[5月13日07:43.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅・東海道新幹線ホーム]
〔まもなく14番線に、7時56分発、“こだま”637号、新大阪行きが到着致します。安全柵の内側まで、お下がりください。この電車は、各駅に止まります。グリーン車は8号車、9号車、10号車。自由席は1号車から7号車までと13号車、14号車、15号車です。……〕
ホームに落ち着いた感じの中年女性の声の自動放送が流れる。
東北新幹線ホームと違うのは、英語放送が付いていないことだ。
この理由については、今も分からない。
〔「14番線、お下がりください。7時56分発、“こだま”637号、新大阪行きの到着です。安全柵から離れてお待ちください」〕
但し、駅員が肉声で英語放送はする。
ただ、お世辞にも上手いと言えるかどうかは【お察しください】。
しばらくして、列車が入線して来る。
16両編成という長編成で、自由席のある前の車両が停車する所で待っていると、結構高速で入線してくる感じだ。
大井車両基地から整備済みの車両を回送して来たのか、既に座席は進行方向を向いている。
つまり、回送で来る時には座席は反対方向を向いているわけだ。
これは逆もまたしかり。
東京到着の列車が回送で大井基地まで戻る時は、いちいち座席は回転させずに回送する。
稲生:「N700だ」
鈴木:「ぶっちゃけ今、普通の700系って走ってるんですか?」
稲生:「JR西日本のだったらあるかもね」
尚、鈴木は稲生にルーシー達を紹介された。
鈴木は外国語が喋れないのだが、そこは富裕層。
ポケトークを使って、瞬時に日本語をイギリス英語に通訳する。
もちろんそれで通じたのだが、ルーシーは自分達は魔法で通訳できるからと使用を拒否られた。
握手もまたルーシーが険しい顔をして応じたのだが、ゼルダとロザリーは応じなかった。
列車が停車し、安全柵のドアが開く。
その際に鳴り響くメロディは“乙女の祈り”。
〔「14番線、ドアが開きます」〕
車両のドアが開いて、稲生達は自由席車両に乗り込んだ。
“のぞみ”や“ひかり”の自由席は車両が少ないせいか混んでいるが、“こだま”は空いている。
鈴木:「向かい合わせにしましょうか?3人席も向かい合わせに……」
マリア:「いや、いいよ。ルーシー達はこっちの3人席に座って。私は前の席に座る」
ルーシー:「分かった」
マリアが3A、稲生が3B、鈴木が3C、ゼルダが4A、ロザリー4B、ルーシーが4Cといった席順。
〔ご案内致します。この電車は“こだま”号、新大阪行きです。新大阪までの各駅に停車致します〕
席に座ると、駅の売店で買った弁当やお茶をテーブルの上に出す。
鈴木:「車だとこういう楽しみがありませんからねぇ……」
稲生:「サービスエリアに途中寄って食べる感じ?」
鈴木:「そうです。何だかその時間が勿体無いと思いましてですねぇ……」
稲生:「情緒はあるけど、あまり御登山の往路で情緒に拘ると、後でガチ勢に何言われるか分かんないからなァ……」
鈴木:「いや、全くです」
[同日07:56.天候:晴 東海道新幹線637A1号車内]
〔「レピーター点灯です」〕
発車の時間が迫り、ホームに発車メロディが鳴り渡る。
これはかつて、“のぞみ”用の300系電車で車内チャイムとして流れていたものだ。
〔14番線、“こだま”637号、新大阪行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。お見送りのお客様は、安全柵の内側までお下がりください〕
〔「ITVよし!乗降よし!14番線、ドアが閉まります。ご注意ください」〕
ブー!というけたたましい客終合図のブザーが聞こえて来る。
これでもって、車掌がドアを閉めるのである。
と、同時に安全柵のドアが再び“乙女の祈り”を流しながら閉まる。
そして、列車がスーッと走り出した。
14番線と15番線ホームは元々東北新幹線用のホームとして用意されていたものなので、東北新幹線ホームと並行している。
その分、他の東海道新幹線ホームよりも曲がっている。
それが発車時の速度制限に影響があるのか分からないが、ポイント通過の関係もあるのか、ある程度の速度まで達した所で加速が止まった。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は“こだま”号、新大阪行きです。新大阪までの各駅に停車致します。次は、品川です〕
JR東海の車両における車内チャイムは、TOKIOの“AMBITIOUS JAPAN”。
始発と終点ではイントロ部分が流れる。
途中停車駅の場合は、サビの部分らしい。
稲生:「マリアさん。新富士駅からバスがありますので、これで……」
マリア:「分かった」
稲生はマリアにバスの乗り場や時刻を教えてあげた。
稲生:「これで帰りはまた新富士駅で待ち合わせして、また皆で東京に戻ればいいと思います」
マリア:「そうだな」
[同日09:07.天候:晴 静岡県富士市 JR新富士駅]
新横浜〜小田原間は駅間距離が長いので、“こだま”でも最高速度の285キロで走行する。
また、地平区間でもあるので、結構なスピード感もある。
初めて高速列車に乗ったルーシー達は、このスピードに驚喜した。
ホウキでもここまでのスピードは出せない。
ドラゴンで飛行する場合は、新幹線並みのスピードなのだそうだ(ドラゴンの種類による)。
そして、右手の車窓に富士山が見えてきた時、空いている2人席の窓から写真を撮るルーシーの姿があった。
この辺は普通の外国人観光客のようである。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、新富士です。新富士の次は、静岡に止まります〕
東京駅から1時間ちょっとで下車駅に近づく。
本当はもっと早く到着できるのだろうが、いかんせん、通過線のある駅では必ず後続列車に抜かれるダイヤになっている為、それで遅くなるのだ。
後続の“のぞみ”や“ひかり”が高速で追い抜いて行く様についても、魔女達には新鮮さがあったようだ。
〔しんふじ、新富士です。しんふじ、新富士です。ご乗車、ありがとうございました〕
副線ホームに入る為にポイントの通過があり、それで列車が少し揺れる。
ドアが開いて稲生達が降りると、すぐに後続列車が高速で通過していく。
秒単位の時刻の正確さは、日本の新幹線の大きな売りの1つである。
それでも5分停車ということだから、けして抜かれるのは一本だけではないということ。
マリア:「駅の外に出れば、もっと富士山がよく見えるよ」
ルーシー:「そう」
階段を下りて改札口を出る。
富士山口と呼ばれる北口に行くと、バスターミナルがあった。
稲生:「ここで一旦お別れですね。また夕方、このバスターミナルで会いましょう」
マリア:「うん。先導ありがとう」
稲生:「いえいえ」
しかし、後にアクシデントが起ころうとは、この時点ではまだ誰も気づかない。
〔まもなく14番線に、7時56分発、“こだま”637号、新大阪行きが到着致します。安全柵の内側まで、お下がりください。この電車は、各駅に止まります。グリーン車は8号車、9号車、10号車。自由席は1号車から7号車までと13号車、14号車、15号車です。……〕
ホームに落ち着いた感じの中年女性の声の自動放送が流れる。
東北新幹線ホームと違うのは、英語放送が付いていないことだ。
この理由については、今も分からない。
〔「14番線、お下がりください。7時56分発、“こだま”637号、新大阪行きの到着です。安全柵から離れてお待ちください」〕
但し、駅員が肉声で英語放送はする。
ただ、お世辞にも上手いと言えるかどうかは【お察しください】。
しばらくして、列車が入線して来る。
16両編成という長編成で、自由席のある前の車両が停車する所で待っていると、結構高速で入線してくる感じだ。
大井車両基地から整備済みの車両を回送して来たのか、既に座席は進行方向を向いている。
つまり、回送で来る時には座席は反対方向を向いているわけだ。
これは逆もまたしかり。
東京到着の列車が回送で大井基地まで戻る時は、いちいち座席は回転させずに回送する。
稲生:「N700だ」
鈴木:「ぶっちゃけ今、普通の700系って走ってるんですか?」
稲生:「JR西日本のだったらあるかもね」
尚、鈴木は稲生にルーシー達を紹介された。
鈴木は外国語が喋れないのだが、そこは富裕層。
ポケトークを使って、瞬時に日本語をイギリス英語に通訳する。
もちろんそれで通じたのだが、ルーシーは自分達は魔法で通訳できるからと使用を拒否られた。
握手もまたルーシーが険しい顔をして応じたのだが、ゼルダとロザリーは応じなかった。
列車が停車し、安全柵のドアが開く。
その際に鳴り響くメロディは“乙女の祈り”。
〔「14番線、ドアが開きます」〕
車両のドアが開いて、稲生達は自由席車両に乗り込んだ。
“のぞみ”や“ひかり”の自由席は車両が少ないせいか混んでいるが、“こだま”は空いている。
鈴木:「向かい合わせにしましょうか?3人席も向かい合わせに……」
マリア:「いや、いいよ。ルーシー達はこっちの3人席に座って。私は前の席に座る」
ルーシー:「分かった」
マリアが3A、稲生が3B、鈴木が3C、ゼルダが4A、ロザリー4B、ルーシーが4Cといった席順。
〔ご案内致します。この電車は“こだま”号、新大阪行きです。新大阪までの各駅に停車致します〕
席に座ると、駅の売店で買った弁当やお茶をテーブルの上に出す。
鈴木:「車だとこういう楽しみがありませんからねぇ……」
稲生:「サービスエリアに途中寄って食べる感じ?」
鈴木:「そうです。何だかその時間が勿体無いと思いましてですねぇ……」
稲生:「情緒はあるけど、あまり御登山の往路で情緒に拘ると、後でガチ勢に何言われるか分かんないからなァ……」
鈴木:「いや、全くです」
[同日07:56.天候:晴 東海道新幹線637A1号車内]
〔「レピーター点灯です」〕
発車の時間が迫り、ホームに発車メロディが鳴り渡る。
これはかつて、“のぞみ”用の300系電車で車内チャイムとして流れていたものだ。
〔14番線、“こだま”637号、新大阪行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。お見送りのお客様は、安全柵の内側までお下がりください〕
〔「ITVよし!乗降よし!14番線、ドアが閉まります。ご注意ください」〕
ブー!というけたたましい客終合図のブザーが聞こえて来る。
これでもって、車掌がドアを閉めるのである。
と、同時に安全柵のドアが再び“乙女の祈り”を流しながら閉まる。
そして、列車がスーッと走り出した。
14番線と15番線ホームは元々東北新幹線用のホームとして用意されていたものなので、東北新幹線ホームと並行している。
その分、他の東海道新幹線ホームよりも曲がっている。
それが発車時の速度制限に影響があるのか分からないが、ポイント通過の関係もあるのか、ある程度の速度まで達した所で加速が止まった。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は“こだま”号、新大阪行きです。新大阪までの各駅に停車致します。次は、品川です〕
JR東海の車両における車内チャイムは、TOKIOの“AMBITIOUS JAPAN”。
始発と終点ではイントロ部分が流れる。
途中停車駅の場合は、サビの部分らしい。
稲生:「マリアさん。新富士駅からバスがありますので、これで……」
マリア:「分かった」
稲生はマリアにバスの乗り場や時刻を教えてあげた。
稲生:「これで帰りはまた新富士駅で待ち合わせして、また皆で東京に戻ればいいと思います」
マリア:「そうだな」
[同日09:07.天候:晴 静岡県富士市 JR新富士駅]
新横浜〜小田原間は駅間距離が長いので、“こだま”でも最高速度の285キロで走行する。
また、地平区間でもあるので、結構なスピード感もある。
初めて高速列車に乗ったルーシー達は、このスピードに驚喜した。
ホウキでもここまでのスピードは出せない。
ドラゴンで飛行する場合は、新幹線並みのスピードなのだそうだ(ドラゴンの種類による)。
そして、右手の車窓に富士山が見えてきた時、空いている2人席の窓から写真を撮るルーシーの姿があった。
この辺は普通の外国人観光客のようである。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、新富士です。新富士の次は、静岡に止まります〕
東京駅から1時間ちょっとで下車駅に近づく。
本当はもっと早く到着できるのだろうが、いかんせん、通過線のある駅では必ず後続列車に抜かれるダイヤになっている為、それで遅くなるのだ。
後続の“のぞみ”や“ひかり”が高速で追い抜いて行く様についても、魔女達には新鮮さがあったようだ。
〔しんふじ、新富士です。しんふじ、新富士です。ご乗車、ありがとうございました〕
副線ホームに入る為にポイントの通過があり、それで列車が少し揺れる。
ドアが開いて稲生達が降りると、すぐに後続列車が高速で通過していく。
秒単位の時刻の正確さは、日本の新幹線の大きな売りの1つである。
それでも5分停車ということだから、けして抜かれるのは一本だけではないということ。
マリア:「駅の外に出れば、もっと富士山がよく見えるよ」
ルーシー:「そう」
階段を下りて改札口を出る。
富士山口と呼ばれる北口に行くと、バスターミナルがあった。
稲生:「ここで一旦お別れですね。また夕方、このバスターミナルで会いましょう」
マリア:「うん。先導ありがとう」
稲生:「いえいえ」
しかし、後にアクシデントが起ころうとは、この時点ではまだ誰も気づかない。