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父と二人で、大阪駅からバスに乗るところでした。夜になっていました。バスに乗り込みました。でも、まだ発車しません。大阪駅はバスの始発のターミナルなので、時間まではしばらく待たなくてはいけない。
でも、もうバスに乗り込んだから、とりあえず私たちは家に帰れるはずです。バスに乗る時間は30~40分くらいだったか。御堂筋とかの市内の主要道路が一方通行になっていたのかどうか、記憶ははっきりしません。まあ、どっちにしろうちの家から大阪駅に行く時には、御堂筋も四ツ橋筋も通してもらっていませんでした。そんな華々しい道を通るバスは、なんばと梅田を結ぶ路線とか、大阪港とを結ぶ路線とか、そういう立派なそれらしいルートのところだけのようでした。
御堂筋って、あこがれではあるけれど、特にそこを通るからどうということはなかった。
父と二人で梅田に何の用事があったんだろう。弟もいたのか? いたかもしれないし、いなかったかもしれない。
父となんばに出かけるときは、かなりの割合で高島屋の屋上に行ってみたり、千日前デパートの地下に行ったりして、小鳥のコーナーを見ることが多かったのです。でも、梅田には、阪神も阪急も、小鳥コーナーなんてあったろうか。
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記憶にないのです。梅田に出る時(かなりの割合で大阪駅からどこかへ出かける?)は、めったになかったけれど、阪神に乗って甲子園に行く。または新聞屋さんからもらった宝塚ファミリーランドに行く。そんな時くらいしかなかった。
梅田は、何となく怖い町だった。でも、少しずつ憧れの町にもなりつつあって、少しだけおしゃれな気分も感じていたのだと思う。
そして、まだ大阪のヒルトンホテルのできる前だから、70年代、闇市から発展したお店のごちゃごちゃした空間の表に、旭屋書店というのがあって、ここで私は父に何か買ってもらいました。
マンガ本でもなかったし、好きな物語というのもなかったし、何だったのか、それが思い出せないですけど、旭屋さんの袋に入れた本を抱えて、バスの発車を待っていたことがありました。
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父がどんな顔をしていたのか、どんな本を手に入れたのか、何も思い出せないのに、駅前のバス停からいよいよバスが動き出す瞬間のワクワクした感じがあったなんていうのを思い出しました。
どうしてそんなことを思い出したのか? たぶん、自分の本屋さんの体験は、近所の商店街の入り口のお店、ここは文庫コーナーが充実していて、それはもう読みたい本がいっぱいありました。でも、なかなか買えなくて、月に一冊買えたらいい方だったかな。
そして、遠くの本屋さんはというと、旭屋書店の駅前店しかありませんでした。旭屋さんは、ビルの方が本店になっていくのですが、そこも閉鎖されて、もう梅田にはあるんだろうか。ないんだろうか。本屋さんも、とても大きなお店もどんどんなくなっていきます。
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小さな本屋さんでもなくなるんだから、本屋の文化みたいなのは、もう絶滅危惧ですね。かろうじて残っているところもあるだろうけど、個人商店はなかなか生きていけないな。
こんなに小さなお店たちを保護しないで、どうなるんだろう。いや、お上の援助なんか受けたくないし、お上がタダで援助することなんて絶対ないから、もちろん見殺しだし、自助努力が足りないというところなんだろうな。
世知辛い世の中は続いていく。だからこそ、今目の前にいるお客さんたちを大事にしていくしかないよな。そして、遠くから来てくれる人も気長に待たなきゃいけないし、大変だな。
父に買ってもらった本、地図だったかな? それとも司馬遼太郎全集? 何だったかな?