[4月4日19:00.天候:晴 長野県北部山中 マリアの屋敷1F大食堂]
稲生:「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。ごちそうさまでした」
マリア:「やっと私達の出番か。作者め。エレーナに作品枠やり過ぎだ」
稲生:「誰に言ってるんですか?」
マリア:「いや、何でもない」
稲生:「大師匠様に年度初めの挨拶とかしなくていいんですか?」
マリア:「大師匠様も神出鬼没だ。私達が挨拶に出向くとか、そういうことではないんだ」
稲生:「そうですか」
マリア:「近々、魔王城でパーティーが行われるらしい。それに大師匠様も参加されるだろうから、その時に御挨拶ってところかな」
稲生:「おっ、また魔界に行く機会があるんですか」
マリア:「一応ね。ただ、詳細がサッパリ。普通は師匠から上意下達で来るはずなんだけども、肝心の師匠が最近出ずっぱりだから」
稲生:「ですよねぇ……。僕も藤谷班長から御講参加の誘いが来てるんですよ」
マリア:「勇太の寺の?」
稲生:「はい。マリアさんも御一緒にどうですか?」
マリア:「遠慮しとく。またウォッカ入り甘酒飲まされたらたまらん」
稲生:「い、いや、あれはその……ケンショーレンジャーのしわざで……」
マリア:「分かってるよ」
稲生:「それに、魔女狩りカルト教団も入って来れないから、安全地帯です」
マリア:「ケンショーレンジャーの侵入を阻止できないようじゃ、100パー安全とは言えないな」
稲生:「ハハハ……」
マリア:「ま、この世界で100%を求める方が無理か」
稲生:「そ、そうですよ、マリアさん」
夕食が終わると、メイド人形達が食後のコーヒーを持って来た。
稲生:「ありがとう」
マリア:「魔界へは人間界のどこからでも行けるから、行ってきていいんじゃない?」
稲生:「もし良かったら、マリアさんも……。あの、お寺とかじゃなくていいんで……」
マリア:「うーん……私も、この屋敷で留守番してなきゃいけない身だからねぇ……。師匠が帰って来るまでは、何とも……」
稲生:「分かりました。それじゃ僕、先生が早く帰って来るよう、唱題してきます」
マリア:「ちょっと待て!魔力の無駄遣いはダメだぞ!」
稲生:「魔力の無駄遣いじゃありません。御祈念です」
マリア:「いや、だからさ、それが私から見れば魔力を使っているようにしか見えないんだって」
稲生:「マリアさん。『日蓮正宗の信仰を続けることは自由』と先生に言われましたよ?唱題と御祈念は、その日蓮正宗の信仰活動の1つなんですけど?」
マリア:「分かった。分かったよ」
稲生:「じゃあ、ちょっと唱題してきます」
稲生は席を立つと自分の自室に戻った。
マリア:「勇太が祈りを捧げると、本当に叶うから恐ろしいんだよな」
と、そこへテーブルの上の水晶球が鈍く点滅した。
マリア:「う……。何か、嫌な予感」
マリアは手を伸ばして、水晶球に手をかざした。
イリーナ:「やほー!先生だお!元気にしてた?」
マリア:「師匠!今どこですか?」
イリーナ:「今ねぇ、シリアにいるの」
マリア:「はあ!?」
よく耳を澄ますと、イリーナの後ろからマシンガンの発砲音とか、ショットガンの発砲音とかが僅かに聞こえてくる。
マリア:「何でそんな物騒な所に!?」
イリーナ:「まあまあ。報酬としてインゴッド大量に手に入ったから、今年もまた贅沢な暮らしができるよ?」
マリア:「『一気にドカンと稼ぐ』方針なのはいいですが、あまり物騒なのはどうかと……」
イリーナ:「あ、痛ッ!」
マリア:「師匠!?」
イリーナ:「あ、ゴメンゴメン。流れ弾がローブに当たっただけ」
魔道師のローブは戦士の鎧に相当する。
イリーナの場合、銃弾が当たっても、せいぜい石が当たった程度なのだろう。
マリア:「ちょっと!」
イリーナ:「じゃあ、そろそろ離脱するかね。あ、今週中には帰るから、どこか行きたい所があったら出掛けていいよ。お留守番ありがとさん」
マリア:「…………」
イリーナ:「それじゃ、チャオ♪」
こうしてイリーナからの通信が切れた。
マリア:「勇太ァ!今すぐ唱題と祈念やめて!!」
そして、食堂内の内線電話から稲生の部屋に中止命令を送ったのだった。
[同日20:00.天候:晴 マリアの屋敷1F西側・マリアの部屋]
マリア:「全く。勇太の祈りには困ったものだよ」
稲生:「いやあ、すいません。でも先生が無事で良かったですよ」
マリア:「あの人は殺しても死なないから、それこそマシンガンを食らっても大丈夫」
稲生:「いや、さすがは大魔道師だ。早速実家に連絡して、またマリアさんの部屋とか用意してもらいますから」
マリア:「すまない。報酬はインゴッドを2〜3個くらいでいいかな」
稲生:「インゴッド!?いや、そんなのもらうわけにはいきませんよ!」
マリア:「でも、イブキからは小判をもらったんだろ?妖狐が小判なら、魔道師はインゴッドだ。大丈夫。師匠が中東で稼いだインゴッドを少し流用するだけだ」
稲生:「結局、錬金術はインチキ確定でいいんですね」
ダンテ一門の魔道師の中で、未だに錬金術に成功したという話は聞かない。
稲生:「それじゃ、先生のお帰りを待って……」
マリア:「いや、もうそこは見切り発車でいいみたい。さっきも言ったと思うけど、師匠の力を持ってすれば、どこからでも魔界へは行けるから」
稲生:「そうですか。それじゃ、お言葉に甘えて……」
マリア:「日本国内における交通手段は、全て稲生に任せることなっているから、そこは頼む」
稲生:「分かりました。明日、ちょっと行ってきます」
マリア:「間違っても、宿泊先はワンスターホテルにするなよ?」
稲生:「多分、エレーナの方から断ってくると思うんで、それは大丈夫です」
もっとも、宿泊先は全て稲生の実家ということになりそうだが。
稲生:「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。ごちそうさまでした」
マリア:「やっと私達の出番か。作者め。エレーナに作品枠やり過ぎだ」
稲生:「誰に言ってるんですか?」
マリア:「いや、何でもない」
稲生:「大師匠様に年度初めの挨拶とかしなくていいんですか?」
マリア:「大師匠様も神出鬼没だ。私達が挨拶に出向くとか、そういうことではないんだ」
稲生:「そうですか」
マリア:「近々、魔王城でパーティーが行われるらしい。それに大師匠様も参加されるだろうから、その時に御挨拶ってところかな」
稲生:「おっ、また魔界に行く機会があるんですか」
マリア:「一応ね。ただ、詳細がサッパリ。普通は師匠から上意下達で来るはずなんだけども、肝心の師匠が最近出ずっぱりだから」
稲生:「ですよねぇ……。僕も藤谷班長から御講参加の誘いが来てるんですよ」
マリア:「勇太の寺の?」
稲生:「はい。マリアさんも御一緒にどうですか?」
マリア:「遠慮しとく。またウォッカ入り甘酒飲まされたらたまらん」
稲生:「い、いや、あれはその……ケンショーレンジャーのしわざで……」
マリア:「分かってるよ」
稲生:「それに、魔女狩りカルト教団も入って来れないから、安全地帯です」
マリア:「ケンショーレンジャーの侵入を阻止できないようじゃ、100パー安全とは言えないな」
稲生:「ハハハ……」
マリア:「ま、この世界で100%を求める方が無理か」
稲生:「そ、そうですよ、マリアさん」
夕食が終わると、メイド人形達が食後のコーヒーを持って来た。
稲生:「ありがとう」
マリア:「魔界へは人間界のどこからでも行けるから、行ってきていいんじゃない?」
稲生:「もし良かったら、マリアさんも……。あの、お寺とかじゃなくていいんで……」
マリア:「うーん……私も、この屋敷で留守番してなきゃいけない身だからねぇ……。師匠が帰って来るまでは、何とも……」
稲生:「分かりました。それじゃ僕、先生が早く帰って来るよう、唱題してきます」
マリア:「ちょっと待て!魔力の無駄遣いはダメだぞ!」
稲生:「魔力の無駄遣いじゃありません。御祈念です」
マリア:「いや、だからさ、それが私から見れば魔力を使っているようにしか見えないんだって」
稲生:「マリアさん。『日蓮正宗の信仰を続けることは自由』と先生に言われましたよ?唱題と御祈念は、その日蓮正宗の信仰活動の1つなんですけど?」
マリア:「分かった。分かったよ」
稲生:「じゃあ、ちょっと唱題してきます」
稲生は席を立つと自分の自室に戻った。
マリア:「勇太が祈りを捧げると、本当に叶うから恐ろしいんだよな」
と、そこへテーブルの上の水晶球が鈍く点滅した。
マリア:「う……。何か、嫌な予感」
マリアは手を伸ばして、水晶球に手をかざした。
イリーナ:「やほー!先生だお!元気にしてた?」
マリア:「師匠!今どこですか?」
イリーナ:「今ねぇ、シリアにいるの」
マリア:「はあ!?」
よく耳を澄ますと、イリーナの後ろからマシンガンの発砲音とか、ショットガンの発砲音とかが僅かに聞こえてくる。
マリア:「何でそんな物騒な所に!?」
イリーナ:「まあまあ。報酬としてインゴッド大量に手に入ったから、今年もまた贅沢な暮らしができるよ?」
マリア:「『一気にドカンと稼ぐ』方針なのはいいですが、あまり物騒なのはどうかと……」
イリーナ:「あ、痛ッ!」
マリア:「師匠!?」
イリーナ:「あ、ゴメンゴメン。流れ弾がローブに当たっただけ」
魔道師のローブは戦士の鎧に相当する。
イリーナの場合、銃弾が当たっても、せいぜい石が当たった程度なのだろう。
マリア:「ちょっと!」
イリーナ:「じゃあ、そろそろ離脱するかね。あ、今週中には帰るから、どこか行きたい所があったら出掛けていいよ。お留守番ありがとさん」
マリア:「…………」
イリーナ:「それじゃ、チャオ♪」
こうしてイリーナからの通信が切れた。
マリア:「勇太ァ!今すぐ唱題と祈念やめて!!」
そして、食堂内の内線電話から稲生の部屋に中止命令を送ったのだった。
[同日20:00.天候:晴 マリアの屋敷1F西側・マリアの部屋]
マリア:「全く。勇太の祈りには困ったものだよ」
稲生:「いやあ、すいません。でも先生が無事で良かったですよ」
マリア:「あの人は殺しても死なないから、それこそマシンガンを食らっても大丈夫」
稲生:「いや、さすがは大魔道師だ。早速実家に連絡して、またマリアさんの部屋とか用意してもらいますから」
マリア:「すまない。報酬はインゴッドを2〜3個くらいでいいかな」
稲生:「インゴッド!?いや、そんなのもらうわけにはいきませんよ!」
マリア:「でも、イブキからは小判をもらったんだろ?妖狐が小判なら、魔道師はインゴッドだ。大丈夫。師匠が中東で稼いだインゴッドを少し流用するだけだ」
稲生:「結局、錬金術はインチキ確定でいいんですね」
ダンテ一門の魔道師の中で、未だに錬金術に成功したという話は聞かない。
稲生:「それじゃ、先生のお帰りを待って……」
マリア:「いや、もうそこは見切り発車でいいみたい。さっきも言ったと思うけど、師匠の力を持ってすれば、どこからでも魔界へは行けるから」
稲生:「そうですか。それじゃ、お言葉に甘えて……」
マリア:「日本国内における交通手段は、全て稲生に任せることなっているから、そこは頼む」
稲生:「分かりました。明日、ちょっと行ってきます」
マリア:「間違っても、宿泊先はワンスターホテルにするなよ?」
稲生:「多分、エレーナの方から断ってくると思うんで、それは大丈夫です」
もっとも、宿泊先は全て稲生の実家ということになりそうだが。