げて、水しぶきが届いたところまでを境目にしようと2人の神様が取り決めをしました。
そして、ポンと投げたら、上流およそ30キロくらいの高見山までしぶきが飛んだので、高見山が両国の境目になったというのです。その投げ込まれた石が今でもありますし、この櫛田川沿いに水に関連する地名があるのはみんなこの伝説に由来するということでした。いつごろできたお話なんでしょうね。
切り通しの道があります。もっと平坦なところに道をつくればいいのに、当時としてはこの山を突っ切る方がまだ安全だったのでしょうね。それが少し不思議です。とにかく無理して切り開いたような切り通しが突然現れ、自分は今どこにいるのだろうとわからなくなる感じです。
岩肌はこんな感じで削られています。足の長い不気味な植物のようなクモもいました。水滴も岩をつたって落ちてきます。
見上げると、こんな感じで、歩く人はだれもおらず、あとで考えればこわかったんですが、写真を撮っているときはアドレナリンが出ていたのか、こわくなくて、ただひたすら感心していました。
たいしたもんだ。よくぞ、こんな切り通しをつくったもんだと、紀州の殿様に感謝したいくらいです。しかもだれも通らない、不思議な雰囲気が今も続いている。もっと季節的にいいころなら、ハイキングをする人がいるだろうけれど、真夏の真昼にはだれも歩いていませんでした。
ああ、奥さんを連れてこなくてよかった。彼女は、こんなところなら怖くていけなかったでしょう。
私も最後の方で、突然「クマに襲われるんじゃないか」という変な気持ちになって、あわてて道を急いだら、ふつうの集落に出て、ホッとしたんでした。そこからはまたものすごい日差しで、体がヘロヘロになったんでした。
1 めずらしや 夏の日差しの切り通し
2 岩壁とクモと滴の峠かな
3 ただひとり街道歩きの汗まみれ
★ 1人でここには行かない方がいいかもしれません。本来なら夕方とか、涼しい時間に行くともっとキレイなんだろうけど、そういう時間は自然に帰ってしまいそうで、人間たちの世界ではないような気がします。
もちろん、夜は足をふみ入れてはダメですね。