報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスター” 「狂科学者の孫娘、温泉に行く」 1

2014-10-29 19:42:17 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[11月1日09:00.仙台市泉区のぞみヶ丘 アリスの研究所 エミリー&シンディ]

 エントランスホールのアップライトピアノでエミリーが伴奏を、シンディがフルートで主旋律を吹く。
 曲はジョルジュ・ビゼー作曲、“アルルの女”第1組曲より、メヌエットだ。
 これが敷島達へのモーニングコール代わりなのだが、
「……起きないわね、博士達」
 その曲の演奏を終えても、居住区から敷島達の姿は無かった。
「2曲目・行く・か?」
 エミリーが振り向いて、髪型と髪色、衣装だけが違う妹に聞いた。
「いいよ。アタシが起こしに行く。姉さんは朝ご飯でも作っててあげて」
「OK.というか、もうできてる」
「そうだったわね」
 だが奥から、
「Oh,no!I’m late!(しまった!寝過ごしたわ!)」
 アリスがバタバタとやってきた。
「アリスっ!上着ろ!上!」
 後から敷島もやってくる。
 手にはアリスが着ていたタンクトップを持っていた。
「福島行く前に風邪引くぞ!」
「あー、そうか。今日から出掛けるんだもんね」
 シンディがポンと手を叩いた。
「休日は休日で、イベント出演が目白押しなんだぞ。今せっかくボカロが売り出し中だってのに……」
「だーいじょーぶだよ、プロデューサー」
 鏡音リンがニッと笑った。
「もうリン達、自分達のスケジュール管理は完璧ですから〜」
「そ、そうか?そりゃ頼もしい。だが、俺も本当は新たな売り込み先を探さないといけないんだけど……」
「まあ、イザとなったら、ボーカロイド劇場もありますから」
「アキバまで行くの大変だろー?本当は仙台にも、そういうの作りたいんだけどなぁ……」

[同日11:05.同場所 のぞみヶ丘バス折返し場 敷島、アリス、エミリー、シンディ]

「アリス、急げっ!バスが出るぞ!」
「車じゃないのね」
「当たり前だ!」
 研究所下にある路線バスの折返し場までバタバタと階段を下りる。
「だいたい、何だって、たかが1泊2日の旅行でそんな大きなバッグを持って行くんだ?」
 しかし持っているのはシンディである。
 人間が普通に持てば重いだろうに、シンディはまるでセカンドバッグを持つかの如く、片手でヒョイと持っている。
「こう見えてもお泊りセット以外に、マルチタイプの整備道具なんかも持って行かないとね」
「それだけでこんなにか?」
「あとはテロ対策用にグレネードガンとか、ロボット・デコイとか……」
「アホかーい!」

〔「泉中央駅行き、まもなく発車します」〕

 バスのエンジンが掛かり、運転手の声が車外スピーカーから聞こえた。
「しゃーない!そのまま行くぞ!中身がばれないようにしろよ!」
「OK!」
 4人は急いでノンステップバスに乗り込んだ。
 バスは4人の乗客を乗せると、折返し場内をグルッと回って、のぞみヶ丘ニュータウン内に出た。
「しかし……」
 2人席にアリスと座る敷島。
 エミリーとシンディは折り畳み座席(右前輪の後ろにある、車椅子の乗客がいたら折り畳む座席。バス会社、路線によってはラッシュ時にも折り畳むことがある)の前に立っている。
 運行約款上、必ず着席していなければならない乗り物以外は立つのがマルチタイプだ。
 メイドロボと執事ロボは状況に応じるらしい。
「泉中央駅に着く頃には満席状態の立ち客ありの状態になるんだろうが、まだガラ空き状態で立っているのもな……」
「まあ、そういう仕様だからねぇ……。アサシン(暗殺者)だったことを裏返すと、SPにもなれるわけだけど、SPって座らないでしょ?それと同じよ」
「なるほどな……」

[同日12:50.JR仙台駅在来線ホーム 上記メンバー]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の5番線の列車は、13時3分発、快速“仙台シティラビット”4号、福島行きです。この列車は、4両です〕

「さっき、サンドイッチ食ってなかった?」
 敷島が呆れたのは、アリスがシンディに駅弁を買いに行かせたことだった。
「まだランチは続くのよ」
「あー、そーかい」
「敷島さんも・どうぞ」
「あー、悪いな。もしかして、紐引っ張ると温かくなるヤツ?」
「ノー。その方が・良かった・ですか?」
「いや、いいよ。テーブル無いし」
「テーブル無いの?」
「無いよ!在来線の鈍行列車で、贅沢言うなや!」

〔まもなく5番線に、当駅始発、快速“仙台シティラビット”4号、福島行きが参ります。危ないですから、黄色い線までお下がりください。この列車は、4両です〕

 首都圏のATOSと呼ばれる形式の放送がホームに鳴り響く。

 
(JR東日本719系。南東北でしか乗れない)

 下り方向から回送状態で、4両編成の電車がやってきた。
 ボタンを押してドアを開けて、車中の人となる。
 外観もそうだが、車内はほんの最近まで都内発着の中距離電車で使用されていた211系と呼ばれるものとよく似ている。
 違うのは、座席のレイアウト。
 ドア横が横向き席なのは同じだが、進行方向と対面する座席が変則的である。

 
(文字や口頭では説明しにくいので、この写真参照。全国探しても、こんな変なレイアウトはこの電車だけ)

「エミリー達も座れよ」
 ど真ん中の4人用ボックスシートを確保した敷島。
「だーかーらーっ。プロデューサー、別にアタシ達は立ってても『疲れない』んだって」
 新幹線は法規上、必ずしも着席しなければならないわけではないが、指定席に乗ることが多いため、例外としている。
 しかし、この電車は全部自由席だ。
「いいのよ。移動の時くらい一緒に楽しみなさい」
 アリスがそう言った。
「逆に俺達の隣にいてくれた方が、護衛にもなるんじゃないか?」
「そういう・こと・でしたら・失礼・致します」
「ま、命令ならしょうがないか」
 エミリーとシンディも、通路側に座った。

〔「ご案内致します。この電車は13時3分発、東北本線上り、快速電車の“仙台シティラビット”4号、福島行きです。停車駅は名取、岩沼、槻木、船岡、大河原、白石、藤田、桑折、伊達、東福島、終点福島の順です。……」〕

「どれ、弁当食うか」
 窓の桟に飲み物を置いて、敷島は弁当の蓋を開けた。
「さすがに、充電コンセントは無いのね?」
 シンディは座席の下などを見て言った。
「在来線の鈍行じゃなぁ……。乗り換え先の飯坂線も、そんなもん無いと思うぞ」
「しょうがないわね。イザとなったら、上から取ればいいか」
 シンディは天井を見上げた。
「何言ってんだ」
 敷島は苦笑い。
(照明器具からどうやって電源取るんだよ)
 と、敷島は思ったのだが、
「シンディ。東北本線の・黒磯から・北は・AC(交流)だ。アダプターが・必要に・なるぞ」
「そっかぁ……。じゃあ、他の路線から取らないとね」
「お前らな、交流2万ボルトと直流1500ボルトから電源取ったら、爆発するぞ」
 敷島は口に運んだ米を噴き出しそうになった。
 正に、噴飯である。

 電車は定刻通りに、仙台駅を発車した。
 今のところ、これといったテロの脅威は無い。
 とはいうものの、平賀の動きが分からなかった。
 目的地は一緒とのことだが、一緒に行かない理由と、夜間だけエミリーを使うという理由が。
コメント (4)
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“アンドロイドマスター” 「マルチタイプの出自」

2014-10-29 16:01:54 | アンドロイドマスターシリーズ
[10月29日15:00.東北大学工学部研究棟 敷島孝夫、敷島孝夫、エミリー]

「や、こりゃどうも、敷島さん。やはり実際にマルチタイプを見せた方が、いい資料になると思いましてね」
 教授室のソファの座る敷島。
 隣の研究室から入ってきた平賀。
 エミリーのことを一通り説明した後で、ゼミ生にあとは任せているのだろうか。
「いえいえ。あくまでも、今のオーナーは平賀先生ですから」
 敷島は七海に出された茶を啜りながら言った。
「実際は自分も多忙なもんで、敷島さんに管理を任せっきりです。本当に申し訳無い」
「いいんですよ。エミリーも頭のいいヤツですから、逆にアリスの研究所でボーカロイド達の相手をしてくれてます」
「そうですか」
「シンディも再稼働したことですし、そろそろここいらでマルチタイプの出自を明らかにした方がよろしいかと……」
「旧ソ連政府がスパイ活動と反乱分子粛清の為に開発した。それだけでは不満ですか?」
 平賀も向かい合ってコーヒーを口に運んだ。
「どうにも気になるのですよ。アメリカ人と結婚したもんだから、尚更ね」
「と、言いますと?」
「平賀先生もご存知でしょう?アメリカ人は実用主義100パーセントです。実は人間そっくりのロボットを作るという発想自体が無い人種なんですよ」
「それだけでは確かに実用性は無いですからね。日本人の造形美感の賜物でしょう」
「ウィリーはともかく、アリスはバージョン・シリーズを作っても、アンドロイドは作っていません。それなのに、当時のロシア人はマルチタイプを作ってしまったんです。この違いは何なんでしょうか?」
「スパイとして工作活動させるに辺り、人間そっくりに作る必要があったんでしょうね」
「アメリカは作ってませんよね?ウィリーはアメリカ人ですが、アメリカの学会を追い出されたので、自分の実力を認めてくれる旧ソ連に渡ったと聞きました」
「その通りです。そこは十条先生や南里先生のお力が大きかったかと。つまり、日本人の美感ですね」
「……その十条理事と南里所長は日本生まれではないですね」
「そこまで調べましたか。ええ、お2人はロシア生まれですよ。だけど、ロシアに渡った日本人から生まれたので日本人です。自分も南里先生方が、どのようにして旧ソ連政府からの命令を受けてエミリー達を作ったのかは聞いていません」
「ロシアに渡った?」
「恐らくは満州か樺太……つまり、第二次世界大戦の旧ソ連侵攻の際に、かの国に渡ったと見ています。冷戦終結前後のドサグサに紛れて、南里先生はエミリーを日本に連れてきたと仰ってました」
「そう簡単に連れてこれるものですか?」
「ええ。そこはやはり、何かしらの裏取引があったとは思います。しかし表向きには双方の政府は一切タッチしないという条件であることはいえ、全く接触してこないのもまた不思議な話で……」
「まあ、接触自体はしてきてますよ。エミリーの活躍ぶりから、防衛省とか総務省が声を掛けてきたじゃないですか」
 総務省は消防関係。
 つまり、エミリーをレスキューロボットに使えないかというもの。
「省庁レベルでしょう?大臣レベルで接触してこないというのはねぇ……」
「いくら民主化したとはいっても、大統領が元KGBの幹部じゃ、日本政府もあんまり触れたくない?」
 敷島が皮肉るように言うと、
「自分も政治のことは良く分かりませんから」
 と、平賀ははぐらかすように言った。
「エミリー達が今のボーカロイド達の共通点、見目麗しい美女だというのは、日本人の美感が強いということでいいんですね」
「冷戦で西側にいた日本が、実は東側の国に関わってましたなんて言えないでしょうね。本来は政府としても、シンディはもちろん、エミリーだって抹消したいくらいでしょう」
「何でシンディが先に来るの」
 敷島は苦笑した。
「彼女らの名前がアメリカ人みたいな感じからして、アメリカにスパイとして送り込む意図があったということでしょうか?」
「それは間違い無いでしょう。これはあくまでウワサですが、ウィリーがシンディをアメリカに持ち込めたのも、シンディをスパイとして送り込むからという理由だったかもですね」

 それから1時間後……。

「温泉旅行のペアチケットが当たったんですって?」
 と、平賀は笑みを浮かべた。更に、
「アリスとお楽しみですね?」
 と、続ける。
「テロの標的になりやすいアリスですから、どうしても護衛が必要になります。こういう時、マリオやルイージだと、どうしても目立ってしまう」
 敷島は頭をかいて答えた。
「アリス的には風呂そのものではなく、ホテルや旅館での過ごし方を味わいたいようです」
「確かにそれもまた日本独特でしょうねぇ……。旅番組とかでも見たんですか?」
「ボカロの旅番組は、共演する人間のタレントさんがメインだったりしますからね。ほら、旅の醍醐味の1つ。その地域の名物料理とか」
「はいはい」
「ボカロ達だと食べれないですから」
「そうですね」
「アリスのことだから、絶対それ見てたと思うんですよ」
「実際、旅行券の行き先はどこだったんですか?」
「聞いて驚いてください」

[同日17:00.仙台市泉区のぞみヶ丘 アリスの研究所 敷島、アリス、鏡音リン]

「ただいまァ」
「あ、兄ちゃん……じゃなかった。プロデューサー帰って来た」
 エントランスホールには鏡音リンがいた。
 手にマンガ雑誌を持っている。
「おう。アリスは?」
「レンのカスタムパーツ外すのに苦労してる」
「何でレンにカスタムパーツが付いてんだよ?」
 敷島は変な顔をした。
「ブースター付けたら、ロケットエンジンだったんだって」
「どこをどう間違えたら、ブースターとロケットエンジン間違えるんだよ?」
「ツッコミ、ありがとうね!」
 奥からアリスがやってきた。
「何か、苦労してるらしいな?」
「やっと終わったわよ。今度のライブで、天井まで高く跳ぶ演出があるんですって?」
「だからブースターを改良して欲しいって頼んだんだけど、ロケットエンジンにしなきゃ無理か?」
「そういう問題じゃないのよ。それで、平賀教授の方はどうなの?」
「何か、今度の温泉旅行の行き先教えたら、護衛用のマルチタイプの素泊まり分は財団に任せとけって言ってた」
「は?」
「その代わり夜、エミリーは一時返してもらうってさ」
「何を企んでるのかしら?」
「分からん。護衛ならシンディ1人でも大丈夫だろうということだ」
 敷島は首を傾げた。
「今さらバージョン・シリーズくらい、どうってことないけどね」
「『女王様』と『お嬢様』に逆らう命知らずのバージョンがいたら逆に怖いよ」
 敷島はまた変な顔をした。
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他宗教雑感

2014-10-29 14:48:22 | 日記
 私の告白手記(?)が思いの外、ご好評であるのが意外であり、何とも複雑な気分だ。
 まあ、メインは確かに日記ではあるのだが……。
 その日記をもう1度続けよう。
 “ユタと愉快な仲間たち”に登場した日帰り温泉に行ってきたのだが、ヒマつぶしにスマホで信仰者ブログの巡回をしていたら、またパラパラ茜さんが記事を更新しておられる。
 彼女は顕正会・東京会館を拠点にしておられるのかと思いきや、信心の発露か、本部会館にも足を運ぶようだ。
 で、大宮駅西口にも足を運ばれていると。
 ほおほお。こりゃひょっとすると、私やポテンヒットさんとニアミスしている可能性があるな。
 坂井久美子さん、出番ですよ。
 で、茜さんの最新記事に関しては、半分ほど頷ける部分があるのと同時に笑ってしまった箇所がある。
 言葉の汚さは相変わらずの今更なので、それはもうスルーする。
 茜さんのブログを読むと、私が中高生時代、乗り鉄趣味に興じている間、クラスの女子達はあんなにもドロドロしていたのかと今さらながら思う。
 イジメとかは無かったと思うが……。
 だから、女子達のことは全く印象に無いんだって。

 茜さんも気にしておられた、西口で献血を呼び掛ける人と書籍を配布するキリスト教関係者。
 因みにその書籍配布は東口でも行われている。
 クリスマスの時期になると、聖歌隊が出動してきたり、私の本業の制服よりももっと威圧感のある軍服を着用する救世軍が募金活動をしている風景は見たことがある。
 前に1度、救世軍から入信勧誘を受けたことがあるが、それは丁重にお断りした。
 制服がダサかったからである。やはり、宗教の正邪を比べると、仏法以外に有り得ない。
 そのキリスト教関係者はどこの宗派だろうとは思っていたが、エホバだったか。
 そりゃあ、確かに皮肉……どころか、もはやイヤミですわな。
 献血を呼び掛ける赤十字関係者の横で、片や献血断固反対のエホバが布教活動しているのだから。
 1番良いのはそのエホバを折伏して、献血することなのだろうが、私にはそれが両方できない。
 内臓出血を伴う持病を抱えているため、献血は主治医にストップを食らっているからだ。
 症状が悪化すると下血がひどくなり、ヘタすりゃこっちが献血される側なのだから。
 で、折伏だが、街頭折伏はしたくないし、するべきではない。
 顕正会員が街頭折伏をすると鬼の首を取ったかのように批判するくせに、法華講が街頭折伏すると、堂々とそれを語る信徒がいることに違和感を覚える。
「こっちは血脈があるからいいんだ」
 とか、
「正法弘通の為だ」
 とか言うだろうが、その言葉を顕正会員も言いたいだろうよ。
 ま、エホバの街頭布教に関しては、“慧妙”のアポ無し折伏隊に任せるさ。

 しっかし茜さんはブログを見る限り、そのエホバ信者を折伏しなかったのだな。
 なるべく献血に協力する人だというのは分かったので、リアルにおいて、つまり外面は良いのかもしれない。
 そして、それについては法華講員も人のことは言えない。
 ネット内では随分と偉そうにしている信徒がいて、1度注意してやろうと本山に行ったら、お年寄りの手を引くいい人だったというオチがあった。
 まあ、結局その人はブログを辞めたようだが……。

 他人のブログで日記が1つ書けたというお話でありました。お後でよろしいようで……。
コメント (13)
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