[5月6日10:00.天候:晴 埼玉県さいたま市西区 DCJロボット未来科学館]
敷島達が北海道に行っている間、ロボット未来科学館は通常営業していた。
館長以下、館員達が慰安旅行中に誘拐されたことなどウソのようだ。
Pepper改:「こんにちは。御見学ですか?」
総合受付にやってきたのは、50代半ば頃と思しき男性だった。
スーツ姿であった。
男性:「いえ。実はこちらの館員さんに、面会したい人がいるんですが……」
Pepper改:「御面会の方ですか?……本日の予定にございませんが?」
男性:「ああ、申し訳ないが、実は約束はしていない。何とか、会えないだろうか?」
Pepper改:「当館はお約束の無い方とは面会……」
アリス:「コラーッ!展示室エリアでヲタ芸やるなって何回言わせんの!!」
マリオ:「北海道ボカロフェス、行きたかったなぁ……」
ルイージ:「初音ミクさんと握手……」
アリス:「アタシの護衛をしなきゃ行けないんだから、しょうがないでしょ!」
男性:「あの……ちょっといいですか?」
アリス:「なに!?」
男性:「アリス・フォレストさん……ですよね?」
アリス:「そうですけど?」
男性:「ちょっと、お話を伺いたいのですが、よろしいでしょうか?」
アリス:「はい?」
[同日10:32.天候:雨 JR遠軽駅]
4両編成の気動車特急が駅のホームに滑り込む。
ここで列車はスイッチバックするとの放送が流れたが、敷島達にとっては下車駅なので関係無い。
昔はここから名寄本線という鉄道線が出ていたのだが廃止になり、石北本線のスイッチバック駅となった。
敷島:「ここからは車だな。レンタカー屋があるから、そこで借りて来よう」
平賀:「はい」
エミリーは駅近くのレンタカー会社で敷島達が車を借りる手続きをしている間、信号を送ってみた。
宇登呂と沙留から内陸に向かって線を伸ばし、そこが交差する辺り。
当初は沙留から真南、宇登呂から真西に向かって線を伸ばすものだと思われた。
南と西は合っているのだが、少しズレていた。
もっとも、初音ミクの原型機が見つかったのだって、オホーツク海に向かって真っすぐに2つの線が交差した所というわけでも無かったので、別にそこは大きな問題では無い。
敷島:「よし。乗ってくれ」
エミリー:「はい」
ミク:「はい」
ハイブリットカーを借りてきて、ロイド達も車に乗り込んだ。
平賀:「取りあえず、西へ向かってください。遠軽駅ですと、東にズレているので」
敷島:「分かりました」
方向的には来た道を戻ることになる。
実は特急が通過するような駅で降りた方が近かったのかもしれない。
もちろん大都市圏のように特急が各駅停車と都合良く接続しているわけでもないし、そんな最寄り駅だって、実際そこから結局は車でないとアクセスできないわけだから、やっぱりレンタカー屋がある所で降りた方が良い。
[同日12:00.天候:曇 北海道某所]
車で1時間以上も走った所だろうか。
最後には農道のような所を走っていた敷島達だったが、その道の舗装が無くなった所を更に走っていると、ついに道が無くなった。
具体的には、道のど真ん中に大きな木が立っていて、それが道を塞いでいたのだ。
エミリー:「撤去しますか?」
敷島:「いや、いい。ここから歩いて行こう」
敷島達は車を降りた。
平賀:「驚きましたね。自分はつい、何も無い原野のような場所を想像していたんですが、実際は森の中のようです」
敷島:「そうですね。よし、ここで準備しよう」
それまでミクは白いブラウスに紺色のベスト、エメラルドグリーンのネクタイに紺色のミニのプリーツスカートという恰好をしていた。
敷島と平賀は車を降りて、ミクは車内に残り、そこでステージ衣装に着替えた。
といっても、宣材写真(クリプトン公式イラスト)の衣装であるが。
ミク:「お待たせしました」
敷島:「よし。……じゃあ、行くぞ」
ここからは道なき道を進むことになる。
……はずなのだが。
敷島:「あれ?何だろう?」
敷島は首を傾げた。
森の部分は最初だけで、あとは家が見えて来た。
敷島:「平賀先生?」
平賀:「方向は合ってます。え?家なんか建ってる?」
もっとも、遠くから見た感じでは、廃墟のように見えた。
グーグルマップを見ても、家が建っているような感じには見えない。
普通に、森のようになっているだけだった。
敷島:「最近、中国人が北海道の無人の土地を買い漁って問題になっていますからねぇ……。それ絡みだったりして」
平賀:「それにしては、随分と古そうな建物ですよ。それも洋館だ」
敷島:「この前の廃ペンションを思い出すなぁ……。なるべく近くまで行って、それからミクの歌をノック代わりにしましょう」
平賀:「そうですね」
エミリー:「あの……」
敷島:「何だ?」
エミリー:「試作機はKR団が持ち込んだのですよね?」
敷島:「そう思われるって話だ」
エミリー:「KR団がアジト用に建てた可能性は無いでしょうか?表向きは、個人の別荘とかということにして」
敷島:「なるほど。それは考えられるな」
平賀:「KR団は表向き崩壊しましたが、まだあの中に残党がいたり、或いはロボットがまだ稼働している恐れがありますね」
敷島:「よし。それじゃ、ここで一旦鷲田警視に連絡を……あれ?『圏外』になってる!?」
平賀:「自分のもです。今時、物理的に電波の入らないような場所以外で圏外になるなんて……」
敷島:「エミリーの通信はどうだ?衛星通信を使えば大丈夫だろう?」
エミリー:「……はい、それなら大丈夫です」
敷島:「シンディに、この位置と現況を送信しておいてくれ。シンディから井辺君に、井辺君から鷲田警視達に連絡してくれればいい」
エミリー:「かしこまりました」
敷島:「エミリーが送信したら、ミク、『オホーツク旅情歌』を歌ってみてくれ。これで何かしら反応があるかもしれない」
ミク:「分かりました」
敷島達が北海道に行っている間、ロボット未来科学館は通常営業していた。
館長以下、館員達が慰安旅行中に誘拐されたことなどウソのようだ。
Pepper改:「こんにちは。御見学ですか?」
総合受付にやってきたのは、50代半ば頃と思しき男性だった。
スーツ姿であった。
男性:「いえ。実はこちらの館員さんに、面会したい人がいるんですが……」
Pepper改:「御面会の方ですか?……本日の予定にございませんが?」
男性:「ああ、申し訳ないが、実は約束はしていない。何とか、会えないだろうか?」
Pepper改:「当館はお約束の無い方とは面会……」
アリス:「コラーッ!展示室エリアでヲタ芸やるなって何回言わせんの!!」
マリオ:「北海道ボカロフェス、行きたかったなぁ……」
ルイージ:「初音ミクさんと握手……」
アリス:「アタシの護衛をしなきゃ行けないんだから、しょうがないでしょ!」
男性:「あの……ちょっといいですか?」
アリス:「なに!?」
男性:「アリス・フォレストさん……ですよね?」
アリス:「そうですけど?」
男性:「ちょっと、お話を伺いたいのですが、よろしいでしょうか?」
アリス:「はい?」
[同日10:32.天候:雨 JR遠軽駅]
4両編成の気動車特急が駅のホームに滑り込む。
ここで列車はスイッチバックするとの放送が流れたが、敷島達にとっては下車駅なので関係無い。
昔はここから名寄本線という鉄道線が出ていたのだが廃止になり、石北本線のスイッチバック駅となった。
敷島:「ここからは車だな。レンタカー屋があるから、そこで借りて来よう」
平賀:「はい」
エミリーは駅近くのレンタカー会社で敷島達が車を借りる手続きをしている間、信号を送ってみた。
宇登呂と沙留から内陸に向かって線を伸ばし、そこが交差する辺り。
当初は沙留から真南、宇登呂から真西に向かって線を伸ばすものだと思われた。
南と西は合っているのだが、少しズレていた。
もっとも、初音ミクの原型機が見つかったのだって、オホーツク海に向かって真っすぐに2つの線が交差した所というわけでも無かったので、別にそこは大きな問題では無い。
敷島:「よし。乗ってくれ」
エミリー:「はい」
ミク:「はい」
ハイブリットカーを借りてきて、ロイド達も車に乗り込んだ。
平賀:「取りあえず、西へ向かってください。遠軽駅ですと、東にズレているので」
敷島:「分かりました」
方向的には来た道を戻ることになる。
実は特急が通過するような駅で降りた方が近かったのかもしれない。
もちろん大都市圏のように特急が各駅停車と都合良く接続しているわけでもないし、そんな最寄り駅だって、実際そこから結局は車でないとアクセスできないわけだから、やっぱりレンタカー屋がある所で降りた方が良い。
[同日12:00.天候:曇 北海道某所]
車で1時間以上も走った所だろうか。
最後には農道のような所を走っていた敷島達だったが、その道の舗装が無くなった所を更に走っていると、ついに道が無くなった。
具体的には、道のど真ん中に大きな木が立っていて、それが道を塞いでいたのだ。
エミリー:「撤去しますか?」
敷島:「いや、いい。ここから歩いて行こう」
敷島達は車を降りた。
平賀:「驚きましたね。自分はつい、何も無い原野のような場所を想像していたんですが、実際は森の中のようです」
敷島:「そうですね。よし、ここで準備しよう」
それまでミクは白いブラウスに紺色のベスト、エメラルドグリーンのネクタイに紺色のミニのプリーツスカートという恰好をしていた。
敷島と平賀は車を降りて、ミクは車内に残り、そこでステージ衣装に着替えた。
といっても、宣材写真(クリプトン公式イラスト)の衣装であるが。
ミク:「お待たせしました」
敷島:「よし。……じゃあ、行くぞ」
ここからは道なき道を進むことになる。
……はずなのだが。
敷島:「あれ?何だろう?」
敷島は首を傾げた。
森の部分は最初だけで、あとは家が見えて来た。
敷島:「平賀先生?」
平賀:「方向は合ってます。え?家なんか建ってる?」
もっとも、遠くから見た感じでは、廃墟のように見えた。
グーグルマップを見ても、家が建っているような感じには見えない。
普通に、森のようになっているだけだった。
敷島:「最近、中国人が北海道の無人の土地を買い漁って問題になっていますからねぇ……。それ絡みだったりして」
平賀:「それにしては、随分と古そうな建物ですよ。それも洋館だ」
敷島:「この前の廃ペンションを思い出すなぁ……。なるべく近くまで行って、それからミクの歌をノック代わりにしましょう」
平賀:「そうですね」
エミリー:「あの……」
敷島:「何だ?」
エミリー:「試作機はKR団が持ち込んだのですよね?」
敷島:「そう思われるって話だ」
エミリー:「KR団がアジト用に建てた可能性は無いでしょうか?表向きは、個人の別荘とかということにして」
敷島:「なるほど。それは考えられるな」
平賀:「KR団は表向き崩壊しましたが、まだあの中に残党がいたり、或いはロボットがまだ稼働している恐れがありますね」
敷島:「よし。それじゃ、ここで一旦鷲田警視に連絡を……あれ?『圏外』になってる!?」
平賀:「自分のもです。今時、物理的に電波の入らないような場所以外で圏外になるなんて……」
敷島:「エミリーの通信はどうだ?衛星通信を使えば大丈夫だろう?」
エミリー:「……はい、それなら大丈夫です」
敷島:「シンディに、この位置と現況を送信しておいてくれ。シンディから井辺君に、井辺君から鷲田警視達に連絡してくれればいい」
エミリー:「かしこまりました」
敷島:「エミリーが送信したら、ミク、『オホーツク旅情歌』を歌ってみてくれ。これで何かしら反応があるかもしれない」
ミク:「分かりました」