昨日の朝、FMで聞きました。
知り合いの高貴なお方に、なかなか眠れないから、眠れる曲を作ってほしいという依頼を受けたそうです。
どんな曲を作ったらいいんでしょう。子守歌みたいなの? それとも、とても静かな曲? それとも、いろんなメロディーが入っているワクワクするような静かな曲?
難しいですね。そんな注文に、どのように答えたらいいんだろう。
十代のお弟子さんにゴールドベルクさんという人がいて、その人にやらせようとバッハさんは考えたのか、それともその人が実際に演奏したのか。
期待しながら、曲が始まるのを待ちました。もちろん、運転途中で、眠くなって意識がなくなったら、川や田んぼに落ちてしまう可能性もあるので、用心しながら聞きました。
最初の数音は静かに始まりました。この数音で眠れたらいいけど、そんなに甘いものではないし、18世紀にはCDやレコードがないのだから、誰かに演奏してもらわなくちゃいけない。高貴なお方のところで演奏のお仕事をしているゴールドベルク君に、演奏してもらって、眠れるだろうか。技術がある程度ないと、聞いてる方でカチンと来てしまうし、やはり、心配だなあ。
始まってみると、ただ静かなだけではないし、時には速いテンポのところもあるし、ピアノだから、右と左は違うところ、違う音を描くし、それが重なり、ずれたりいろいろして、なかなか眠れそうにありませんでした。
これが、バッハさんの考えた眠れる曲なのか……。
とにかく途切れないし、気を持たせるようなせこいことはしなくて、安心して音について行けばいいというのは実感できました。
何度か聞いたら、聞きどころや、好きなフレーズが見つかるのかもしれません。初めての私は、「バッハさんは偉いなあ。何が気に入ったというわけじゃないけど、なんかスゴイ」と感心しました。
こんなの動画で見ても、ダメなんだろうな。やはりピアノは見るものではなくて、聞かせてもらわなくちゃ。
それにしても、昔はキライだったピアノに、いつの間に惚れてしまったんだろう。10代、20代のころは、ピアノ曲というと、全く聞く気が起きませんでした。腹が立ったものでした。頼りなかった。
なのに今は、オーケストラの音がうっとうしいというのか、わざとらしく感じてしまう……。そういうのも極端すぎるからよくないけど、今はそうらしいです。まあ、勝手にピアノ聞いてろ! というところですか。
そうだった。昨日のは、グレン・グールドさんの1981年の録音だったそうです。そうか、1981年だったんですね。