[9月12日 東北自動車道上り線 蔵王パーキングエリア 敷島孝夫、初音ミク、シンディ]
「覚悟なさい」
「くそっ!せっかく復活させてやったのに、また元の木阿弥か!」
シンディは両足に備え付けられたブースターを使って、敷島達に飛び掛かる。
右手は銃火器から元の手に戻したが、拳が握られたままだ。
「たかおさん!」
ミクの悲痛な叫び声が聞こえる。
しかし、シンディは敷島達の頭上を飛び越え、
「!?」
いつの間にか背後に忍び寄っていたバージョン4.0を殴り壊した。
その時、何も無い空間からそれが3体現れたのを敷島は見ている。
行動も意外なら、更にシンディはもっと意外なことを言い放った。
「何ボサッとしてるの!さっさと逃げなさい!」
「な、なに……!?」
「たかおさん!」
ミクは敷島の腕を引っ張って、車の中に戻した。
「一体、どうなってんだよ!」
敷島が車を急発進させる。
だが、本線出口の所にもバージョン4.0が数体固まっていた。
「しょうがない!取って置きだ!」
敷島はダッシュボードの中からある物を出した。
それは一瞬、ジュースのボトル缶のように見えた。
敷島は何かスイッチのような物を押して、奴らと少し離れた場所に投げる。
ちょうど、『本線→』と書かれた看板の辺りだ。
ピコーンピコーンというアラームの音と七色の光が発せられる。
4.0達は誘われるようにして、それに向かっていった。
その間に敷島は本線出口へ向かう。
ドカーン!
「え?」
ミクが目を丸くして後ろを振り向いた。
もちろん、ドカーンというのは爆発音。
敷島の投げた物が爆発し、そこに固まっていた4.0達が吹き飛んだのである。
投げた本人の敷島が呆れた顔をしている。
「何が暴走ロボット鎮圧弾だ、アリスのヤツ……!まんま爆弾テロじゃねーかよ!」
「何ですか、それ?」
「何か知らんが、Rデコイというヤツで、特殊な信号と光を発することにより、バージョン・シリーズはそれに誘われてその爆弾に自ら向かってしまう。その時、爆発する時差式爆弾だっていうんだな」
「はあ……。私は何だろうと思いました」
「ボカロには効かないってさ。まあ、リン辺りなら興味を持って拾いに行きそうだけど……」
「それは、あんまりです」
その時、車の無線機に通信が入る。
{「こちらシンディ」}
「お前、暴走したんじゃないのか?」
{「根も葉も無いこと言わないで!暴走したのは、財団統括のシステムの方よ!」}
「どういうことだ!?」
{「姉さんが仙台の方は鎮圧したってさ。まあ、建物の全壊はカンベンしてね」}
「全壊させるほどなのかよ!?じゃあ今、仙台の方は安全なんだな?」
{「そうよ。私はこれから本部の救助に行ってくるから」}
「マジか!?」
{「あなたの大事な歌うお人形さんが立て籠もって戦ってるんでしょう?」}
「歌うお人形さん……!」
敷島は変な顔になった。
敷島は次のインターチェンジである白石インターで、高速を降りた。
国道4号線白石バイパスに接続しており、そこから下り線に入る。
少し走った所で、ガソリンスタンドで給油することにする。
「いらっしゃいませ!レギュラーですか?」
「ああ。ボカロの充電もよろしく」
「はい?」
「たかおさん、わたし、まだ残量80パーセントありますから」
「そうか?あっちの方が早いんじゃないか?」
敷島はスタンドの片隅にあるEVの充電設備を見て言った。
冗談ではなく、それでも充電できる。
「ちょっとトイレだ」
「行ってらっしゃい」
店舗のトイレを借りた後で、敷島は本部に連絡する。
さすがに、あのシンディが救援に駆けつけるなんて到底信じられないだろうなと思っていたが、
{「最低です!プロデューサー!こんな非常時にそんな非常識なこと言うなんて!」}
信じてもらえないどころか、生真面目なルカに抗議されてしまった。
(エミリーとよく似たヤツが救助に行く、と濁した言い方の方が良かったかな???)
「とにかく、あと少しだ。頑張ってくれ」
{「もう無理です!奴ら、壁も登って来るんですよ!」}
屋上にまで追い詰められたそうだ。
屋上に出るドアは、とにかく即席のバリケードを設置しているそうだが……。
「その機能は5.0からだとアリスが言ってたぞ?まさか、5.0もそっちにいるのか?」
{「4.0の改造版です!」}
「ちょっと待て!そんなの本部のどこに配置されてる!?俺は聞いてないぞ!」
{「でも本当なんです!本当に……あっ!?」ブツッ!}
「お、おい!ルカ!ルカ!?どうした!?」
ルカとの通信が途絶えてしまった。
「たかおさん、支部長から無線です!」
車の中からミクが顔を覗かせた。
「お、おう!」
敷島は急いで車に戻った。
{「敷島君、無事か?」}
「森須支部長!私は無事です。ミクもです」
{「ああ、良かった」}
「そちらこそ、大丈夫ですか?」
{「ああ。どうやらシンディは、こちらの想定通りの思考で起動並びに稼働してくれたようだ。エミリーやマリオ達によって、ようやく仙台支部とアリス研究所は鎮圧された」}
シンディの言っていたことは本当だった。
「本部も大変なことになっているようです」
{「ああ、分かってる。シンディがそちらに向かったようだ」}
「行けるんですか!?」
{「超小型ジェットエンジンは、エミリーのよりも高性能タイプを搭載している。東京までの片道なら持つだろう」}
その時、敷島は不謹慎にも、
(その後の回収役は俺にされそうだな……)
と、思ったという。
「分かりました。私はどうしたらよろしいでしょう?」
{「取りあえず、仙台に戻ってきてくれ。今、どこだ?」}
「白石です。高速道路上でバージョン達に襲われたので、止む無くここまで避難しました」
{「いくらシンディが対応に当たったとはいえ、今、高速は混乱しているだろう。慌てなくていいから、安全第一で戻ってきてくれ」}
「分かりました」
森須の言う通りだった。
東北自動車道が通行止めになったため、並行して走る国道4号線にその車が流入したことにより、国道では渋滞が発生した。
なので、敷島が研究所に帰り着く頃には日が傾いていたという。
尚、シンディの活躍により、本部もまた鎮圧された。
ボカロ達に大きな損傷は無かったが、最後まで戦っていたルカが1番損傷が大きかったという。
で、想定通り、やはり敷島にルカとシンディの回収が命ぜられたことは言うまでもない。
「覚悟なさい」
「くそっ!せっかく復活させてやったのに、また元の木阿弥か!」
シンディは両足に備え付けられたブースターを使って、敷島達に飛び掛かる。
右手は銃火器から元の手に戻したが、拳が握られたままだ。
「たかおさん!」
ミクの悲痛な叫び声が聞こえる。
しかし、シンディは敷島達の頭上を飛び越え、
「!?」
いつの間にか背後に忍び寄っていたバージョン4.0を殴り壊した。
その時、何も無い空間からそれが3体現れたのを敷島は見ている。
行動も意外なら、更にシンディはもっと意外なことを言い放った。
「何ボサッとしてるの!さっさと逃げなさい!」
「な、なに……!?」
「たかおさん!」
ミクは敷島の腕を引っ張って、車の中に戻した。
「一体、どうなってんだよ!」
敷島が車を急発進させる。
だが、本線出口の所にもバージョン4.0が数体固まっていた。
「しょうがない!取って置きだ!」
敷島はダッシュボードの中からある物を出した。
それは一瞬、ジュースのボトル缶のように見えた。
敷島は何かスイッチのような物を押して、奴らと少し離れた場所に投げる。
ちょうど、『本線→』と書かれた看板の辺りだ。
ピコーンピコーンというアラームの音と七色の光が発せられる。
4.0達は誘われるようにして、それに向かっていった。
その間に敷島は本線出口へ向かう。
ドカーン!
「え?」
ミクが目を丸くして後ろを振り向いた。
もちろん、ドカーンというのは爆発音。
敷島の投げた物が爆発し、そこに固まっていた4.0達が吹き飛んだのである。
投げた本人の敷島が呆れた顔をしている。
「何が暴走ロボット鎮圧弾だ、アリスのヤツ……!まんま爆弾テロじゃねーかよ!」
「何ですか、それ?」
「何か知らんが、Rデコイというヤツで、特殊な信号と光を発することにより、バージョン・シリーズはそれに誘われてその爆弾に自ら向かってしまう。その時、爆発する時差式爆弾だっていうんだな」
「はあ……。私は何だろうと思いました」
「ボカロには効かないってさ。まあ、リン辺りなら興味を持って拾いに行きそうだけど……」
「それは、あんまりです」
その時、車の無線機に通信が入る。
{「こちらシンディ」}
「お前、暴走したんじゃないのか?」
{「根も葉も無いこと言わないで!暴走したのは、財団統括のシステムの方よ!」}
「どういうことだ!?」
{「姉さんが仙台の方は鎮圧したってさ。まあ、建物の全壊はカンベンしてね」}
「全壊させるほどなのかよ!?じゃあ今、仙台の方は安全なんだな?」
{「そうよ。私はこれから本部の救助に行ってくるから」}
「マジか!?」
{「あなたの大事な歌うお人形さんが立て籠もって戦ってるんでしょう?」}
「歌うお人形さん……!」
敷島は変な顔になった。
敷島は次のインターチェンジである白石インターで、高速を降りた。
国道4号線白石バイパスに接続しており、そこから下り線に入る。
少し走った所で、ガソリンスタンドで給油することにする。
「いらっしゃいませ!レギュラーですか?」
「ああ。ボカロの充電もよろしく」
「はい?」
「たかおさん、わたし、まだ残量80パーセントありますから」
「そうか?あっちの方が早いんじゃないか?」
敷島はスタンドの片隅にあるEVの充電設備を見て言った。
冗談ではなく、それでも充電できる。
「ちょっとトイレだ」
「行ってらっしゃい」
店舗のトイレを借りた後で、敷島は本部に連絡する。
さすがに、あのシンディが救援に駆けつけるなんて到底信じられないだろうなと思っていたが、
{「最低です!プロデューサー!こんな非常時にそんな非常識なこと言うなんて!」}
信じてもらえないどころか、生真面目なルカに抗議されてしまった。
(エミリーとよく似たヤツが救助に行く、と濁した言い方の方が良かったかな???)
「とにかく、あと少しだ。頑張ってくれ」
{「もう無理です!奴ら、壁も登って来るんですよ!」}
屋上にまで追い詰められたそうだ。
屋上に出るドアは、とにかく即席のバリケードを設置しているそうだが……。
「その機能は5.0からだとアリスが言ってたぞ?まさか、5.0もそっちにいるのか?」
{「4.0の改造版です!」}
「ちょっと待て!そんなの本部のどこに配置されてる!?俺は聞いてないぞ!」
{「でも本当なんです!本当に……あっ!?」ブツッ!}
「お、おい!ルカ!ルカ!?どうした!?」
ルカとの通信が途絶えてしまった。
「たかおさん、支部長から無線です!」
車の中からミクが顔を覗かせた。
「お、おう!」
敷島は急いで車に戻った。
{「敷島君、無事か?」}
「森須支部長!私は無事です。ミクもです」
{「ああ、良かった」}
「そちらこそ、大丈夫ですか?」
{「ああ。どうやらシンディは、こちらの想定通りの思考で起動並びに稼働してくれたようだ。エミリーやマリオ達によって、ようやく仙台支部とアリス研究所は鎮圧された」}
シンディの言っていたことは本当だった。
「本部も大変なことになっているようです」
{「ああ、分かってる。シンディがそちらに向かったようだ」}
「行けるんですか!?」
{「超小型ジェットエンジンは、エミリーのよりも高性能タイプを搭載している。東京までの片道なら持つだろう」}
その時、敷島は不謹慎にも、
(その後の回収役は俺にされそうだな……)
と、思ったという。
「分かりました。私はどうしたらよろしいでしょう?」
{「取りあえず、仙台に戻ってきてくれ。今、どこだ?」}
「白石です。高速道路上でバージョン達に襲われたので、止む無くここまで避難しました」
{「いくらシンディが対応に当たったとはいえ、今、高速は混乱しているだろう。慌てなくていいから、安全第一で戻ってきてくれ」}
「分かりました」
森須の言う通りだった。
東北自動車道が通行止めになったため、並行して走る国道4号線にその車が流入したことにより、国道では渋滞が発生した。
なので、敷島が研究所に帰り着く頃には日が傾いていたという。
尚、シンディの活躍により、本部もまた鎮圧された。
ボカロ達に大きな損傷は無かったが、最後まで戦っていたルカが1番損傷が大きかったという。
で、想定通り、やはり敷島にルカとシンディの回収が命ぜられたことは言うまでもない。