いつか古本屋さんをするのなら、この町でやりたいという希望を持っていますが、実現しそうにありません。
南向きの斜面を借りて、ブドウ畑にして、小規模ワイナリーを開く。そんな夢もありました。でも、そんなことをじっくりやっている時間はないだろうから、とりあえず古本屋さんの夢を優先させましょう。
いつか、できればなるべく早く実現させなくては!
私がひそかに憧れているこの町には、お大師さんのお寺があります。併設の神社もあるし、神仏混交の宗教施設があります。
県内のそういうところは、お寺が破壊されるか、神社が取り壊されるか(こちらはそんなにないと思います)していて、二つが仲良く併存している所って、なかなか貴重です。
熊野那智大社と西国三十三か所めぐりのスタートの青岸渡寺(せいがんとじ)と同じくらいに仲良く、ここではお寺と神社が並んでいます。
お大師さんが、水銀を見つけたとか、奈良の大仏を作る時にたくさん水銀を取ったとか、わりと豊かな土地でした。水銀(丹)が取れる(生まれる)土地として古くから注目されてきたところで、中世の説話集にも出てくる土地です。
だから、水田用の水路を掘ったり、トンネルで水を流したり、地域を有効的に開発した跡があちらこちらに残っている土地です。
和歌山に抜ける街道の宿場町でもありました。
そういう由緒ある所に注目していたんですね。
さあ、あとは私が行動するだけかもしれない。たくさん本を抱え、それらを展示し、あちらこちらから来てもらえる本屋さんを作る。
夢なんだけど、なかなかムズカシイ。
過去の旅人たちが見上げた仁王門がありました。街道のつきあたりに門があり、そこからお大師様の境内に入るんです。
その仁王門が、何年か前の台風で、去年だったかもしれませんが、とにかく大きく壊れてしまいました。解体処理され、再び組み上げて、秋のお大師さんの祭りの前日、とうとう落慶することになり、いろんなイベントが開かれているようでした。
餅まきとか、カラオケ披露とか、そういうことには興味はありませんけど、門が蘇ったということなので、見に行きました。
秋空の中に、ところどころ部材を変えたのか、かなりリフレッシュした門が立ち上がりました。
前の何百年の風雪に耐えた感じの門も好きだった私は、少し取り残された感がありましたが、みんな老若男女が喜んでいるみたいだし、ブツクサ言わないで、みんなが喜んでいるから、私もその喜びに乗っかることにしました。
でも、そうなると、お参りだけしたら、できたら混んでいないところに行きたくて、町の空き家物件探しに出かけましたが、奥さんがいないので、イマイチ気乗りがしなくて、ついつい帰ってしまいました。
この日は、いいお天気でした。台風が来るという話はありましたが、あまり考えないで、今そこにある幸せをぼんやり引き受けていた気がします。
あまりにボンヤリしすぎて、そのまま帰ってしまいました。
いい物件に出会うというのは、出会いというのか、人のつながりがほしいです。どうすりゃいいのかな。