報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

本日2本立て

2013-09-25 19:56:14 | 日記
 “顕正会版人間革命シリーズ”より、“妖狐 威吹”のボツネタ。

[11:00.日蓮正宗大石寺・登山事務所 稲生ユウタ]

「それでは、2000円の御開扉御供養をお願いします」
「はい」
 体調の悪化した威吹は、取りあえずバスターミナルのベンチに座らせておいた。僕は所属寺院から発行してもらった添書を手に、先に登山事務所で御開扉参加の手続きを行った。
「それではお気をつけて」
「ありがとうございました」
 僕は御僧侶から“ワッペン”を受け取ると、それを首からぶら下げた。
「稲生君、いいの?威吹君はどうするの?」
 先に手続きを済ませていた班長の藤谷さんが聞いてきた。威吹を連れてきたはいいものの、大石寺の清浄な空気に『不浄な』狐妖怪の威吹は、すっかり体調を崩してしまっていた。
「境内から出すしか無いですねぇ……」
 境内っても、今の敷地内のことでいいのか迷う。大石寺の境内の広さは、時代によって違うからなぁ……。
 僕は登山事務所から、バスターミナルに出た。
「えーと、威吹は……」
 さっきまでベンチに横になっていたのだが、いない。いるのは黒髪を腰まで伸ばした着物姿の……ん!?
「やあ、ユタ」
 威吹はばつの悪そうな顔をして手を振った。
「どうしたんだい?その姿……」
 日に当たるとキラキラ反射する銀髪は黒くなり、第1形態と称するエルフ耳(長く尖った耳。第2形態が、いわゆる狐耳)も、人間と同じく丸く短くなっていた。
「取りあえず妖力を落として人間並みにしたら、少し体調良くなった」
「妖力の調整で何とかなるものなのかい?」
「ちょっと危険だから、逆に境内にお邪魔させてもらうよ」
「ああ、桜でも見てきな。もうだいぶ散っちゃったけど」
「ユタ達はどうするの?」
「大講堂という所に行って、布教講演を聴いてくるんだ。地方末寺の御住職が、信徒に向かって講話をしてくれるんだよ」
「なるほど。説法か」
「説法、ねぇ……」
 多分、他の宗派や一般の人からすれば、そうなるのだろうな。

[11:20.日蓮正宗大石寺・大講堂 稲生ユウタ]

「皆様、こんにちは。本日は全国各地からの御登山、真にご苦労様です。……」
 その後、僕と藤谷班長は予定通り、大講堂に移って布教講演を拝聴していた。うん。顕正会浅井会長の話より、ずっとありがたい。やっぱり信徒が指導を拝するのは、御僧侶じゃなくっちゃな。30代前半の藤谷班長は、逐一、御住職のお話に対してメモを取っている。これくらいしないとダメなんだな、きっと。

[同時刻 日蓮正宗大石寺・三門前 威吹邪甲]

 うん、知ってる、この風景。ボクが封印されてから数百年経っても、富士の山の位置は変わらない。ボクはユタに嘘を言ってしまった。実はボクは1度だけ、東海道を歩いたことがある。
 江戸幕府開府直後はまだ政情が安定していなくて、ボクみたいな妖怪がゴロついていたものだ。だけど、妖怪退治屋みたいなものは存在していて、追われたボクは東海道を外れた。それが、確か駿河の国だったと思う。とにかく富士の山の方に向かった記憶があって、どこかの寺の境内に飛び込んだような気がする。それがどんな寺だったかまでは覚えていないが、どうも富士の山の位置からして、ここだったりして。
 ここに来る途中、バスで本門寺という寺の前を通ったが、そこかもしれない。東海道を全区間歩いたわけではないという意味では、嘘はついていないんだけど……。
「ん?」
 その時、自動車が急停車する音が背後から聞こえた。広く造られた国道。ボクが400年前にここを通った時、こんな固く舗装されて広くも無かった。何か、三門ってここだったっけ?なんて思うけど……。
 白い荷台の荷車から飛び降りて来たのは、5人だった。何だか随分と派手な服を着て、面を被っている。これもこの寺の修験者の装束なのだろうか。1人は赤を基調としているし、他にも緑、青、黄色、桃色がいた。真言の寺なら紫色の袈裟懸けだから、あれも派手だと思うけどね。それと比べて法華の寺の坊主は地味だなと思う。
「天魔の戦士!ケンショー・レッド!」
「亡国の戦士!ケンショー・イエロー!」
「無間の戦士!ケンショー・ブルー!」
「国賊の戦士!ケンショー・グリーン!」
「外道の戦士!ケンショー・ピンク!」
「はあ!?」
 い、いきなり何を始めるんだ、こいつら!?
「5人合わせて……ケンショー・レンジャーーーーーっ!!(×5)」
 開いた口が塞がらない。こ、これも、法華の修験の1つなのか???
「見て御覧なさい。いかに謗法と化した寺とはいえ、大聖人様ましますこの地に、不浄な妖怪の気配がします!」
 黄色の装束を着た修験者のような者が言った。それに緑の装束の者が続ける。
「私の分析によりますと、そこにいる着物に袴をはいた男が怪しいですね」
「ああっ!?妖怪の分際で人間に化けるたぁ、卑怯だぜっ!」
「大聖人様をも恐れぬ不届き者ね!」
 しまった!こいつら修験者じゃなくて、ボクを狙ってやってきた妖怪退治屋だったか!ボクは急いで、三門の奥へ飛び込んだ!
「見て御覧なさい。妖怪が正に本門戒壇の大御本尊様を害さんと侵入しました。これ正に、亡国の予兆なのですね。金に執着の放蕩坊主では、あの妖怪を倒すことはできない。偏にこの大役、我々ケンショー・レンジャーが仰せ使うものであると確信しまするが、皆さんどうでしょう?」
 背後から手を叩く音が聞こえる。奴ら、何か術を使おうとしている!?今のボクは人間同然だ。本当なら、境内から出て妖力を回復させるべきだと思うんだけど、何故かここはユタ達に助けを求めた方がいいと思ったんだ。……って、大講堂ってやら、どこだぁっ!?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 この時の大石寺は、まだ登山事務所とバスターミナルが一緒だった頃のものです。ま、御開扉の手続き風景くらいなら公開しても大丈夫だよね?さすがに御開扉の様子は“御内拝”と言って、御僧侶と手続きを済ませた信徒しか奉安堂内部に入れないこともあって、【お察しください】。
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本日の雑感

2013-09-25 15:46:55 | 日記
JR北の責任者、レール補修把握できず 伝達体制なし(朝日新聞) - goo ニュース

 JR北海道が大変なことになっている。最悪、業務停止命令で、道内のJR全列車運休も覚悟しなければならない。

 JR北海道、経営破たん→第3セクター、北海道アイヌ鉄道(仮称)開業→それもダメでした。→道内の鉄道、JR貨物専用線・札幌市交通局・函館市交通局以外全て廃止。

 というようなバッドエンド・コースが待っているような気がしてならない。
 私の小説の冥界鉄道公社や魔界高速電鉄みたいに、霊力や魔力で運行できれば楽なのにね。本当、人間界は面倒臭いことばかりだ。
 もう1つのパターンが、JR貨物に道内のJR線全部所有してもらって、JR北海道はその線路を間借りして走行するというものだ。つまり、JR北海道とJR貨物の立場を逆転させるわけだな。それなら、JR北海道は保守点検しないで済む。路線によっては旅客列車より貨物列車の方が本数も多いだろうから、その方がいいような気がする。

 閑話休題。
 今日も手元に顕正新聞1288号が届いている。全く。節操の無い団体だ。当然というか、本部会館などに入った強制捜査については、華麗にスルーされていた。“慧妙”じゃ次号辺りで、その辺をセンセーショナル大々的に取り上げるだろうから、これを取り寄せて顕正会員の所に送りつけてやろうかな。何だかねぇ……。あの新聞、『浅井一族、芋づる式に逮捕か?』なんて書きそうだよ。
 それで、だ。気になる体験発表が1つ。元法華講員の女性会員の登壇だ。登壇時、男子部員の紹介だったそうで、女性でありながら男子部所属だったそうだ。それまでの元講員の登壇は突っ込み所満載で、教学の無い私ですら突っ込みができたものだ。それからしばらくして元講員の登壇は無かったのだが、今度は自信あるのか、また顕正新聞に掲載されている。詳しい考察は山門入り口氏や巌虎氏辺りにお任せするとして、多分内容的には本当なんだろうな。あまり脚色し過ぎると、物凄く突っ込まれるからね。お寺の名前やら元講頭さんが入信していることまで書かれている。元講頭さんが入信したというのは、凄いことだ。そこのお寺では、私みたいな者でも講頭が務まるということかな?しかし、顕正会に行ってしまうような者が講頭を務めていたとは……。もっとも、顕正会入信の時点で講頭だったらもっと凄いけどね。それは新聞記事を見る限り、そういうことではなさそうだ。
 
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本線場内、注意!制限、35!

2013-09-25 02:30:59 | 日記
 “ボカロマスター”より。 完結?

[??? ??? シンディ]

 私は薄暗い部屋にいる。目の前には大きな執務机があり、背もたれの高い椅子にふんぞり返っているであろう老人がいた。
「ただいま戻りました、ドクター」
 私が声を掛けると、キィという音を立てて、椅子が180度回転した。
「うむ。大儀じゃったの、シンディ。して、成果の程は?」
 予想通り、ふんぞり返っていた。成果報告といっても、私の行動履歴を逐一チェックしているはずなので、もう分かってるはずなんだけどなぁ……。南里も姉……エミリーに対して、同じ事をしてるらしい。要は、話し相手が欲しいのでしょう。私は頷いて答えた。
「はい。東京都杉並区の件ですが、遠隔にてバージョン・シリーズの行動プログラムを書き換えました。現場建物は半壊、重軽傷者は……」
 孤独な狂人は、私の報告を満足そうに頷いて聞いた。
「……ドクター平賀については現在まだ逮捕には至っておりませんが、地元の警察署にて事情聴取中です。以上です」
「うむ、ご苦労。これで南里の腰巾着の1人も、人生終了じゃろう。例え証拠不十分であったとしても、『実験に失敗し、多数の怪我人を出した』という履歴は残るのじゃからな」
 ドクター・ウィリーは笑いを堪えながら喋った。
「それに、現場が自身の信仰する宗教施設とあっては、そこからの処分も免れまい。クク……南里なんぞに師事しおるから、こんなことになるのじゃ。いい気味じゃ」
「因みに創価学会では、機関紙で早くも叩いているもようです」
「ん。宗教同士の争いほど、醜いものは無いの。おおかた、利権の衝突じゃろうて」

 バージョン・シリーズが財団の手に落ちたのは、ドクターの織り込み済みだ。平賀は奴らのメカニズムを完全に解明しないまま、実験をしてしまった。それが運のツキだ。バカな男だ。偶然にも連中を捕える時、エミリー姉さんが発した言葉で、命令が解除されてしまったことを疑問に思わなかったのか。『バカと天才は紙一重』とはよく言ったものだ。
 財団所属のロボットで、エミリー姉さんだけが“特権階級”にいるということもいいヒントだったろうに。私達、マルチタイプはバージョン・シリーズを使役することができる。場合によっては、ドクターなどが与えた命令を取り消して、別の命令を与えることもできるのだ。それに気付けなかった平賀の惨敗だ。

 ドクター・ウィリーは、ついに笑いを堪え切れずに大きく笑った。
「よーし。この調子でどんどん潰しにかかるぞ。今度は奴ら自慢のボーカロイドを破壊してやろう。初音ミク。こやつを引っ捕えてこい」
「あの緑色の髪のコね。期限と命令遂行に対して条件は?」
「お前に全て任せる。お前には全幅の信頼を置いておるでな」
「……了解」
 あの人気者を潰すってか。大胆な発想に至ったものだ。成功したらしたで、今回の事件とは比べ物にならないくらいの大騒ぎになるだろう。今度という今度はエミリー姉さんが前面に出て来て、私とガチンコ勝負になるかもしれない。
 それでもいい。私の用途は何でもすること。目の前の孤独な狂科学者に、常に従う。これが私に与えられた絶対的で且つ永久不変の命令。

 その命令を完遂するならば、私は悪にだってなってやる。

 例え、自分が破壊される身となっても。

 全ては、この御方の為に……。
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