報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Sisters” 「イベントの終わり」

2017-06-17 20:08:46 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月5日18:00.天候:曇 北海道札幌市豊平区 札幌ドーム]

 初音ミク:「……歩き続けた意味を問う♪考え続けた時間(とき)を♪振り返る♪……」

 初音ミクの持ち歌の1つ“萌黄色のマイルストーン”(作詞・作曲:cosMo@暴走P)、アルバム“初音ミクの消失”の最後に収録されている曲だけあって、ライブでもこれを最後に持ってくると丸く収まる魔法の歌である。
 ライブの内容によってはミク以外のボカロが全員で合唱することもあるし、ミクが歌う後ろでバックダンスをやっていることもある。
 今回は後者で、鏡音リン・レンとMEGAbyteの3人がバックダンサーをやっていた。

 ファン一同:「歩き続けた意味を問う!考え続けた時間(とき)を♪振り返る♪」

 ミク:「それでもわからない♪『未来』眼の前に♪ならば希望を〜♪もっても〜いいんじゃないかなっ♪」

 間奏中にセリフを入れるのがライブでのミクのやり方。

 ミク:「みなさーん!今日まで3日間ありがとうございましたー!私は札幌が大好きです!」

 場内に歓声が起きる。

 ミク:「淡く儚い〜♪幻想(ゆめ)追い掛け〜♪……」

 最後のトリの模様は、主催者控室でもモニタされていた。

 平賀:「敷島さん、今回も大成功でしたね。グッズも売り上げ絶好調だったそうです。これで大手振って、東京に帰れますね」
 敷島:「次の『仕事』が済んだら、ですよ」
 平賀:「なるほど。そうでしたなぁ……」

 そんな話をしている主催者達。

 リン:「みんな〜!どうもありがとー!リン達ィ、また絶対来るからねーっ!」
 レン:「後ろの皆さんも、ちゃんとボク達見ていますよ!本当にありがとうございました!」
 巡音ルカ:「私達、これからも皆さんの為にずっと歌います」
 MEIKO:「東京でも待ってますよー!私のディナーショーも来てくださいね!」
 KAITO:「夏のライブでも、お待ちしています。皆さん、夏もまた会いましょう!」

 敷島:「お前達……」
 エミリー:「! 社長、どうぞ」

 感極まって涙ぐむ敷島に、エミリーがティッシュを差し出した。

 敷島:「おっ、悪いな……」
 シンディ:「社長、主催者が泣いちゃダメですよ」
 平賀:「まあまあ。敷島さんだって、あいつらがここまで売れるようになるまで、相当苦労したんだから。……いや、相当苦労という言葉ですら非礼なくらいだ。ですよね?敷島さん?」
 敷島:(俺がいなくなったとしても、もうあいつらなら大丈夫だ……)
 平賀:「敷島さん?」
 敷島:「えっ?ああ、失礼しました。何ですか?」
 平賀:「あ、いえ、別に……」
 シンディ:「もう既に東京ドームでのライブもできてるのに、今さら地方のドームの成功で泣くことないじゃないのよ」
 エミリー:「シンディ、失礼だぞ。それに、東京ドームは東京ドームでも、ミーツポートの方だ」
 敷島:「プロ野球やジャニーズがライブやってるドームの方でやりたいなぁ……(´;ω;`)」
 平賀:「おい、お前ら、敷島さんに謝れ!」

 そして、ボーカロイド達が楽屋に戻って来る。

 ミク:「お疲れさまでしたーっ!」
 リン:「お疲れちゃーん!いぇい!ゆかりんとリリッちとみゆみゆも!」
 結月ゆかり:「あ、はい!」
 Lily:「はい」
 未夢:「はぁい」

 リンはMEGAbyteの3人も含むボカロ全員とハイタッチした。

 井辺:「皆さん、今日もお疲れさまでした。皆さんの優秀な活動、社長も私も大感動でした。この成功をバネに、更なる高みを目指しましょう」
 リン:「札幌ドームでできたんだから、今度は東京ドーム!東京ドームでやろうYo!」
 MEIKO:「この前、舞台の仕事で大阪に行った時、大阪ドームでライブやろうかって話をイベント会社の人から聞いたわ」
 KAITO:「ボクは旅番組に出た時、福岡ドームって話を聞いたよ」
 巡音ルカ:「名古屋のライブハウスでの活動のおかげで、ナゴヤドームで是非ライブをというファンの皆さんからの声がありました」
 敷島:「東京ドームかぁ……フッ……ε- (´ー`*)」
 リン:「え?なに?遠い目しちゃって……」
 シンディ:「あーあ。リン、地雷踏んじゃったね」
 リン:「ええっ!?」
 シンディ:「今さっき、ボーカロイド達が東京ドームのライブに出れないことを泣いていたのよ」
 リン:「ええっ!?しゃ、社長……ゴメンね。リン達、頑張るからぁ……」
 シンディ:「謝りが足りない!ヌードの仕事も辞さないという構えで!」
 リン:「う、うん。リン、脱ぐからぁ……」
 敷島:「脱がせるな!」
 エミリー:「脱がせるな!」
 MEIKO:「脱がせるな!」
 平賀:「脱がせるな!」
 シンディ:「井辺プロデューサーが来る前の悪徳プロデューサーは、『ボーカロイドは人間じゃないから、設計年齢14歳のリンを脱がしても児童ポルノにはならない』とかほざいてたけど……」
 井辺:「いえ、幸か不幸か、そこは人間ではなくても、人間に性的興奮を及ぼさせるものについては、児童ポルノ扱いにされるようです」
 平賀:「確かに。自分の知り合いの法学者もそう言っていたような……」
 シンディ:「そうなってくると、ジュニアアイドルの水着写真集とかイメージビデオもアウトになるんだけどね」
 リン:「あれれー?リン、今度ゆかりん達と一緒に水着のグラビア撮影の仕事入ってるよー?」
 ゆかり:「そうですね」
 KAITO:「恐らく、『ボーカロイドの水着姿に性的興奮する人間はいないことになっているから児童ポルノ違反には当たらないと思われる今日この頃です』ということになっているんだろうね」
 リン:「何だか難しくて分かんないYo〜!」
 井辺:「ま、とにかくです。明日と明後日は、お世話になった札幌の皆さんにお返しをさせて頂くことになっています。取りあえず、早いとこホテルに戻る準備をしましょう」
 シンディ:「社長、いい加減さめざめと泣くのやめて!」
 敷島:「峰雄伯父さんに媚び売っておけば、四季エンタープライズの東京ドーム出場枠を少しでも分けてもらえるかな……ブツブツ……」
 平賀:「なるほど。そこで人間のアイドルに枕営業させるんですね。分かります」
 ミク:「あ、あのっ!私で良ければマクラエイギョーします!」
 MEIKO:「枕営業の意味、分かってるよね?」
 ミク:「わたしはたかお社長に育てられました!だから体全部使って恩返しです!わたしの体を役に立てて欲しいです!」
 リン:「リンもお手伝いするYo!」
 レン:「わあっ!リン、本当に脱ぐな!ちょっ……!カメラ止めてください!」
 敷島:「いや、いいんだ。ちゃんとした正攻法で何とかするさ。……さ、早いとこ戻ろうか」
 MEIKO:「ルカ!さり気なく水着に着替えない!」
 ルカ:「え……?」
 MEIKO:「全くもうっ!」
 KAITO:(MEIKOの普段の衣装が1番露出高くてエロいよ。……って言ったら、酒瓶で殴られそうだから黙っとこ)

 こうして何とか、札幌ドームでのイベントは無事に終了した。
 もちろん、敷島達にはこの後、『もう1つの仕事』が待っているのである。
コメント (2)
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